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Date: Thu, 11 Nov 1999 00:55:26 +0900 (JST)
From: ji-guy@dike.dricas.com
Subject: [KATARIBE 16349] [HA06P] :『雀』
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <199911101555.AAA13779@mailsv1.dricas.com>
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ど〜も吉GUYです。
吉武の練習風景を書いてみました。
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登場人物
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金元吉武:小男な武術家。貧乏人。
早朝
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手のひらの上に雀が一羽。
はばたき、飛び立とうとする。
SE:チチチチチチ………
バランスを崩し、翼をバタつかせるだけで、飛び立てない。焦るように雀がさ
えずる。
吉武:……………………
自分の手のひらの上でもがく雀を無表情に見つめる。
雀は体制を立直し、両脚で体をしっかりと支える。
雀が飛び立とうとする力が手のひらに伝わる。
SE:チチチチチ…………
またもバランスを崩し、もたつき、飛び立てない。
吉武:……………………
雀はこの動作を何度も繰り返していた。
吉武は雀を見つめ続け……いや、視覚には頼っていない。
SE:チチチチチチ………
手のひらの上の空気を雀の小さな翼がかき回す。
吉武は手のひらの皮膚感覚に全神経を集中させている。
SE:チチチチチチ………
雀の飛び立とうとする僅かな力が伝わる度に、手のひらを微妙に下げ、その力
を逃がす。
足場に向けた力が失われ、雀はバランスを崩し、もがく。
吉武:……………………
力の方向と強さを感じとり、瞬時に化す。それは小兵が闘う為に必要不可欠な
技術であり、この雀に迷惑な行動はそのための訓練である。
吉武:……………………!
早朝の陽の角度はすぐに変わる。木々の合間をぬって、朝陽が眼に刺さり、吉
武は眼を細める。
SE:チュチュチュンチュンチュン……
吉武の気が逸れた隙をつき、雀が飛び立った。
吉武:(…………まだまだか……)
雀が飛び去った方向へ顔をあげる。練習の時はサングラスをかけてはいない。
朝陽の眩しさの中で、雀を見失った。
吉武:(こんなことでは古の達人に到底及ぶまい……)
ポケットから米粒を一掴み取り出し、地面に撒く。編み篭を紐を結わえた棒で
支え、撒いた米に被せるように置き、茂みの裏側へ隠れる。
SE :チュンチュン……
しばらくして雀が現れ撒いた米を、ついばみ始める。
SE:Guuuuuuuuuuuu
腹が鳴った。
吉武:(……次のは朝メシにしよう………)
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んん〜、オチが弱かったッス。
吉GUY ji-guy@dike.dricas.com