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Date: Thu, 2 Dec 1999 17:35:03 +0900
From: gallows <gallows@trpg.net>
Subject: [KATARIBE 16703] [HA06P] 「紅翼グランプリ〜その観客の側の一風景〜
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <19991202083505.19540@mail.trpg.net>
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gallowsです。
ひさしぶりにエピソード書いてみました。すでに書き方わすれていた……(TT)
しかし、新しい方(挨拶や感想書きあまりしてなくてごめんなさい)の作品も
最近増えてROMするだけでもたのしいですね。
EP「紅翼グランプリ〜その観客の側の一風景〜」
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登場人物
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里見鏡介(さとみ・きょうすけ)
:死人使い……のはずだが、うつうつと絵を描き勉強する日々。
比企鐘継(ひき・かねつぐ)
:鏡介の従兄弟、武器や格闘技を愛する奈良のフリーター。
本文
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冬独特の空気はいつもとかわらないはずの部屋をより静寂なものへと錯覚さ
せる。里見鏡介は窓を開け放した部屋の中で、ひとり大きく息を吸い込んでみ
る。肺に冷たい空気が流れ込み心地いい。
それにしても静かだった。鏡介の住む風見アパートはその名の通り共同住宅
だ、しかも造りが古いので他の住人が生活する音が筒抜けなことも珍しくはな
い。
鏡介 :(平日の昼だし、みんな出かけてるのかな)
ごく自然な結論に達した鏡介は、目の前の白紙に向かう。絵を描くのだ。道
具箱から2Hの鉛筆を取り出し、従兄弟にもらったナイフで研ぎはじめる。それ
は鉛筆を研ぐにはいささか大仰な代物であったが、適度な緊張感を与えてくれ
るので愛用していた。
そしていざはじめようとしたそのとき、部屋の扉がけたたましく叩かれた。
鐘継 :「きょうすけー、おるんやろー。開けんかい!」
件の従兄弟だ。彼はこうして時たまこの部屋を訪れてはどうでもいいことを
とても嬉しそうに、もしくは大事のように話して帰っていく。不思議とそれを
迷惑に感じないのは彼がいわゆる「いちびり」ではなくて、わかった上であえ
てやっている節があるためだろう。
鏡介 :「鍵なら開いてるよ」
鐘継 :「おお、やっぱりおったかい。」
嬉しそうに入ってきた彼はジーンズのポケットからぐちゃぐちゃに丸められ
た張り紙を出す。おおかたどこかから拾ってきたのだろう。
鏡介 :「紅翼グランプリ……格闘技の大会か」
鐘継 :「われこれでもいってパーっと……」
鏡介 :「やだよ、先に言っておくけど」
鐘継 :「ちゃう、別に出ろ言うんやない。見にいかん?」
二十分程ごねて彼は帰り、結局鏡介は「紅翼グランプリ」を見に行くことに
決めた。おそらくいい気分転換にもなるだろう、ひさしぶりに同居人の勇那と
出かけるのも悪くない。
鏡介 :「しかし、商品が米か…… みんな生活辛いのかな」(笑)
解説
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里美鏡介と比企鐘継のある一日。
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