[KATARIBE 16643] Re:[HA06]EP: 『米!米!米!』大会前編集版

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Date: Mon, 29 Nov 1999 01:09:04 +0900 (JST)
From: ji-guy@dike.dricas.com
Subject: [KATARIBE 16643] Re:[HA06]EP: 『米!米!米!』大会前編集版 
To: kataribe-ml@trpg.net
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吉GUYです
 
もう一回、大会前の吉武です。
今回、( )内でいろいろしゃべっています。
 
 『米!米!米!』
****************************************************************
登場人物 
-------- 
金元吉武:米のために闘うことを決意した武術家。
 
スポーツ用品店で
-------------
 吉武:(……こういうものか……)
 
 とあるスポーツ用品店に陳列してあるウレタンナックルを一つ、手にとって眺
める。
 
> ・出場者は安全確保の為、ヘッドギア、ウレタンナックル、ウレタンレッグ
を装着。
 
 吉武にはそういう防具を使用して試合をした経験が無かった。今日は防具がど
んなものかを知るために、ここへ足を運んでいた。
 
 SE:ぽむぽむ
 
 試しにウレタンナックルを装着し、いろんな角度で左右の拳同士を軽くぶつけ
てみる。ウレタンの弾力とゴムベルトが多少手首に違和感を与えるが、動きに問
題は無い。
 
 吉武:(しかし……これでは、拳と裏拳の破壊力が半減するな……)
 
 そのためのウレタンなのだが……。
 
 吉武:(……鳳眼拳(一本拳)、竜頭拳(中高拳)、把子拳(第二関節拳)も駄目か
   :……拳鎚(拳骨の小指側の面)も少々使い勝手が悪くなるな……)
 
 拳の形を次々と変えて具合を確かめる。ウレタンの部分は思いのほか大きく、
中国武術や古武術特有の拳の形をとっても、打突部分はかろうじて隠れていた。
吉武は八極拳独特の把子拳が封じられることに不満を感じた。
 
 吉武:(……指は使えるな……)
 
 金剛指(一本抜手)、仙人掌(四本抜手)、鷹爪手(五本抜手)、月牙叉手(親指と
人指し指をコの字型にする)と、手の形を変える。
 
 吉武:(金剛指が使えれば、点穴はできる。あとは……掌底、虎爪掌(猫手)、
   :鈎手も問題無し……か。)
 
 指をにぎにぎと動かす。
 
 吉武:(手技は……掌打が中心の闘い方になるな……掌なら拳より内臓や脳へ
   :のダメージが狙いやすい………寸打(間合い数センチで打つ打撃)も掌で
   :打つか……)
 
 吉武の中に「防具=安全性の確保」という発想が薄い。防具やルールを「技を
限定させるやっかいなもの」程度にしか認識していない。限定された中で如何に
有効に技を用いるかに知恵を搾っている。
 
 吉武:(……相手が掌を打って来たらそのまま掴んで、小指をヘシ折るか……)
 
 一度、武を用いることを決めたら、吉武の頭から「容赦」という言葉は消える
。武を用いることを合意した者同士の間で手加減は、相手への侮辱と自分の身を
危険に晒すことの両方の意味を持つ。
「怪我をするのは実力が無いからだ。弱い奴が悪い。」
 そういう価値観が当たり前のように通る世界で、武術を学んできた吉武は、相
手を潰すということに罪悪感を持っていない。
 
 吉武:(俺は、大技の蹴りは好きではないが……)
 
 ウレタンレッグも装着してみる。足の甲、脛、膝をウレタンがカバーする。
 
 吉武:(斧斬脚(かかと蹴り)で膝や脛を狙うのも、震脚(踏みつけ)で足の甲を
   :折るのも、ちと難しいか……)
 
 店内だということを忘れて、二三度低い蹴りを放つ。
 
 吉武:(爪先は問題無し、掃腿も有効、かかとや足刀を使うなら狙う位置を考
   :えろ……だな)
 
> ・プロテクターの無い顔面、及び、急所への攻撃は禁止、故意に該当個所へ
の攻撃を行ったとレフリーが認めた場合、失格とする。
  
  ヘッドギアの防御部分も確認してみる。大会で採用するものと同じかどうか判
らないが、参考になるだろうぐらいのつもりで被ってみる。
 
 吉武:(眼、耳、鼻、人中は無理か……)
 
 ヘッドギアとルールのため狙えない箇所が多い。
 ヘッドギアを装着したまま自分の顎をこづく。
 
 吉武:(……顎なら、まだいくらかダメージが来るか……) 
 
 ヘッドギアを脱ぎ、手足のウレタンをはずす。
 
 吉武:(……急所と言っても、人体は急所だらけじゃないか……)
 
 急所を研究し、正確に狙うことを鍛錬してきた吉武にとって、人体は急所の塊
である。急所を外して打てるかどうか自信がなかった。
 
 吉武:(……間接技は急所攻撃に入らんのか?……)
 
 急所への攻撃が禁止であれば、よほどの実力差や体格差が無い限り打撃では決
着がつかない。必然的に間接技や締技を考える。小兵のたしなみとして吉武は寝
技にも習熟していた。
 
 吉武:(……俺に老師ほどの功夫があれば……)
 
 数人の相手に組み付かれてもビクともしなかった老師の姿を思い出す。老師な
らばこの程度のルールの下でも立ち技のまま圧倒的な強さを示すだろう。そこま
で考えて、老師がこのような大会に出場するような人間では無いことを思い出し
た。
 
 吉武:(……ルールのせいで云々を言うようでは俺もまだまだだな……)
 
 店を出た。
 
 SE:ひゅう
 
 秋風が冷たかった。
 
 吉武:「…………」
 
******************************************************
 以上です。
  
 
 吉GUY ji-guy@dike.dricas.com
    

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