[KATARIBE 16262] [HA06N] 『綺綾堂へようこそ』

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Date: Sun, 7 Nov 1999 00:34:18 +0900
From: 三葉 葵 <aoi_3@abox2.so-net.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 16262] [HA06N] 『綺綾堂へようこそ』
To: <kataribe-ml@trpg.net>
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ども、三葉葵です。
とりあえず、綺綾堂の小説です。触り程度ですが。


『綺綾堂へようこそ』
====================
 吹利本町商店街。ここにに、一軒の糸店がある。糸屋と言っても、糸だけを売って
いるわけではなく、生地やボタン、毛糸や裁縫用具など手芸・裁縫・服飾関係のもの
全般を扱っている店である。
 歴史の古いこの商店街でも、指折りの古さを誇る、創業は明治のはじめにまで遡る
この店は、「糸屋綺綾堂」という名前である。
 建物は、何度かの改修を行ってはいるが、創業当時の佇まいを残している。歴史を
感じさせる木造2階建ての中は、意外なほど新しく明るい。
 品物は豊富ではあるが、きちんと整理されているために、雑然としているといった
印象は受けない。


 神無月葵は、綺綾堂でバイトをしている。週に平均5日ほど通っているが、さほど
忙しくもなくのんびりできるし、趣味である人形の衣装づくりの役にも立つ。また、
布の切れ端などをもらえるので、葵にとっては、まこと都合の良いバイトといえる。

 この日、葵は午前は大学へ行き、午後からバイトに入っていた。いつものように、
客は少なく静かな時間が過ぎる。葵は奥のカウンターに座り、文庫本を読み始める。
 ポカリ。いきなり後ろからこづかれる。葵が慌てて振り向くと、そこには店長が
立っていた。
 この店の店長、個人経営であるので店主でもある、天原ハツは、とても今年で84
歳とは思えぬほど、背筋も伸びて、まだまだ元気な老婆である。しかし、それ以上に
歳を疑いたくなるのは、そのいでたちである。顔中に塗りたくった化粧。そして、少
女が着るような、派手で可愛いワンピース。
 このような格好を見慣れている葵さえ、思わず頭痛を覚えてしまった。葵は本を閉
じて、ハツの方に向く。
「店長、なんですか、いきなり殴らないでくださいよー」
殴られた後頭部をさすりながら、葵は訴える。
「なんですか、じゃない。真面目に仕事せんか。」
ハツは、再び葵をこづきながら言う。
「どうせ、真面目にしてたって、お客さんはそんなに来ないのに・・・」
そんな文句を言いながら本をしまう葵に、さらにハツの一撃が飛ぶ。
 葵が何度か殴られた後、店の扉が開いて、若い女性が入ってきた。すかさず、葵は
挨拶をする。
「いらっしゃい・・・・あ、お帰りなさい。美沙緒さん!」
 美沙緒、天原美沙緒はハツの孫であり、古い言い方をすれば、綺綾堂の看板娘であ
る。歳は23歳。去年大学を卒業し、今は祖母とともに綺綾堂を経営している。長く
艶やかな黒髪に、白い肌。柔らかな物腰と穏やかな性格。この美沙緒と一緒に働ける
ことも、葵がここのバイトをする理由である。
 美沙緒は、じゃれ合ってる葵と祖母を見て、ふふふ、と微笑んで、店に入る。
「今、お茶を淹れますね」
 そういって、美沙緒は店の奥へといく。美沙緒の入れるお茶は、天下一品である。
 葵とハツは一時休戦して、美沙緒の淹れたお茶で穏やかな午後を過ごすことに同意
した。

$$

以上です。さて・・・・美沙緒さんを異能者にして、キャラシー作るか悩む(笑)




    

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