[KATARIBE 17286] [HA06N] :「善鬼祝祭」

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Date: Tue, 4 Jan 2000 18:07:43 +0900 (JST)
From: "E.R" <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 17286] [HA06N] :「善鬼祝祭」 
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <200001040907.SAA01852@www.mahoroba.ne.jp>
X-Mail-Count: 17286

2000年01月04日:18時07分42秒
Sub:[HA06N]:「善鬼祝祭」:
From:E.R


      こんにちは、E.Rです。

 鬼篭めの際に、出てきた鬼たち。
 ふと……彼らを思い出しまして。

************************************
「善鬼祝祭」
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 りぃぃん……………しゃん
 りぃぃん……………しゃん


 高く、空を切り裂いて走る音。
 その音の鋭さ。

 冷たい、空気。

 りぃぃん……………しゃん
 りぃぃん……………しゃん

 手を伸ばす。
 その動きにつれて動く空気の、
 空気の、鋭さ。

 
 ころころと、宙を走る丸い光。
 緑を含む…………

 
 りぃぃん……………しゃん
 りぃぃん……………しゃん

 新しい年。
 幾度も鈴を打ち鳴らし、その年を清めても。
 きりきりと引き絞り、鋭く尖らせても。
 晒しに晒し、色という色を抜いても。
 はじまれば……………それはやはり、現実と化し。
 その色は常に拡散し、ぼやけ………

 
 りぃぃん……………しゃん
 りぃぃん……………しゃん

 指先に冷たい金具をひねり、窓を開ける。
 火の気のない部屋の中よりも、やはり鋭く研ぎ澄まされた空気が、
指先から肘へ、そして肩へと流れてゆく。

 うっすらと。
 まだ……背中が痛む。

 
 しゃあん、と。
 高く鳴る………鈴の音。

 滑空する………

 ……光

 …………子供。


 白絹の上衣をまとい、真紅の袴を履いた子供達が、次々と。
 空を跳ねる。
 跳ねる足、一歩一歩で宙を踏みしめ。
 一歩一歩で、宙を清め。

 ……………………善鬼?

 窓の近くを通った子供が、するりと視線を滑らせてこちらを見た。
 見て………笑った。


 善鬼祝祭。
 清め、鋭く尖らせた一年。
 
 ……さて、如何様に、染めゆかれるや否や…………

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 てなもんで。
 畏れ多いことに、題名は、宮沢賢治さんの詩の題名と一緒だったり(滝汗)
 あ、但し、内容は関係ありません。
 題名見た時の印象だけで書いてます(爆)

 あ、一応、花澄の一人称です。

 ではでは。


    

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