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Date: Wed, 22 Dec 1999 16:10:33 +0900 (JST)
From: "E.R" <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 17096] [MMN] :「かさぶた」
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <199912220710.QAA56203@www.mahoroba.ne.jp>
X-Mail-Count: 17096
99年12月22日:16時10分33秒
Sub:[MMN]:「かさぶた」:
From:E.R
こんにちは、E.R@ぐう目が痛い です。
霙の街、書き溜めたののらすとです。
#よーするに、そんなにいっぱい書いてない(^^;;
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「かさぶた」
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走っていたら、転んだ。
持った瓶はとっさにかばったから、割れなかった。
膝が、がしゅ、と痛かった。
思ったより血が出た。
何だろう、と思って、破けたズボンの膝を見た。
かさぶたが、ずるりとむけてた。
この前、転んだ時に、このズボン破いたんだっけ。
「よこせよっ」
立つ前に、がん、と、蹴飛ばされた。
背中が痛かった。
瓶を、おなかの中に抱え込んだ。
牛乳の瓶。
配給の順番をずるずる後にされて、ようやく貰った瓶。
大丈夫、大丈夫。
蹴飛ばされても、握ってれば向こうは取れない。
向こうも、一人。
蹴飛ばすってことは、この男、ナイフを持ってない。
銃も、持ってない。
「よこせってばこの餓鬼っ」
伸びてくる手。
口の前を通った小指の横腹に、思いっきり噛み付いた。
ぎゃあっと、悲鳴がした。
でも、噛みついて離さなかった。
頭が持ちあがる。相手の男の顔が見える。
嫌な、味。
なんかぬるぬるした。
がっと、何かを噛み千切った手応えがあった。
どさん、と、身体ごと落ちた。
「こ、この餓鬼……っ」
言いかけた相手に、口の中のものを吐き出した。
近かったから命中した。
男は、なんかわあわあ言いながら手を抑えてたけど、あたしがもう一度噛み
つこうとしたら、そのまま逃げてしまった。
運が……良かった。
歯が痛かったけど、触っても、特別痛い、ってわけでもなかったから。
あたしは、まだ痛い膝を見てみた。
むけたかさぶたの一箇所だけがつながってぶらぶらしてたから、引っ張って
みた。
取れない。
ぴりぴり痛かったけど、そのまま引っ張った。
ぴいん、と、痛んで。
細く皮がむけるのと一緒に、かさぶたが取れた。
細い隙間から、血がわっと出た。
ズボンの白くなった糸が、どす赤い色になった。
かさぶたを、口に入れた。
鉄の味、っていうけど、にがかった。
にがくって、まずくって、涙が出た。
瓶は割れてない。
だから立ち上がって、家まで走って帰った。
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という……
大山美咲の一人称断片です。
小さい子の噛み付く力って並みじゃないっす(笑)
…………噛み付く:8、歯が丈夫:1くらいつければよかったか(爆)
>美咲のきゃらしー
ではでは。