[KATARIBE 17254] [HA06N] 「脚本:コッペリア」読みやすいようにチョコっと修正

Goto (kataribe-ml ML) HTML Log homepage


Index: [Article Count Order] [Thread]

Date: Sat, 1 Jan 2000 08:27:49 +0900
From: "言葉績樹" <tinuzuka@skyblue.ocn.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 17254] [HA06N] 「脚本:コッペリア」読みやすいようにチョコっと修正
To: "語り部メーリングリスト" <kataribe-ml@trpg.net>
Message-Id: <025901bf53e6$aabc16a0$aed59ad2@x198h5o9>
X-Mail-Count: 17254

    Prosit NeuJahl!! 明けましておめでとうございます。
  Guten Morgen! おはようございます。言葉績樹です。

    よく見たらさっき流したのは読みにくいの流しなおします。
    以下は基本的に同じ文章です

    新年早々の初投稿です。
    アイデアはバレエの「コッペリア」です。
    実は下記のネタそのままでソードワールドでシナリオにしたのを
    練りなおしました。
    語部詩織の脚本風景です。

−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+

『脚本:コッペリア』

 幻影、それはイメージ。頭の裏でフツフツと流れて行く。
 紅い服を着た少女は、まるで機械人形のように踊る。水平まで上げられ
た脚、両手を広げ、一回、二回、三回と、ゆっくりとターンを繰り返す。
 でも、その表情は無機質で感情が無い。シャープなその動きにも滑らか
さは無く、カックンカックンと機械のように踊る。陽にあったことさえ無い
様に見える真っ白な肌には、血潮どころか不気味なほどに蒼く透き通って
見える。
 私は彼女ではない。一歩も二歩も下がって彼女を見ている。何かに胸を
締め付けられるような思いに、思わず眼が潤んでくる。

 そこまで考えて、詩織は手にしたシャーペンを置いた。
「少年の名前はなんだったかしら?面倒ねぇ。ハンスにしましょう。」

少年:ハンス
少女:コッペリア
老人:ヨゼフ
 ・
 ・
 ・

 詩織は適当に名前をメモして行く。

「幕は全部で4つ、それぞれの幕に場は4本。これを基本において。」
すらすらと場面の構成を書き始める。


第一幕:始まり
 第一場>屋根裏部屋:少年の思い:(少年、少女)
        魔術師見習の少年は苦学の日々の中、向かいの古書店の二
        階で、毎日窓際で本を読む少女に恋をする。
 第二場>古書店前:少女を否定する老人:(少年、少女、老人)
        少年は古書店の老人に少女の事を聞くが、老人は「そんな少
        女はいない。」と否定する。また、近所の人々も「老人にはそん
        な娘はいない、夢でも見たんだろう。」と言って、少年を馬鹿に
        する。
        少年は失意と共に、少女の行方を捜そうと決意し、老人は少女
        を窓際から遠ざける。
 第三場>街角:船長を殺す少女:(少女、船長、目撃者)
        深夜、酔っ払いの船長が、まるで機械人形のように踊る少女に
        よって撲殺される。その様子を見ていた男がいた。
 第四場>街角:手配書を作る役人:(役人、死んだ船長、目撃者)
        殺人事件に役人がやってくる。目撃者の証言を聞いて、早速手
        配書を作成する

第二幕:真相
 第一場>古書店前:手配書を少女とだと思う少年:(少年、老人、チンピ
       ラ)
        手配書を見た少年は、その手配書を少女だと思う。そして、もう
        一度老人の店へ向かうが、追い返される。その様子をチンピラ
        が覗っていた。
 第二場>古書店前:老人の独白と仇討:(老人)
        老人はかつて高名な魔術師だった。老人には娘夫婦と孫娘が
        いた。それは幸せな日々だった。しかし、ある日娘夫婦と孫娘
        は川で溺死してしまった。
        最初は事故だっと思っていたが、それは、警備隊員の娘婿が悪
        徳商人、船長、チンピラがしていた密輸を摘発しようとして、彼ら
        とグルになっている上司に売られて水死に見せかけられて殺さ
        れてしまったのである。
        それを知った老人は、孫娘そっくりに作った人形をゴーレムとし
        て作りなおし、復讐を始めたのである。
 第三場>悪徳商人宅:密告と悪巧み:(役人、悪徳商人、チンピラ)
        チンピラは少年が老人の娘が手配書に似ていると言ったことを
        役人や、悪徳商人に報告した。老人が魔術師である事を知って
        いる彼らは、チンピラに老人殺害を命じる。
 第四場>古書店:老人殺害:(老人、チンピラ、少年)
        少年は老人が何か隠していると感じ古書店の周りをうろつく。
        そこへチンピラがやってきて古書店へ入りこむ。後を追った少年
         の前で、チンピラは老人を殺す。少年は驚いて逃げ出す。


第三幕:悪魔の登場
 第一場>古書店前:悪魔の登場:(悪魔、少女、老人の幽霊)
        老人は無念の最後を遂げる。そこへ悪魔が現れる。
        悪魔は本来天国へ行く魂を差し出すならば、老人の仇討に協力
        しても良いと告げる。老人も、チンピラも、役人も、悪徳商人も既
        に罪を犯し、それらの魂では協力できないという。
        老人は、誰か罪の無い人間を殺してその魂を悪魔に捧げる事を
        約束する。悪魔の力を借りて老人は少女に自分を殺したチンピ
        ラを追いかけて殺すように命じる
 第二場>街角:チンピラの殺害:(少女、チンピラ)
        チンピラのあとを少女が追いかけてくる。チンピラは戦うが歯が
        立たない。涙ながらに「助けてくれ。」と膝まづいて謝るが、少女
        は無感動に げしげしと殴り殺して行く。
 第三場>詰め所:少年の証言:(少年、役人、ある警備隊員)
        老人の殺害現場を見た少年は警備隊の詰め所へ向かい。その
        事を証言する。しかし、子供の話す事なので、あえて役人は取り
        会わない。しかし、そこへ警備隊員の一人が来て、チンピラが路
        上で撲殺された死体で見つかったと報告に来る。驚いた役人は
        少年を置いて慌てて出て行く。
 第四場>悪徳商人宅:少女は誰??:(役人、悪徳商人)
        悪徳商人宅で役人と悪徳商人が話し合う。少年が言いに来たよ
        うに老人を殺したのはチンピラである。ならば、誰がチンピラを殺
        したのか?船長を殺したのは少女だと言うのならば、少女とは
        誰か?彼らは、謎は老人の家にあると考えて老人の家の古書
         店に向かう。

第四幕:結び
 第一場>古書店:真相を捜す少年:(少年、少女)
        役人に無視された少年はチンピラが殺されたことも手伝って。古
        書店に秘密が、いやそれ以外の場所には無いと思い、古書店
        へ忍び込む。老人の殺害された血糊のあと生々しい中で、老人
        の日記と、少女の人形を見つけ事件の真相を知る。
 第二場>古書店:悪魔の誘惑:(少年、少女、老人の幽霊、悪魔)
        悪魔は老人に少年の魂を取る事を同意させ、自分に合わせる
        ように命令し、老人の幽霊と共に少年の前に現われる。
        そして、少年に如何に老人達が不憫か訴え、少年に協力してく
        れるように懇願する。少年が魂を悪魔に売れば、老人達の仇を
        討つばかりか少年の願いをかなえ、少女を本物の人間に変え
        少年の恋人にしてあげると誘惑し、少年は同意する。
 第三場>古書店:最後の決戦:(少年、少女、老人の幽霊、悪魔、役人、
  悪徳商人)
        悪魔が、少年に契約書にサインを求めた時、役人と悪徳商人が
        古書店へ入って来る。悪魔や老人の幽霊が見えない彼らは、
        少年が抱きかかえる少女の人形を破壊しようと襲ってくる。
        少年は少女を守ろうとして立ちはだかり、役人の剣で怪我をす
        る。
        老人は悪魔に早く彼らを殺すように言い。悪魔も少年をここで殺
        されてはたまらず、少女に力を与え、老人は役人と悪徳商人を
        殺すように命ずる。
        役人と悪徳商人は起動した少女の人形に撲殺されて殺される。
 第四場>古書店:少年の決意:(少年、少女、老人の幽霊、悪魔)
        悪魔は少年に契約書にサインするように要求するが、老人は仇
        討を終えたので、これ以上少年を巻き込む事を嫌い、少女に悪
        魔を襲わせる。さすがに少女も悪魔には勝てず。投げ飛ばされ
        窓から飛び出して行く。
        少年は少女を追って窓から飛び降りる。少年を追って窓の外に
        出ようとした悪魔は日の出の光に照らされて、苦しみながら魔
        界へ去る。
        少女の人形を抱きかかえる少年を、窓越しに見ながら、老人も
        己が住まうべき地獄へ向かう。
        老人の姿が消えるのを見ながら、少年は壊れた少女の人形を
        抱えながら老人のような立派な魔術師になって、再びこの人形
        に生命を吹き込む事を誓うのであった。


 一気に書き終えた後、彼女はシャーペンを投げだす。
 側に置いてあったタバコを一本摘まんで弄ぶ。
 ピンと張り詰めた緊張がほぐれて、頭の中へ血流が流れ出す。
 タバコを持ったまま両手を頭の後ろで組み、椅子を後に倒すように伸び
をする。
「配役は難しいな。特にコッペリアはねぇ。」と呟く。

『自分は却下。あまりにも無感動過ぎてつまんない。その上、かなり高度
な演技力と表現力、そして運動能力を必要とする。やっぱりハンス君の方
が絶対面白そうね。感情の起伏が激しいし。と言っても誰が演じれるかな
コッペリア役』
 今一つ、キャスティング絞れない。

「まあ、いいか。なんとか成るでしょう。」
 手で弄んでいたタバコをくわえる。火はつけない。喫煙の習慣もない。
ただ、タバコを吸う人格を何度も演じるうちにタバコを持つくせだけついて
しまった。
 再びシャーペンを取ると、舞台装置のラフを書き始める。交差点の角に
古書店、その向かいに少年の屋根裏部屋。舞台真正面は道の絵をかけ
て、その裏に詰め所と、商人宅を隠す。

 ラフを書きながら再びイメージが始まる。一回転しながら、役人達を蹴り
殺していく少女の光景。驚きの中に憧れが一滴、心の水面を揺らす。
 私の中にドンドン少年ハンスが膨らんできて、詩織が小さく小さく縮んで
いくのが感じられる。

「そう、僕は魔術師見習のハンス………………………」

−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+

    チョコっと長いですかね。
    まあ、こんなところです。
    それでは。

  AufWidersehen  Viel Gluck !!
  ★ .。・:*:・`☆、。・:*:・`★ .。・:*:・`☆、。・:*:・`★ .。・:*:・`☆
          コトノハツムギ
                言葉  績樹(Tzummgi Kotonoha)
                E-mail   tinuzuka@skyblue.ocn.ne.jp
    ☆ .。・:*:・`★、。・:*:・`☆ .。・:*:・`★、。・:*:・`☆ .。・:*:・
`★

    

Goto (kataribe-ml ML) HTML Log homepage