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Date: Fri, 7 Jan 2000 21:08:47 +0900 (JST)
From: 銀佳 <una-yuya@mb.kcom.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 17370] [HA06P] 『天寿』(仮)
To: 語り部ML <kataribe-ml@trpg.net>
Message-Id: <947246928.4294112463@tokyo9-26.kcom.ne.jp>
X-Mail-Count: 17370
こんばんわ、銀佳です。
なんとなく、流せるときに流せ〜ってことで。
ちなみに、4時間前にまったく同じことが実際に起きました(苦笑)
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エピソード『天寿』(仮)
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登場人物
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白月悠(しらつき・はるか)
:内向的な高校一年生。
:最近の生活は9割までPCに依存(笑)
白月里花(しらつき・さとか)
:悠の中一の妹。
:テレビゲームと機械いじりを好む。
母親
:二人の母親。
:一般常識は備えた人だがどこかずれているところあり。
父親
:二人の父親。DTMを生業としている。
:しかし職種のわりにPC操作をなにも知らない(苦笑)
突然のハプニング
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とある日の夕方、白月家にて。
SE :ばきっ☆
里花 :「……へ?」
悠 :「なんの、音?」
もくもくもくもく…………
黒煙が上がる。
悠&里花 :(あぜーん)
……時間は、少し前に遡る。
平穏な時間
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里花 :「ねーお姉ちゃん、スーパーゲームボーイ知らない?」
悠 :「……いまさら、あんなもの使うの?」
里花 :「だって、友達からおもしろいソフト、
:借りてきたんだもんっ♪」
カラフルな、小さめの箱をちらつかせる。
悠 :(ため息)「はいはい」
里花 :「どこ?」
悠 :「そこらへんにない?」
『そこらへん』とは、テレビの周辺。
スーパーファミコンやプレイステーション、ゲームソフトやビデオテープの
類が散乱しているあたりのこと……なのだが。
置いてあったはずの硝子テーブルが見当たらないのは、……ソフトに埋没し
ているせいだろう。
里花 :「んー、あたしもそう思ったんだけど、見つかんなくて」
悠 :「だって昨日、そこに置いてたじゃない?」
里花 :「ちゃんと見たよお……後で探そっと」
……時間の消費は気に食わないらしくて(苦笑)
里花はプレイステーションを起動させた。
里花 :「お姉ちゃん、後でパソコン替わってね」
釘をさすことも忘れない(苦笑)
悠 :「……メールのお返事書いたら、替わるよ」
里花 :「はーい」
言質を取った里花はご機嫌で、ゲームを始めた。
立ち上る黒煙
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それから、三十分ほどして。
悠 :「(だいたい書き終わり、かな……)」
もう替われるよ、と声をかけようとした次の瞬間、テレビの方から。
SE :ばきっ☆
里花 :「……へ?」
悠 :「なんの、音?」
もくもくもくもく…………
黒煙が上がる。
悠&里花 :(あぜーん)
里花 :「あ、画面っ……」
その声に、つと画面を見ると。
画面いっぱいに広がっていたはずの画像が、フェードアウトしていくときの
ように、どんどん小さくなっていくのが見て取れた。
悠 :(思考停止中)
音楽だけが、変わらず流れつづけている。
里花 :「あ、えっと、あ、う」
音量も変わらずに。
悠 :「あ……っと、お母さんっ!」
母親 :(台所から)「なに?」
悠 :「テレビから、煙、出てる……(汗)」
がっしゃあああんと。
手に持っていた金属のボウルを取り落とす、お母さん。
母親 :「かかか、火事になっちゃうじゃないっ(汗)
:ああ里花、水なんかかけるんじゃないわよっ(汗)」
慌ててテレビに駆け寄って、裏手の窓を明けて。
手近なレコードを手に、必死にテレビを扇ぐ。
母親 :「里花、お父さん呼んで、悠はパソコン消して!」
…………家族四人がそろったリビングで、煙は五分後に消えた。
天寿
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まだ、樹脂の焦げる異様な匂いは漂っていて。
母親 :「あとは、家中の窓、網戸にして、
:換気扇回して、と……」
風のとおり道を、家中にはりめぐらせる。
父親 :「また、すごい匂いだな、こりゃ」
感慨深げに、電源を切ったテレビを眺めやる、お父さん。
里花 :「でも、ブレーカー飛ばなかったってことは、
:ショートしたんじゃないよね?」
父親 :「抵抗が焼き切れたんだろうな」
母親 :「無理もないわよ。一日24時間のうち、
:23時間は働いていたようなものだし」
父親 :「え、そんなに使ってたか?」
母親 :「ええだって、わたしたちが出かけている間は
:ずっとあなたが意味もなくつけっぱなしにしてるし、
:夜も遅くまでついてるし」
里花 :「あたしが起きたときに、ゲームやってること、
:多いもんね……(汗)」
悠 :「それで、ゲームを止めたらそのかわりに
:朝のニュースがつくしね(苦笑)」
みんなの視線がお父さんに集中する。
父親 :「ははは……まぁ、86年型だしな、古いから……」
母親 :「天寿を全うした、とは言えるわね」
里花 :「ヘー、あたしと同い年だったんだぁ☆」
父親 :「おー、そういうことだ」
味方を得たり、とでも言うかのように、里花の頭をくしゃくしゃする。
母親 :「まあ、どうせそろそろ引っ越すつもりだったし」
悠 :「朝も図面書きながら、
:テレビが邪魔って騒いでたね、そう言えば(苦笑)」
母親 :「そうそう、神様が、もっと小さなテレビにしなさいって
:仰ってるのよ、きっと」
ちなみにこの後、里花によって前の家で使っていた古いテレビ(82年型)が
新しくセットされたが、その際いろいろと騒ぎがあったのは、お約束(苦笑)
時系列
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2000年の1月7日。
この騒ぎで七草粥どころではなくなってしまった(苦笑)
解説
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なぜか古いものが多くある白月家。
そのなかのひとつが、今日、天寿を全うしました……
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ではでは。
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銀佳
una-yuya@mb.kcom.ne.jp
http://www.geocities.co.jp/Bookend/4229
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