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Date: Tue, 30 Nov 1999 22:47:17 +0900 (JST)
From: ji-guy@dike.dricas.com
Subject: [KATARIBE 16686] [HA06P] 『真随』
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <199911301347.WAA12262@mailsv1.dricas.com>
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吉GUYです。
吉武の中国での過去話を一つ。
『真随』
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登場人物
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老師 :中国人。八極門の武術家。
金元吉武:日本人。老師の関門(最後の)弟子
師と弟子と
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吉武:「それでは、米国へ?」
老師:「息子が、向こうで事業に成功してね。孫も産まれたから、私に来いと
いうのだ。」
吉武:「おめでとうございます。」
祝辞を述べた。「もしや……」という考えが頭をよぎる。
吉武:「何時、お帰りに?」
老師:「もう、帰っては来ないよ。」
吉武:「…………」
老師:「向こうで息子や孫と暮らそうと思っている。」
吉武:「……そうですか。」
いづれ師との別れは来ると覚悟はしていたが、それが今とは思ってもみなかっ
た。
老師:「昔の弟子……お前の兄弟子にあたるか……が今、役人をやっていてね
、いろいろ便宜を図ってくれるので渡米は早くになりそうだよ。」
吉武:「……自分はまだまだ未熟者です。老師にはまだ……」
そこまで言って言葉を止めた。師の顔を見た。肌の染み、刻まれたしわ、白髪
……
老師:「私もね、……寂しくなったのだよ。」
吉武:「…………」
老師:「だから……」
老人を引き留めるような言葉を口から出すのは、ただの我侭に思えた。
老師:「今、最後の一手を授ける。」
吉武:「!」
老師:「不満か?」
老師の顔に笑みが走る。
吉武:「よろしくお願いします。」
テーブルや椅子をすみに退ける。打ち合う為の空間を造ると、部屋の中央で左
掌と右拳を合わせ、老師に礼をとる。
老師;「行くぞ。」
吉武:「ハッ!」
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続きます(^^;
吉GUY ji-guy@dike.dricas.com