[KATARIBE 16495] Re: [HA06] 小説『紅い雪の記憶』第4章

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Date: Thu, 18 Nov 1999 23:46:09 +0900
From: Kakeru Aozora <kakeru@trpg.net>
Subject: [KATARIBE 16495] Re: [HA06] 小説『紅い雪の記憶』第4章
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かけるん@うぐぅ。ひさびさにKanonやったにょです

第4章です。

狭間06小説『紅い雪の記憶』第4章
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 朝のHR。まだ深雪が来ていない。
「2日目からいきなり遅刻するか。普通」
 かけるはぼやく。
「風邪かもしれないよ」
 香澄がフォローする。
 とか言っているところに大山先生が入ってきて。
「今日、深雪は風邪で休むそうだ」
 ブーイングが起こる。
「おまえら、学校に何しにきているつもりだっ」
「転校生の金髪を見に」
「帰っていいぞ。相山」
 軽く笑いが起こる。

4時間目は科学の自習
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 4校時開始の鐘が鳴って10分。科学担当の佐々木先生はまだ来ない。クラス
の中は雑談に忙しい。
「先生呼んできたほうがいいのかな」
 とは委員長の言。
「行ってらっしゃい」
 かけるは手を適当に振る。
「ついてきてよ」
「はぁ。なんで」
「寒いから」
 理由になっていない。
「僕だって寒いよ」
「あなたこの寒い中女の子一人で廊下に出ろと」
「うん」
「うんじゃないでしょっ」
 香澄はあきれたようにかけるを見て。
「いいわよもう」
 一人席を立って、扉を開ける。
 だれもいない静かな廊下。外ほどではないが、寒い。
 後ろ手にドアを閉めようとすると途中で止まる。
「ったくもう」
 かけるは扉をくぐって自分で閉める。ちゃっかりコートを着ている。
「さ、寒い」
「だったら着てくればいいじゃないか」
 と言いながら、香澄にコートを羽織らせる。
「後ろのロッカーに入れているんだもん」
「クラスに戻る前には返せよ」
 階段を降りて、保健室前を通って西昇降口前に。隣に職員用の中央玄関があ
る。『昭和60年度卒業生一同』と書かれたおおきな鏡がある。
 校長室前を曲がって職員室に。
 ノックを3回。挨拶をしてはいる。
「科学科の佐々木先生はいらっしゃいますか」
「佐々木先生。今日来てないよ」
 とは科学のほかの先生の話。
「なにか自習課題とかってありますか」
 と香澄が問う。
 先生は職員室となりの印刷室に入って、
「とりあえず、このプリントでもやっていて」
 と束を渡してくる。
「ありがとうございました」
 一礼して退出。
「先生どうしたんだろうね」
 廊下で香澄が呟きのように問う。
「なんか事故でも起こしたのかなぁ」
「病気かもしれない」
「病気だったら学校に連絡来ないかな」
「だったら、事故でも連絡が来るぞ」
「そうだね」
「もしかして、急病で電話機のところまで行く体力がないのかもしれない」
「それは本当に危険だよ」
 階段まで来て、かけるは歩みを止める。車が1台、校内に入ってきた。運転
しているのは佐々木先生。1段目に足をかけていた香澄は振り返る。
「どうしたの」
「ちょっと、先に行っていてもらえるかな」
「どうしたの」
「ちょっとトイレ」
「待たないわよ」
 香澄が上がっていったのを見て、かけるは昇降口まで戻る。
 職員玄関。ちょうど佐々木先生が正面玄関から入ってきたところだ。
 眼鏡が曇っている。首に細い金属の鎖がかかっている。胸元に何かさげてい
るのだろうか。
「おい。どうしてこんな時間にこんなところにいるんだ」
「先生が来ないので呼びに行こうと思いまして」
「そうか。今行くから待っていろ」
 といって、右足を引きずりながら職員室に向かっていった。
「足どうかなさったんですか」
 と声をかけてみると、
「今朝階段で転んでな」
 と答。
「保健室にいかれたほうが」
「病院にいってきたから大丈夫だ」
 かけるも教室へ戻る。
 自席に戻り、かけるのコートを着てにこにこしながら頬杖を突いて半分目を
閉じている香澄に声をかける。
「コート返して」
「寒いから嫌」
 目をつぶったまま答える。
 かけるはあきらめて座る。鉛筆を取り出す。隣の席からプリントをこっそり
とって写し始める。
「らぶらぶですなぁ」
 と背後から声。相山だ。
「何しに来たんだお前は」
「3人よれば文殊の知恵というじゃないですか」
 つまりは写しに来たと言うことだ。
「僕たちは全然知恵なんか使ってないけどな」
「楽をするのも知恵だ」
 5分経過。相山はシャープペンシルをまわしながら席に戻り、寝る。
 香澄のプリントを戻し、自分のプリントは後ろの席の奴に見せてやる。
「先生来ないなぁ」
 呟く。
 結局、4時間目は最後まで自習だった。
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蒼空かける                       kakeru@trpg.net

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