[KATARIBE 16582] [HA06]EP: 『米!米!米!』大会前編集版

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Date: Thu, 25 Nov 1999 15:52:06 +0900
From: 久志  <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 16582] [HA06]EP: 『米!米!米!』大会前編集版 
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99年11月25日:15時51分58秒
Sub:[HA06]EP:『米!米!米!』大会前編集版:
From:久志


 久志です。
米^3だいぶ話が進んできました(^^;)

 とりあえず追加分、修正分含めて。大会前日までのお話でまとめました。
一部キャラチャットをEP化したものも組み込みましたー

各自登場人物の追加などお願いします。

『米!米!米!』
****************************************************************
登場人物 
-------- 
 富良名裕也(ふらな・ゆうや) 
     :紅雀院大学文学部史学科一回生。お気楽極楽少年。 

 本宮和久(もとみや・かずひさ)
     :紅雀院大学法学部一回生。お人好しで苦労性。以外と強い。


それは米からはじまった
---------------------

 紅雀院大学。
 もともと文化系の大学である為、あまりスポーツ関連のサークルの話
は聞かない。世間一般のスポーツサークルは確かにあるが、他の文化系
サークルの規模と活動に比べればさほど大きなものではない。
 しかし、年に一度、彼らの血を熱く燃えさせるイベントが開催される
のであった。

 紅雀院最強を賭けて争う、紅翼グランプリが開催されるのである。


 フラナ  :「ね〜ね〜もっとみー!見て見てこれ〜!」
 本宮   :「ん、何だこれ?」
 フラナ  :「えっとね、あ、一口ちょーだい」
 本宮   :「ほら」

 ごっくん、と缶コーヒーを一口飲んで手にしたチラシを広げた。
 見出しに大きく紅翼グランプリとかかれ、リングのワンシーンを撮っ
たと思われる写真が大きくのっていた。

 本宮   :「紅翼グランプリ……K−1みたいなもんか?」
 フラナ  :「うん多分、それより優勝賞品見てよぉ」

 優勝賞品、主催者○○教授の実家から産地直送、コシヒカリ50Kg

 フラナ  :「お米だよ!お米!コシヒカリ50キロだって!」
 本宮   :「なるほど、これなら大抵の奴は欲しがるよな………
      :で、まさか……(汗)」

 嫌な予感がした。予感を裏切ることなく満面笑顔でフラナが口を開いた。

 フラナ  :「ねぇ〜出ようよ、もとみー」
 本宮   :「……あのなぁ(汗)」
 フラナ  :「大丈夫だよ、もとみー強いから絶対優勝できるって!」
 本宮   :「んなこと言っても、参加者は大勢いるんだろ。強い奴
      :だってざらにいるぞ、それに…」

 優勝賞品は米50kgである。それこそ日々の生活のかかった連中が目
の色変えて挑んでくるに違いない。

 フラナ  :「お米欲しいよぉ、応援するから出ようよ、ねっ」
 本宮   :「うーーーーん(汗)」

 確かに腕に自信がまったくないと言えば嘘になる。

 本宮   :「とりあえず、出てみるだけな。俺もたこ焼屋の手伝い
      :あるし」
 フラナ  :「ホント?やったぁっ!応援旗作るねっ!」
 本宮   :「……恥ずかしいからやめてくれ(汗)……それはそうと
      :ルールは?」
 フラナ  :「えーっとね、何々……」

 『紅翼グランプリ』大会要項

 ・対戦は1対1の勝ち抜き戦とする。
 ・対戦の組み合わせは申込締め切り後くじ引きにて行う。
 ・セコンドは二人まで認める。
 ・武器、飛び道具の類は使用禁止、使用した場合は即時失格とする。
 ・出場者は安全確保の為、ヘッドギア、ウレタンナックル、ウレタンレッグを装着。
 ・プロテクターの無い顔面、及び、急所への攻撃は禁止、故意に該当個所への攻撃を行ったと
  レフリーが認めた場合、失格とする。
 ・勝敗判定はギブアップ、もしくはダウン後の10カウント、リングアウト、TKOとする。
 ・尚、死して屍拾うもの無し。

 本宮   :「この……最後のが……すっごく気になるんだけど……」

 早くも参加を後悔しはじめた本宮であった。


米想う、故に覆面
-----------------

 祐司     :「本当に出るのかい?」
 某      :「出ますっ」
 祐司     :「後悔しないね?」
 某      :「しませんっ」
 祐司     :「……君の名誉が傷つくだけだと思うけどねぇ」
 某      :「優勝して手に入れられる名誉に比べれば、大したことは
        :ありません!」
 祐司     :「……優勝して手に入るのは米だけだと思うけどなぁ……」

 手元の紙に、隣の教室の助手である後輩の名前を書き込む。

 『紅翼グランプリ参加登録用紙』
 紅雀院大学文学部国史学科助手・某、参加登録。

 ちなみに祐司は、そんなところに出て生きて帰れる自信はないので、申し込
みなどするわけがない。

 祐司     :「職員が出てるなんてわかったら、恥ずかしいよ?(^^;」
 某      :「当日は、マスクを着けていきますよ」
 祐司     :「……(^^; でも、その年で米がほしくて登録したなんて
        :言ったら……」
 某      :「……まあ、一人暮らしですから……」
 祐司     :「ぼくらもう30だよ?(^^;」
 某      :「……(^^;;;」

 もっとも、彼らしきマスクマンが優勝したという話は、結局聞くことはなか
った(笑)。


米のためなら
------------

 一十    :「なんでこの年になっても手伝わされるんだよー」
 後輩高橋  :「原稿落したアンタのお蔭で、印刷遅れたんだ。とっとと働
       :かんかいこのボケ」
 一十    :「ううっ、しくしく」

 秋も深まる吹利学校大学部学生会館。一世代旧式の印刷機の前でぼやく男が
一人。
 学祭シーズンで(自分の責任もあって)手伝わされている。
 
 一十    :「そういや、俺は他の大学の学祭とか見に行ったことがない
       :んだよなぁ」
 荒廃高橋  :「おら、手を休めずゲスプリンター様にご奉仕せんかい。じ
       :ゃあ、イラスト奴隷の方見てくるから、キリキリ働く様に」
 一十    :「あううう」
 
 悲鳴を上げつつも、こうしたお祭り事はキライでは無い。
 いや、積極的に好きだと言ってもいい。しかし、今年はベーカリーで知り合
ったさまざまな人達のいる、他校の学祭にも顔を出してみたかった。

 と、そのとき他のサークルの話す言葉が聞こえた。

 学生A   :「へー、コシヒカリ50キロねぇ」
 学生B   :「優勝賞品としてはなかなかだよな」
 学生A   :「紅雀院大学が、腕に覚えのあるやつが出るんだろうな」
 学生B   :「所詮、アトラクだろ」

 万年びんぼー学生の目が光った。
 しばらくして。

 荒廃高橋  :「……どこへ逃げたあの馬鹿ヤロー!」

 怒号が響き渡った。

 一十    :「久しぶりに、体動かすのも楽しみだな。体動くかな」

 一十はMTBにまたがると、紅雀院キャンパスを目指した。


お酒はお米でできています
------------------------

 紅翼グランプリ開催のお知らせ。
 優勝賞品、主催者○○教授の実家から産地直送、コシヒカリ50Kg

 ここにチラシを眺めつつ思案に暮れる人が一人

 緑      :(うーん、確かお米……もう無くなってきてしなぁ)
 翡翠     :『お酒作るからでろー、何なら俺様が出てやる〜』
 
 頭の中でぎゃーぎゃー騒ぐ翡翠である
 
 緑      :「はぁ」
 美々     :「よっ」(緑の肩をたたく)
 緑      :「あっ、美々さん」
 美々     :「お昼たべにいかへん?」
 緑      :「あ、いきますぅ」

 とりあえずチラシをポケットにつっこみつつ、美々に引っ張られて行く緑であ
った。


米と誇りと生活と
-----------------

 『紅翼グランプリ開催』

 たまたま通りかかった路地に張られた、一枚のイベント告知のポスター。
 それを見つめる一人の男。

 吉武 :「…………」

 電話の支払い日が迫っている。電気とガスと水道もいいかげんほっとくと止め
られてしまう。公共料金の類を払ったら、食費にまわす金が危うい。

 吉武 :(武術(ウーシュ)は見せ物では無い……か。)

 師の言葉を思い出す。

 吉武 :(曰く「危急の秋(とき)、武を以て生きぬく術(すべ)也」……) 

 言葉を並べてみても、現実の軽い財布と空腹は変わらない。

 吉武 :「…………………………………………………………………でよ」

 優勝賞品米50kg

 ・
 ・
 ・

 覚悟は決めた。師の教えに背くことにも……

 吉武 :(……まあ、これも武を以て生きるということだ。)

 でも、ちょっとだけ言い訳した。


おいしい御飯はしあわせの源です
------------------------------

 ちりりん♪

 尊    :「ありがとうございました〜またどうぞ〜(にこ)」

 鉢植と花束を抱えた客がドアの鈴を鳴らして出て行くのを見送り、今日も今日とて
華やかな Flower Shop Miko。

 尊    :「えーっと、午前中の分は……(伝票ぺらぺら)うん、終わりかな?
      :ちょっと一休みしよっ〜と」

 薄いブルーのエプロンを外して、うーんっ、と伸びをして肩を揉み解す。

 尊    :「……どーも……最近運動不足ねぇ……(苦笑)」

 首をこきこきと回しながら、腕や肩を回す。

 尊    :「うー……このまんまじゃ、おばさん入りそう(苦笑)なんか運動始め
      :ようかしら」

 ちりりんっばったん。

 直紀   :「おねーさーんーこんにちはっ(にこにこ)」
 竜胆   :「ちゃわ〜☆みこちゃん」
 尊    :「あら、りん姉様に直ちゃん、いらっしゃい(にこ)ちょうど今、お茶
      :にしようと思ったのよ、一緒にどう?」
 直紀   :「うんっそう思ってお茶菓子買ってきたよ〜」
 尊    :「あーこのお店のレアチーズケーキ!食べたいと思ったの〜(にこにこにこ)」
 竜胆   :「でしょっ?ここの美味しいのよね〜」

 きゃいきゃい(笑)
 「娘三人寄れば姦しい」と言うが、店内に一気に華が咲いた。

 尊    :「りん姉様、お茶もう一杯いかが?」
 竜胆   :「うん、もらう〜」
 尊    :「あら、ポットが空になっちゃった、お湯足してきますね(かたん:席を立つ)」

 ひらっ。
 テーブルの端から落ちる紙切れ。

 尊    :「あら?何か落ちて……何々……」
 竜胆   :「ん?あ、それ?何でも、紅雀院大学の学祭のイベントで、
      :『紅翼グランプリ』ってのがあるのよ、んで、それのチラシ」
 尊、直紀 :「『紅翼グランプリ』?」
 竜胆   :「そっか、みこちゃんも、直ちゃんも地元出身じゃ無いから知らない
      :んだ、ん〜『紅翼グランプリ』ってのは、紅雀最強をかけて闘う、いわ
      :ゆるK−1みたいなもんなの、学祭のメインイベントね(笑)」
 尊    :「ふーん……(K−1……そう言えば、アンディ・フグの「踵落し」
      :今度習得してみようかしら?)」

 をい……(汗)。

 直紀   :「なんか面白そ……あ、ねーねー尊おねーさん(くいくいっ)」
 尊    :「……(フラワーアレンジの教室に来てる娘が痴漢撃退の技を教えてって
      :言ってたし……あ、コマンド・サンボもいいかも……)」

 ……(滝汗)。

 直紀   :「ねーってば〜(くいくいっ)」
 尊    :「えっ…あ、え?なぁに?(にっこり)」
 直紀   :「ここに、『外部参加大歓迎!いっちょかかって来い!』って書いてあ
      :るよ(笑)」
 尊    :「まさか……直ちゃん……(汗)」
 直紀   :「うん、尊おねーさん出ようよ〜(にっこにっこ)」
 尊    :「で、出ようって、あ、あのね(汗)あ、あたし女の子だし……ね、ねぇ?」
 竜胆   :「みこちゃんなら優勝出来ると思うけどなぁ( ̄▽ ̄)」
 尊    :「りん姉様まで〜(汗)無理ですってば〜、あ、ポットお湯入れなきゃ」

 いそいそと、奥へお湯を取りに行く……が。

 直紀   :「あ、優勝賞品は…コシヒカリ50Kgだって(笑)」

 ぴくっ。

 尊    :「直ちゃん……(ゆらっ)」
 直紀   :「ん?って……(汗)」

 直紀達に背を向けたまま、尊の背に立ち上る闘気。

 尊    :「今、なんて言った?……(淡々)」
 直紀   :「ゆ、優勝賞品は『コシヒカリ50Kg』」
 竜胆   :「み、みこちゃん……コスモ燃えてるよ……( ̄▽ ̄;)」
 直紀   :「あ、あはは(汗)」
 尊    :「ふふ……美味しいお米が50K……」

 ひゅっ。
 何の予備動作も無しに尊の身体が閃き、直紀の持った申し込み用紙を白い電光が薙いだ。

 直紀   :「ひゃっ(びっくり)(すっぱり切れてる申込用紙)……(汗)」

 剃刀のように紙を切り裂いたのは、一動作で放たれた尊の蹴りであった。

 尊    :「久しぶりに……一暴れ……してみますか(くすっ)」
 竜胆   :「みこちゃん……」
 尊    :「なぁに、りん姉様?止めても無駄ですよ(くすくす)……出るって
      :決めちゃったから」
 竜胆   :「ううん、そうじゃないの、あのね……そういう事は、スカートはいて
      :やらない方が……」
 尊    :「……(汗)」
 竜胆   :「……(汗)」
 直紀   :「……ブルー(ぼそっ)」

 そして。

 尊    :「きぃゃぁぁぁぁぁぁぁあ(真っ赤)」


対食料難的参戦?
---------------

 某日、瑞鶴。
 妙な顔をして、花澄が会計の台をの上を眺めている。
 入り口の猫が、ううん、と、一つ伸びをした。

 花澄     :「……店長……これ、何?」
 店長     :「あ?」
 花澄     :「これ」

 一枚のビラをつまみあげる。
 
 店長     :「あーそれか……この前、紅雀院大学の学生が本買ったつ
        :いでに置いて行った」
 花澄     :「…置いて行った……って……(汗)」

 インクの匂いのしそうなビラに、『紅翼グランプリ』の文字が黒々と(笑)

 花澄     :「で、お米50kgバトル……(汗)」
 店長     :「学生って未だに貧乏なんだなあ(ちょっと遠い目)」
 花澄     :「そーじゃなくって(汗)だって店長、このビラ、ここに
        :おいといても、仕方がないんじゃ」
 SE     :がらがらっ
 花澄     :「っと、いらっしゃいませ……あ、フラナ君、本宮君」
 フラナ    :「こんにちはっ」

 と……
 フラナの視線が、丁度花澄の持っていたビラに注がれる。

 フラナ    :「え、花澄さんも紅翼グランプリ出るの?」
 本宮     :「えっ?!(一瞬顔面蒼白)」

 ……その台詞を真面目に言うからこそのフラナであり、まともに取って驚く
からこそのもとみーである、と言えるわけだが。

 花澄     :「へ?……(手元に視線を戻して)……あ、これ?これは
        :ここに置いてあっただけ(笑)フラナ君出るの?」
 フラナ    :「ううん、ぼくじゃなくってもとみーが出るのっ」
 花澄     :「本宮君が?どうして?」
 本宮     :「……成り行きで」
 花澄     :「でも、本宮君は自宅通学よね?お米に困ってはいないで
        :しょ?」
 本宮     :「それは……困ってないんですが」
 花澄     :「そっか(笑)本宮君は、本来の意味で出るのね」
 フラナ    :「本来?」
 花澄     :「紅雀院最強を目指して、かな?(笑)」
 本宮     :「それほど大それたことでもないんですが(汗)」
 花澄     :「でも、本宮君は強いから」

 すとん、と、ごくなんでもなげに言う。
 
 花澄     :「でも、気をつけてね。本宮君真面目だから真正面からの
        :攻撃には強そうだけど、からめ手は苦手みたいだから」
 本宮     :「……って」
 花澄     :「例えばね、私が出たら、本宮君殴るのに一瞬手加減する
        :と思うんだな」
 本宮     :「……(ちょっと図星)」
 花澄     :「相手がちかちゃんだったら、やっぱり躊躇うでしょ?
        :(笑)」
 本宮     :「……(きっちり図星)」
 花澄     :「お米50Kgだものね。からめ手だろうが多少のずるだろう
        :が、やって損はない、って考える人が出かねないって気も
        :するから……気をつけてね(一瞬真剣)」
 本宮     :「はあ(汗)」

 気をつけて、という言葉がどうも不吉に響くのである。

 フラナ    :「もとみーなら大丈夫だよっ(にぱっ)ねー花澄さん、一
        :緒に応援に行かない?」
 花澄     :「応援……うーん、ずっとは無理だけど、そうね、本宮君
        :が出るなら行こうかな?お弁当持って(笑)」
 フラナ    :「わーいっ(嬉々)」

 果てしなく誤解しているな、と、店長が呟く。
 完全に無視して、花澄がもう一度手もとのビラを見やる。

 花澄     :「でも、お米50Kgかあ……出てみよっかな?(笑)」
 本宮     :「……か、花澄さんっ?!」
 花澄     :「お米、風見アパートに寄付したいなー……あそこ、永久
        :カレーの鍋もあるし、お米の使い道には困らないでしょ?」

 えらい真面目な顔でそこまで言って、本宮の表情を見やり……堪えきれずに
花澄は笑い出した。

 花澄     :「冗談ですってば(笑)」
 本宮     :「……心臓に悪い冗談ですね(苦笑)」
 フラナ    :「あ、冗談なんだあ(ちょっとがっかり)」

 あおん、と、猫が嗤うように鳴いた。


水面下の策略または執事の宿命
----------------------------

 ある日の無道邸。

 千影     :「ねぇねぇ、前野さん」
 前野     :「はい、なんですか?」

 仕事の手をとめて振り向いた。

 千影     :「今度の日曜日ってあいてる? あいてるならみんなで、
        :うちの学校の学祭行かない?」
 前野     :「あぁ……もうそんな時期でしたね……」

 こう見えてちょっと前までは大学生だった前野氏。短かった大学生活を思い
出したのか、少し遠い眼になる。

 前野     :「結構大きな規模でやりますよね?」
 千影     :「うん、けっこう大きいよ☆」

 パンフレットを差し出して悪戯っぽく笑う。

 千影     :「量ちゃんも誘ってみたら?(クスクス)」
 前野     :「ふふふ……(苦笑)」

 ぱらぱらとパンフレットをめくる、なかなか企画の種類は多い。

 前野     :「へぇ……やっぱり、委員会主催のイベントも、幾つか大
        :きいのがありますねぇ……」
 千影     :「いろいろとおもしろそうなイベントあるみたいよ」
 前野     :「タレントとかも呼ぶんですね……あとは、随分と出店も
        :多いな……」

 そのなかで、ひときわ目を引く太字の広告があった。ふと目を留めてみる。

 前野     :「あはは、こんなのまでやるんですか(笑)」

 例によって紅翼グランプリの記事である。むしろ目を引くのは太字でフォン
ト二倍で書かれたコシヒカリ50キロの文字である。ご丁寧に影つき括弧つき
で書かれている。

 千影     :「あ、米争奪バトルとかっていうやつね」
 前野     :「そうそう。こんなの出る人いるんですかね(苦笑)」
 千影     :「結構参加者いるみたいよ、部外者もおっけーだし……わ
        :たしもでようかな?(クスクス)」
 前野     :「……へ?」
 千影     :「だっておもしろそうじゃない☆(クスクス)」
 前野     :「ちょっと、昼間はきついんじゃぁ……」
 千影     :「クスッ……よく見て会場は体育館よ☆(ニコ)」
 前野     :「いや、でも。それ以前に、カタギの衆に怪我でもさせた
        :ら(汗)」
 千影     :「だいじょーぶ、本気ではやらないし(クスクス)」
 前野     :「う〜む…(汗)」

 本気で殺ったら一大事だ。

 前野     :「まぁ、どうしてもというなら……気を付けて参加して下
        :さいね。応援していますから」
 千影     :「うん、ありがと☆(ニコ)絶対に応援にきてね☆」
 前野     :「はい。みんなで行きますよ(笑)」

 しかし、この時千影の笑みの裏に潜んでいる計画に前野は気づく由もなかった。


米にかける意気込み〜本宮の場合〜
---------------------------------

 なんだか妙なものに巻き込まれてしまった。

 本宮   :「ふぅ」

 ブルーのスウェットに身を包んで川沿の道をペースを守って走る。成
り行きとはいえ試合に参加するとなれば練習はもっとしっかりしておか
ないといけない。

 本宮   :「はぁ…」

 一息ついて首にかけたタオルで汗を拭う。河原の道沿いを五往復、走
り出した頃には夕焼けで明るかった空もすっかり暮れて人気もなくなっ
ている。

 本宮   :(やっぱり、参加してくる人はそれなりに腕も立つん
      :だろうな)

 腰を落として拳を握る。

 本宮   :(自信がないわけじゃないけれど…)

 息を詰める。

 本宮   :(あまり気が進まないな)

 素早く拳を突き出す。
 首にかけたタオルが大きく揺れた。

 本宮   :「やっぱ性格かな」

 苦笑してまた走り出そうとするとすぐ目の前に人が立っていた。

 吉武   :「………」
 本宮   :「あ(汗)」

 立っていた男と目が合う。慌てて取り繕うように男とすれ違い元の道
を走りはじめた。

 本宮   :(やばい……変人と思われたかな)

 走っていく本宮の背中を見て、男が一言つぶやいた。

 吉武   :「……できるな」

 ぽつり、とつぶやいて男は反対の道を歩いていった。


祭だ!祭だ!お祭りだ!
----------------------

 ここは、閉店後の Flower Shop Miko の二階。
 尊の自室。

 直紀   :「うーん……」
 竜胆   :「うーん……」
 尊    :「(苦笑)」

 床に広げられた様々な衣装。
 尊が『紅翼グランプリ』に出場を決定したため、作戦会議と称して集まったの
だが……。

 直紀   :「この、前に使ったモリガンスタイルも捨て難いよ〜」

 ひらっ。
 床から持ち上げたのは、黒レオタードに蝙蝠マークの入ったシースルーの黒タイツ。
 言わずとしれた、モリガンスタイル。

 竜胆   :「そうだよねぇ……みこちゃん背が高いから、そっちもいいなぁ……」

 名残惜しそうに竜胆がいじくってるのは、胸に薔薇をあしらった黒のパリっとしたスーツ。

 尊    :「あの…そ、そんなに凝らなくても……(汗汗)」
 竜胆、直紀:「だめっ!(ハモリ)」
 尊    :「あう(汗)」

 事の起こりは出場衣装について、尊が「え?普通の空手着にしょうかと……」
等と口走ったため、「だめっ!お祭りには相応しい格好しなきゃっ!」
 と竜胆&直紀が燃え……もとい、萌え始めた事にある。
 まぁ……二人とも、真剣な目の割には「みこちゃんで着せ替えしたい」って顔に書いて
あったが(笑)。

 尊    :「ま……いいかぁ(苦笑)……それにしても……次は特訓でもやらされ
      :そうね(吐息)」

 甘かった。
 この二人がお祭り騒ぎに絡んできたのだ、無事で済むわけが無い。と。
 違った意味の『無事で済まない』だが(笑)。


米に集いし者達
--------------

 学園祭を前日に控えた紅雀院大学構内、連絡用掲示板前に黒山の人
だかりができている。

 学生A  :「まだかな……」
 学生B  :「そろそろじゃねーか?」
 学生C  :「おっきたぞ!」

 視線が注ぐなか、運営委員二人がかりで一枚の模造紙が掲示板に張
り出された。手書きの少々右下がりがちの文字で書かれている。

『紅翼グランプリ参加者一覧』

 本宮和久(もとみや・かずひさ)
 アルティミットサンダー(匿名希望)
 一十(にのまえ・みつる)
 水島緑(みずしま・みどり)
 金元吉武(かなもと・よしたけ)
 如月尊(きさらぎ・みこと)
 前野浩(まえの・ひろし)
 浅井量子(あさい・りょうこ)

 (その他色々)

 以上

 学生A  :「おー外部参加多いなー」
 学生B  :「女の子も結構いるぞ」
 学生C  :「今年のオッズはどーなるんかな」

 瑞希   :「うふふ、今年は波乱になりそーねっ」
 勝負師1 :「へへっワクワクするぜぇっ」
 瑞希   :「よーし!今日中に参加者のデータ集めよ!明日朝市
      :でオッズ張り出すわよ!」
 勝負師2 :「おー!!」

 学生A  :「んー今年は予想しづらいなー」
 学生B  :「まー法学部の本宮はいーとこくるんじゃないか?て
      :いうか外部に優勝もってかれんのしゃくだし」
 学生C  :「いやー俺、アルティミットサンダーいってみよっか
      :なーなんて思ってるけど、名前が良さげでさ」
 学生A  :「んーでも水島さんに賭けてもいいなぁ」

 紅翼グランプリ、表の米争奪戦、裏の勝負合戦。
 いずれも魂を熱くさせるイベントである。

 紅雀院最強は誰だ?!
 ………ていうか米ゲットするのは誰か?

 決戦は翌日。

****************************************************************
そして学園祭当日へと続く…のかな?

 間にこんなの入れたいとか、参加者一覧に名前がないよーという方は
追加してくださいー




    

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