[KATARIBE 17088] Re:[HA06P] 『雀』完成版

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Date: Wed, 22 Dec 1999 02:46:28 +0900 (JST)
From: ji-guy@dike.dricas.com
Subject: [KATARIBE 17088] Re:[HA06P] 『雀』完成版
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吉GUYです。
 
 この話を以前、投げたときは『雀』というタイトルでしたが、『化』と改題し
ます。
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エピソード『化』
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登場人物
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金元吉武(かなもと・よしたけ)
    :小柄な武術家。貧乏人。
 
早朝
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 手のひらの上に雀が一羽。
 はばたき、飛び立とうとする。
 
 SE      :チチチチチチ………
 
 バランスを崩し、翼をバタつかせるだけで、飛び立てない。焦るように雀がさ
えずる。
 
 吉武     :「…………」
 
 自分の手のひらの上でもがく雀を無表情に見つめる。
 雀は体制を立直し、両脚で体を支える。
 雀が飛び立とうとする力が掌に伝わる。
 
 SE      :チチチチチ…………
 
 またもバランスを崩し、もたつき、飛び立てない。
 
 吉武     :「…………」
 
 雀はこの動作を何度も繰り返していた。
 吉武は掌の上の雀を見てはいない……
 
 SE      :チチチチチチ………
 
 手のひらの上の空気を雀の小さな翼がかき回す。
 吉武は掌の皮膚感覚に全神経を集中させている。
 
 SE      :チチチチチチ………
 
 雀の飛び立とうとする僅かな力が伝わる度、掌を微妙に下げ、その力を化す。
 足場に向けた力が失われ、雀はバランスを崩し、もがく。
 
 吉武     :「…………」
 
 力の方向と強さを感じ、瞬時に化す。
 小兵が武術を修得する上で不可欠の技術を古の達人に倣い、小鳥で訓練する。
 
 吉武     :「…!」
 
 早朝の陽の角度はすぐに変わる。木々の合間をぬって、陽光が眼に刺さり、吉
武は眼を細める。
 
 SE      :チュチュチュンチュンチュン……
 
 吉武の気が逸れ、雀が飛び立つ。
 
 吉武     :(…………まだまだか……)
 
 雀が飛び去った方向を見上げる。眩しさで雀を見失った。
 
 吉武     :「…………」
 
 ポケットから米粒を一掴み取り出し、地面に撒く。編み篭を紐を結わえた棒で
支え、撒いた米に被せるように置き、茂みの裏側へ隠れる。
 
 SE      :チュンチュン……
 
 しばらくして雀が現れ撒いた米を、ついばみ始める。
 
 SE      :(腹が鳴る)
 
 吉武     :(……次のは朝メシにしよう………)
 
 雀      :「…ちゅんちゅん」
 
 
 
 
解説
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 吉武の朝の練習風景その2。
 
 
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 いじょです。先の『道』と併せて「道化」です。だめじゃん。
 
 吉GUY
 ji-guy@dike.dricas.com
    

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