[KATARIBE 17398] [HA06P] 厄日の引越し

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Date: Sat, 8 Jan 2000 23:08:05 +0900
From: "言葉績樹" <tinuzuka@skyblue.ocn.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 17398] [HA06P] 厄日の引越し
To: "語り部メーリングリスト" <kataribe-ml@trpg.net>
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    Prosit NeuJahr!! 明けましておめでとうございます。
  Guten Morgen! おはようございます。
  Guten Tag!     こんにちわ。
  Guten Abend!  こんばんわ。言葉績樹です。
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語部詩織の特徴の一つの幸運不運と、グリーンハイツ吹利への引越しを扱った
エピソードの冒頭です。

なおなみさんへ、柳直紀(やぎ・なおき) さんに出てもらいました
あとをどう扱ったらいいのか良く分からないで
とりあえず、ここで切っておこうと思います。
修正変更追加をお願いします。

本当は会話も入れたかったんですが、まだ、よく分からないんです。

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 ついてない日、そんな日の始まりはたいていそんなもの。

 ジリリリリリィ ジリリリリリィ
(うるさいなあ。)
 手を伸ばしても、目覚ましにはいっこうに手が届かない。
 やむなく、起きあがった私が最初に目にしたのは、積み上げられた本の津波が私
にかぶさってくる瞬間だった。
 本の山の頂上に置いてた目覚ましの振動が、それとも無造作に伸ばした私の手
が、どちらにしても、溺れかけた本の海から這い出す。
(なんか、最低だな。朝から。)
(今日は引越しだと言うのに。)
 憂鬱な気分を振り払いながら、朝ご飯と昨日の続きの引越しの準備をすませる。

ピンポーン
「すみません。吹利引越しセンターの者です。」
「はいはい。今行きます。」
 慌ててスニーカーにつま先をつっこんで、玄関を開けようとしたら、
プチッ。何かが切れる音??
ゴッン。眼から火花!!
「いたーい。」
 ぶつかった扉の向こうから、
「なにかすごい音がしましたけれど、大丈夫ですか??」
 ぶつけた額をさすりながら、扉の鍵を開ける。
 怪訝そうにみる引越しセンターの人達、
「荷物は奥です。」
 適当にごまかす私。よく見るとスニーカーの紐が切れてる。

 梱包された荷物は手際よく引越しセンターの人達が運び出す。残りはゴミと、後
で取りに来る予定の小物ばかり。
「場所はこの地図のここです。名前はグリーンハイツ吹利。部屋は3Fです。先に行
ってもらいます。後から自転車で追いかけますので。」
 トラックを見送って、部屋の戸締りをして自転車に乗る。
 腰を浮かして、ペダルに全体重をかける。普通に走って20分。全速力なら10
分くらいのはずなのに。
ガクン
 一瞬、足元の感覚が消える。バランスを崩して急ブレーキ
キ、キー
 なんとかこけずにすむ。自転車をよく見てみると、
(えっ。チェーンが切れてる。クラッ) 
(まだ、全然走ってないのに)
 一時呆然としてしまったが、とりあえずタクシーを拾うために大通りへ出る。
 しかし、自転車を持っているので、なかなか止まってくれない。
 ようやく、止まってくれたタクシーも自転車も積んで欲しいと言うと運転手さん
は嫌な顔をした。それでも、トランクを開けっぱなしにして、自転車を積んで走っ
てくれる。

 新しいマンションでは引越しセンターの人達が待ちくたびれていた。タクシーを
降りて、自転車を受け取って、
「すみません。途中で自転車が壊れてしまって」
 慌てて三階の自分の部屋の鍵を開ける。
 あとは引越しセンターの人に任せて、トラックの傍でボーとその辺を見ていると
同じマンションの五階の窓から女の人が下を覗いていた。目が会うと彼女が(に
こっ)と笑ってきたので、思わずつられて笑い返した時、
ガラガラ、ガシャーン。
 振りかえると、倒れた引越しセンターの人の傍を、黒いプラスチックの破片が散
乱している。
(あれはお気に入りの、オーディオセット。ガーン)
「すみませーん。救急車をお願いします。」
 引越しセンターの人のリーダー格の人が上に向かって叫ぶ。
 見上げると、今にも落ちそうなくらいに窓から身を乗り出している彼女が、自分
の指で自分自身を指す。そして、慌ててドタバタと部屋の中へ消えて行く。

 怪我人を別の人に任せるとリーダー格の人は、私のところまでやってきて、
「壊れたものは弁償します。あとで、そのことで営業の者がやってくると思いま
す。」
と言った。
 それは、ともかく、(今日はまったく、厄日だね)  と思った。


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幸運と不運が極端に出る、語部詩織の日常の一コマです。
それでは。


  AufWidersehen  Viel Gluck !!
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          コトノハツムギ
                言葉  績樹(Tzummgi Kotonoha)
                E-mail   tinuzuka@skyblue.ocn.ne.jp
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