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Date: Sun, 07 Nov 1999 22:13:33 +0900
From: 瑠璃 <lurimu@geocities.co.jp>
Subject: [KATARIBE 16278] [HA06P] EP: 「春の陽射しの下で(仮)」
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <199911071308.WAA13868@mail.geocities.co.jp>
X-Mail-Count: 16278
こんばんは、瑠璃@かけるん迎撃〜♪ です〜。
かけるんと久志しゃんに会えたの(喜)
遅刻者が多かったけど(苦笑)、楽しかったの。
久志さん、D16さん、EP待ってます〜(邪笑)
そーそー、だれか、オフレポ書いてねっ>わたし以外の人
つーわけで、催促されたので。
公演終わってようやく少し余裕できたし。
悠……じゃない、銀佳がどこぞで告知していた、3人の日常のEPです。
つっても、もう1週間以上前のことかあ……(とーいめ)
書きかけまんまずっとほっといてたんだけど(汗)
ほぼ全て実話(苦笑)
ユウリ君、熟睡してました〜(笑)
う”〜〜、はっきり言って失敗作です(涙)
銀佳、ゆうりん、書き直して〜!!
今日書いた部分、勢いだけだからなあ(汗)
所要時間30分か……。ならさっさとかけよっ>己
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エピソード「春の陽射しの下で(仮)」
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登場人物
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水瀬璃慧(みなせ・あきえ)
:吹利学校高等部1年。小説書くのが好き。最近どうも忙しい。
白月悠(しらつき・はるか)
雪丘望(ゆきおか・のぞむ)
どっか行こっ
------------
10月も残りわずかとなったある日。
昨日の大雨が嘘のように空は澄みきっていて。
真っ青な空と輝く太陽が目に眩しかった。
璃慧 :「はるかー、どっかいこーよお」
3階にある教室で。
自分の机に伏せている悠に声をかける。
5限目は珍しく休講だった。せっかくの天がくれた時間、騒がしい教室でく
すぶっていたくはない。
璃慧 :「ねぇ、悠?」
しゃがみこんで、顔を見つめる。
でも、何も言ってくれなくて。すぐに顔をそむけちゃった。
璃慧 :「望ぅ、手伝ってよ〜」
ぼーっと、後ろで見物を決め込んでいた望に声をかけた。
望 :「がしっ」
返事代わりに効果音を発して。
悠を引っ張りにかかる望。
連れて行こうとしたり、この場にいさせようとしたり。
笑いながらしばらくじゃれあっていた。
もう、すっかり日常になった光景。
どこへ?
--------
しばらくして。
ようやく悠も、この場を離れる気になって、
レポート用紙だの、筆記用具だのをまとめ終えた。
璃慧 :「行こっか」
悠 :「でも、どこに?」
璃慧 :「どっか」
あてもなく歩き出してから。
悠が問いかけた。
冗談めかして答えたあと。
璃慧 :「別にどこだっていいよ。
:ただ、教室にいたくなかっただけ。」
望 :「席、占領されちゃってるしね〜。
:……僕は寝たい……(ぼそっ)」
悠&璃慧 :「(苦笑)」
悠 :「それで、どうするの?」
璃慧 :「うーん、図書室は…………」
とか言ってると、ちょうど図書室の前で。
廊下側の窓から中をのぞくと、異様な雰囲気に包まれていた。
そろそろ切羽詰まってきた3年生たちが勉強しているのだろう。
璃慧 :「駄目だね(苦笑)
:……うーん、音楽、授業やってるかなあ?」
望 :「あ、練習ってのもいいなあ」
すっかり、3人の避難場所(?)と化している音楽室。
朝や休み時間、放課後はあいているが、さすがに授業中は……。
悠 :「えっとお……
:授業、やってるはずだよ」
確かに、ピアノの音がかすかに聞こえてきた。
璃慧 :「むー。どうしよっか?」
決めかねているうちに、一階まできていた。
外で
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何とはなしに校舎の外に出て行くと。
やわらかい陽光が惜しみなくふりそがれていた。
コート面では、ボールを追いかけるもの、ラケットを手にするもの、
みな思い思いのこと、している。
璃慧 :「どうしよっか?」
望 :「……寝たい……」
悠 :「望くんを寝させてあげない?」
璃慧 :「いいけど……でも、どこで?」
あたりを見回すと。
中学との境目あたりに目が止まる。
少し小高くなっている場所、芝生と草木が生えている。
ひなたにはなっているものの、ちょうど周りからはほとんど見えない場所だ。
璃慧 :「あそこにしよっか(指差して)」
悠 :「いいけど……」
望 :「いいね♪」
璃慧 :「じゃ、けってー。いこっ」
歩いていく。
幸い、体育の授業はないようで、校庭には同級生たちしかいない。
璃慧 :(なんか、おだやか、だね)
くすっ、と。
そういえば、最近ゆっくりとできなかったから。
なんか忘れてるような気がしてた。
芝生の上。柔らかい地面は足に心地よい。
ころっと。
倒れこむようにして、横になるふたり。
悠はそれを苦笑しながら、ゆっくりと腰掛ける。
璃慧 :「あったかいね〜」
望 :「……気持ちいー♪」
思い思いの格好で寝て。少しの間、無言。
仰向けで、蒼い空と、流れ行く雲を見ていた。
その時。一陣の風が吹き抜けて。
璃慧 :「きゃっ」
暖かい気持ち言い風ではあったけれど。ちょっといたずら好きのようで。
璃慧の黒いスカートをめくりあげていこうとして。
あわてて、起き上がった。
立ち上がって、隣を見おろすと。
望は即座に熟睡モードへ移行したよう。
寝るまでに1分とかかっていない気が……(汗)
璃慧 :「よく寝れるなあ(苦笑)
:……わたしも、ねよっかなあ……」
最近、慢性的に寝不足だった。
今日はまだ気分がいい方だけれど、暖かい午後ときては、眠くもなる。
悠 :「別にいいよ。起こしてあげるから……」
璃慧 :「まあ、別にそんなに寝ないとは思うけど……ね。」
といって、再び横になる。
あまり手入れされていない芝生はちょっと足に痛いけれど、
慣れてしまうとどうってことはない。
草の上につぶれて、目を閉じていると、
お日様の匂いがした気がする。
ひかりのしたで
--------------
ちょっと時間が過ぎて。
目をうっすらと開けて、悠の方を見ると。
座り込んでなにやらスケッチしているようだった。
視線が合う。
お互い、ただ無言のまま。顔合わせて、にっこりと。
璃慧 :「何、書いてるの?」
ちょっと止まって。でも、気まずい沈黙じゃなくて、お互い、微笑ってた。
悠 :「……ないしょっ」
と言って、再び視線をレポート用紙に移す。
いつもなら、強引にといつめるところなんだけど、
でも、なんか今日は……今はそうしちゃいけないような気がして。
この穏やかな時間を壊したくないからかな。
だから、
璃慧 :「そっか……。終わったら見せてね☆ミ」
とだけ言って、再び目をつぶった。
なんとなく、邪魔したくはなかったし。
目をつぶっていると。普通、見える……というか、感じるのは、闇。
真っ暗で、何もない。
だけど、眩しいところにいると、目をつぶったとき、その奥に
あるのは真っ白な光。
いつもは、それは蛍光灯とかの人工的な光だから。うっとうしいし、目も痛
くなるけど。
でも、今、見える光は。白ではなく……、あの人工的な冷たい色ではなく、
黄色――陽の光の色で。不思議な色。きれいだった。暖かく、安らいで。
しばらく、微睡(まどろ)んでた。
何ていうか……、こう、日常にぽっかりと空いたこの時間。
「大切」――ちょっと違う。「好き」――そんな単純じゃない。
えっと、そう、……ちょっと変に聞こえるかもしれないけど、「いとおしい」、
そんな感じ。
なんか、ぼんやりといろいろ考えてた。
その間、何回か、目を開けて――目を覚ます、じゃなくて、本当に「開ける」
という感じ。ただ開いて、周囲の様子を見ただけ――、そのまま視線の方にい
る悠を見ると。
いつも、視線がぶつかった。そして、にこっと。
ああ、わたしは、独りじゃないんだ。いつも、そばにいてくれる。
今さらながらだけど、そんな安堵感とほんのちょっとの幸せ。
璃慧 :(人間嫌い――、何も……誰も、信じない――、
:いろいろ強がってきたけど。そして、きているけれど。
:やっぱり、独りは、嫌なんだよね。たぶん。
: ……わたし、弱い人間だな。卑怯……かもね。)」
いろいろ考えちゃうけど。
決して、いつものように負の方向に考えが進むことはなく。
ああ、時間って大切なんだなあ、と。
余裕、失っていたね……、と。
夢と現(うつつ)の間で。
考えると言うほどしっかりとしたものでもなく、ぼんやりと感じていると。
ようやく、気力が出てきたようで。
チラッと悠の方を見たあと、ばっと起き上がる。
璃慧 :(描いているの……わたしのような気がしたから、
:動かないでいようかとも思ったんだけど……。
:もういいよねっ)」
会話
----
草の上に腰掛けて。
両手を後ろにつくようなそんな格好で。
空を見上げながら話した。
悠 :「もう……いいの?」
璃慧 :「うんっ。」
いろいろ思うところはあったけれど。
言わなくてもある程度は分かってくれているだろうし、わざわざのんびりし
ているところにいろいろという必要もないと思ったので。
ただ短く答えて。
璃慧 :「望くんは…………まだ寝てるね(苦笑)」
悠 :「ほっといてあげなよ」
璃慧 :「う”〜、分かってるよう」
何かしたそうに望を見ていると、悠に釘さされちゃった。
璃慧 :「……気持ちいいね〜」
悠 :「そうだね」
璃慧 :「ここのところ寒かったのにね。こうゆう日にたまたま休
:講でよかった♪」
悠 :「うん。なんかさ、春って感じじゃない?」
璃慧 :「うん。なんか、柔らかい陽射し、とかね」
悠 :「この、穏やかな風もね」
といってると、ぱっと、また風が吹きぬけた。
璃慧 :(そう、冬を飛び越して、春がきたみたい。)
冬、大好きだけど。一日くらい、そんな日があってもいい。
でも、見える空は。
璃慧 :(でも、今は秋だよね。空が、あんなに遠い。
:あっちに見えるのは……鰯雲、か)
とか思ってると。
悠 :「ね〜、璃慧?」
璃慧 :「なに?」
悠 :「なんか、かわいい雲だよね」
といって、さっきの鰯雲を指差す。
璃慧 :「そーだね」
SE :キーンコーンカーンコーン
璃慧の返事とほぼ同時に、チャイムがなった。
12時――、シンデレラの変身がとける時間。帰らなければいけない。
名残惜しくなかったと言ったら嘘になるけれど。でも、妙に気持ちはすっき
りしていて……。止まった時間は、いつか動かなきゃいけない、それは哀しい
ことじゃない、動かなきゃ始まらないから……だから?
璃慧 :「いこっか」
悠 :「そーだね」
璃慧 :「望っ! ほら、なったよ」
悠は優しく触っていたけれど。そんなのじゃ起きるわけもない。
ぐいっと。痛くない程度に気を使いながらも、ちょっとゆすると。
望 :「????」
頭は案の定、ぼーっとしていたようで。
悠 :「チャイム鳴ったよ」
といっても、まだぼーっとしてる。
璃慧 :「今、5時間目が終わったのっ。」
と、ようやく分かったようで。
顔をごしごしこすったあと。
望 :「あ〜、よく寝たっ」
と、伸びとともに立ち上がる。
璃慧 :「いこっ♪」
悠&望 :「いこっか」
校舎に向かって歩き出した。
悠が描いたもの
--------------
そして放課後。今日は、珍しく、オケラは自主練の日。
階段にて。
璃慧 :「…………(じーっ)」
悠 :「だから、今日は帰らなきゃいけないんだってばあ(汗)」
さっきっからこの繰り返しである。
璃慧の手にはクラリネットが握られていた。
場所が音楽室のそばであることからいって、
悠が音楽室で一声かけてから帰ろうとしたのを、なにやら引き止めている璃
慧、といったところか。
璃慧 :「ぶーー」
最近、すっかり幼稚化している。
でも、それもいいのかもしれない。
下手に、強がっていた頃よりもはずっと自然。
悠 :「一緒に帰る?」
璃慧 :「(首を横に振って)さすがに、練習しないと……ね」
そんな言葉の繰り返し。
悠 :「何が不満なのさあ?」
璃慧 :「……絵っ! ……何かいてたの?」
この言葉、意外だった。
さっきまで教室で、あれだけしつこく奪おうとしていたのだから、璃慧が休
講の時間に悠が描いた絵を見たがっていること、分かっていると思っていた。
が、悠は璃慧が一緒に帰れないことを不満に思っていると勘違いしていたよ
うで。
璃慧 :(いくら、目だけで分かりあえるときもあっても……
:それで全てを、何て不可能なんだね)
と。
誰のせいでもないけど、ちょっとだけさびしかった。
そんな璃慧の心のうちとはお構いなしに。
悠 :「璃慧……だよ」
やっぱり、と。
自分の絵かもしれない、そう思うからこそ、見てみたくて。
悠がどうゆう風に描いてくれるのかは、すごく気になる。
璃慧 :「見せて〜〜」
と。さっきまでのように、しがみついたり――、じゃれあい。
でも、そう長い間ではなく。
悠 :「わかったよう(涙)」
と、鞄の中から一枚の紙、手渡す。
にっこり笑う璃慧。
悠は……
悠 :「璃慧はしつこいんだから…………」
と。
璃慧 :(まあねえ……。今回のは特別だし。
:それでもまあ、わたしの執念深さは並じゃないか(苦笑))
悠 :「じゃーね」
璃慧 :「ばいば〜い。ありがと……ね」
悠 :「それじゃ、また明日」
急いで去っていく悠の背中を見送ってから。
階段を上って音楽室へと戻る。
もう一度、絵に目を落とすと。
やっぱり、くすっと。笑わずにはいられない。
なんか、嬉しくて。
何があったというわけではないけど、ちょっとした幸せがあった日。
時系列
------
1999年10月末。
解説
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オーケストラ部の公演を間近に控えた3人。
忙しない毎日の中で、偶然訪れた「止まった時間(とき)」。
思い思いのときを過ごす――
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あ”〜、今日になって書いた部分、文体が変わってるよう(涙)
長編ばっかり書くくせに、毎回毎回気分によって文体が変わるのは、ちょっ
となあ……。
そういえば、書いていて結構悩むんですけど、地の分って、飾り程度に済ま
せるものなのでしょうか? その際、誰かの視点で書くのと、客観的に書くの
と、その両方を混ぜるのと、どれがいいのかなあ?
そーそー、ちなみに実話といったとおり、絵についてもそうで(苦笑)
近々、スキャンしてUPする予定♪
であであ。
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瑠璃(Lurimu)
YHayamine@aol.com
lurimu@geocities.co.jp(ポスぺ入れました〜)
翼ひろげて 〜夢幻界への誘い〜
http://members.aol.com:/lurimu/wing/index.htm
(http://www.geocities.co.jp/Bookend/1229に移転中)