[KATARIBE 16201] [HA06EP] 狭間より来たりし者、その2

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Date: Wed, 03 Nov 1999 20:19:02 +0900
From: Wings <wings@trpg.net>
Subject: [KATARIBE 16201] [HA06EP] 狭間より来たりし者、その2
To: 語り部ML <kataribe-ml@trpg.net>
Message-Id: <38201A23.174E4BE7@trpg.net>
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どうも、Wings@勉強なんてだいっ嫌れえだ(滅)です。
続き、いきます。

******************************************************************************

◯戦い・弐
------------

 SE      :ガキイイイイイン!
 健一      :「ちいっ」

健一は、苦戦していた。
犬はかなり素早く、なかなか小太刀を当てることができない。
しかも、一瞬でも隙を見せると、その鋭い牙でかみついてくる。
どちらも直接ダメージを与えてはいないが、
疲労の度合いは明らかに健一の方が大きい。
と、突然犬が後方に飛んだ。

 健一      :「なっ?!」

そして、犬の口の中に赤い輝きが生まれる。

 闇烏      :「健一!」
 健一      :「くっ!壁よ!」
 SE      :ゴオッ・・・カキイン!

犬の口から炎の玉が放たれる。
しかし、それは健一に当たる寸前ではじけ飛んだ。
健一が作り出した光の壁に阻まれたのだ。

 健一      :「やばいな・・・。・・・!(何かひらめいたらしい)
         :おい、烏!」
 闇烏      :「何だ?」
 健一      :「ちょっと変わってくれ!体は出す!」
 闇烏      :「・・・・・わかった」
 
次の瞬間、健一の目の前に人型の物体が現れた。
彼が実体化させた闇烏の人型だ。
が、どう見てもマネキン人形にしか見えなかったりする。

 闇烏      :「・・・もうちょっと、造形には気を使え」
 健一      :「やかましいっ!」

そして、健一は精神を集中し始めた。
それを後目に、闇烏は犬に向き直った。

 闇烏      :「・・・来い」
 魔犬      :「グルオオッ!」

その声に答えるかのように、犬が飛びかかってくる。
闇烏もそれを捌こうとするが、徒手空拳では分が悪いのか、
腕にかみつかれてしまった。
が、闇烏はそれを気にした様子もない。

 闇烏      :「・・・そろそろだな(憑依を解除する)」
 魔犬      :「グオオッ!?」

空から、何かが落ちてくる。

 そして、健一が一声かける。

 健一      :「疾、九竜神火篭!」

 ・・・そんなたいそうなもんじゃないだろうが。
 空から、広場の大きさほどもありそうな巨大な篭が落ちてくる。
 犬は、それの落下場所から逃げようとするが、
 牙がマネキンに食い込んでしまって動こうにも動けない。
 
 そして
 
 SE      :どっごおおおおおおん!!
 
 公園の石畳に食い込むようにそれは着地した。
 魔犬は、その篭にすっぽり入ってしまい、
 まだ状況を把握できないのかぼけっと突っ立っている。
 
 健一      :「よっしゃあ!」


◯再結合(ルビ:リユニオン)
-----------------------------

その光景を、前野と圭人はあきれながら見ていた。

 圭人      :「・・・・・もうちょっと他に方法があったような・・・」

 前野      :「……まったく、随分と派手な事だ…」


そして、その気持ちは闇烏も同じだったようだ。

 闇烏      :「あのな、もうちょっと穏便に済ませるということを
         :知らんのか、おまえは」
 健一      :「しょうがねえだろ、他に方法思いつかなかったんだから」

 闇烏      :「それならもうちょっと考えてから・・・(くどくど)」
 健一      :「・・・・・(うんざり)」
 圭人      :「お取り込みちゅうの所すまないけどさ」
 闇烏      :「だいたいお前はいつもいつも・・・(聞いてない)」
 健一      :「はいはい(聞いてない)」
 圭人      :「もしもーし」
 闇烏      :「この間のときだって・・・(聞いてない)」
 健一      :「はいはい(聞いてない)」
 圭人      :「・・・・(すううう)もしもーし!!(大声)」
 健一      :「うわっ!」
 圭人      :「やっと気づいたか・・・・・あれ?」
 健一      :「いきなりなんなんだよ・・・・・あれ?」
 闇烏      :「?」
 圭人      :「た・・・滝川?」
 健一      :「兼澤・・・・・」
 圭人&健一  :「何でお前がここにー!?」
 前野      :「何だ、君達知り合いか?」
 圭人      :「中学の同級生で・・・。しっかし、何でお前が?」
 健一      :「それはこっちのせりふだ。だいたい、いつの間に来たん
        :だ?お前」
 圭人     :「ついさっきだ。だいたい、何だ?お前の頭の上にいる
        :その変な烏は。山のような霊力放ちやがって」
 闇烏      :「変なとは何だ。私にはちゃんと闇烏という名前がある」
 圭人      :「ふーん。あんたこいつの知り合い?」
 闇烏      :「まあな・・・・・!?」
 クロト    :「これは・・・!?」
 圭人      :「?どうした?」
 クロト    :「空間の負荷が急に高まって・・・!!、あいつら、まだ
        :・・・」

と、その時

 SE :バシュウウン!!

 ふりむくと篭越しに魔法陣の所に移動していた一匹の所に、
 すでに意識の無くなっているはずの二匹が飛び込んでいく。

 圭人      :「くそっ、あいつらまだ余力が残っていやがったか!」
 健一     :「なぜだ、あいつらは完全に沈黙させたはずなのに!」
 前野      :「!、まさかあいつら・・・」

そして、魔法陣から、閃光が放たれた。

 健一      :「これは!?」
 圭人      :「くっ。京!魔法陣付近のビジョンを移せ!」
 京       :「オッケー!」

圭人の脳裏に、その映像が映される。
それは・・・・・。

 圭人      :「!!・・・・・なあ、滝川」
 健一      :「ん?」
 圭人      :「ヘルハウンドって言うのは、三身合体すると
         :ケルベロスになるんだっけか?」
 健一      :「何言って・・・・・!!、まさか・・・」
 圭人      :「そのまさかだ」

そして、閃光は消え・・・・・。

 ケルベロス  :「グオオオオオオオオオッ!!」

それが、咆吼をあげた。

 前野          :「足し算かよ…(舌打ち)」

 と、ようやく十と大河が到着・合流する。

 十            :「うむ、レイ・ハリーハウゼンを思い出すな『タイタンの
        :戦い』だ」
 前野          :「突っ込みのしようのない事いわんで下さい」
 十            :「人形アニメでの特撮としては最上だね。CG全盛の
        :今見るとなかなか趣があるんだが」
 健一          :「何言ってんだ!あれが見えないのか!逃げろ」
 十            :「関わっちまったからには、後には引けねぇだろう。何処
        :の所属かしらんが。
                :羽黒修験・蔵王坊瑞真だ。助太刀させてもらう。おっつけ
        :後二人手助けが来るはずだ。こちらは、大河さん。俺以上
        :に物好きな方だ」
 大河          :「物好きである事は否定しませんけどね(^^;
                :でも中学の時から月に一度はこういう目に会うし、
                :運命の出会いは避けられないと悟ってますから(苦笑)
        :そういう訳なんで別に何処にも所属はしてませんが、
                :参加させてもらいます」
 健一          :「あなたがたと同じく物好きの、滝川健一だ。
                :どこにも所属していない」
 闇烏          :「そしてその物好きにつきあっている、闇烏だ」
 圭人          :「何だ、結局全員フリーか………」

失礼な奴である。

 圭人     :「俺は兼澤圭人。所属は十二月第八部隊葉月だ」
 十            :「十二月?……どっかで聞いた気が。超能力者の学校みた
        :いなもんだろ?」
 大河          :「学校? いったい、何を教えてるんです?」
 十            :「さあな………(圭人を見る)」
 圭人          :「………(なんだよその視線は………)」
 十            :「確か、超常能力者たちの啓蒙活動もやってるとか聞いた
        :が?」
 圭人          :「一応、今回のは研修ってことになってる」
 大河          :「実地研修、ですか………」
 前野          :「道理で、スバラシイお手並みなわけだ…」
 十            :「いや全く」
 圭人     :「………」
 十            :「能力だけならそれなりらしい」
 大河          :「(苦笑)」
 圭人          :「……………」
 前野          :「なるほど、あんたの事は分った。で、(鞄を指す)
        :それは?」
 圭人          :「えっ?」
 前野          :「………まさか、気づいてないとでも思ったか?(苦笑)」

 十            :「それだけ霊力振りまいてて、気づかない方がおかしい」
 圭人          :「……………(ため息)おい、クロト、ばれてたみたい
        :だぞ」

 その声と共に、鞄から一冊の分厚い本が出てくる。
 誰も手も触れていないのに………だ。
 そして、本から光が放たれ、その中に、一人の少女が現れた。
 ギリシャ風のゆったりとした服を着て、幻想的な美しさを醸し出している。

 クロト        :「………私はクロトの書。工芸の司たるダイダロスに
                :よって作られた、The Fatal Devicesが一つ。始まりを司り
し
        :ものです」
 大河          :「The Fatal Devices………」
 クロト        :「………何か?」
 大河          :「いえ、何も………(そうか。「瞳」の……)」
 クロト        :「(ケルベロスの方を見る)………さて、まずは彼を
        :何とかしないといけませんね」
 圭人          :「………そうだな」
 十            :「で、あれはやっぱり見たまんまのヤツかい?」
 クロト        :「エキドナの裔、ハデスの番犬ケルベロスの残影です」
 前野          :「動きますね」
 
 その通りだった。
 一つの頭の時とは違う。
 たとえ遥かな裔であったとしても、古き伝承の獣の名を冠したそれは、その名
にふさ
わしく、重々しく足を進めた。
 雨後の泥濘をえぐるかのように、公園の石畳が砕ける。
 圧倒的な霊的質量をそれは備えていた。

 健一      :「まずいな、このままじゃあ破られてしまう。
             :・・・烏、あいつをあちらに帰してやれるか」
 闇烏      :「まず、俺では無理だな・・・。こっちがその前に
             :やられてしまう。しかし、そちらのお姉さんの力なら
             :何とかなるかもな」

 圭人  :「おい、そこでなに話してんだ!あいつがくるぞ」
 
 見ると、今まで自分を痛めつけてきた者たちに向かって、
 一歩一歩威圧するように地獄の番犬が歩み寄ってくる。
 
 健一     :「わかった。烏、今度は人払いの結界を全力で張ってくれ。

             :皆さん、すいませんがあいつをくい止めるのを手伝って
             :ください。あと圭人、そちらのお姉さんにあちらに帰す方
法が
             :ないか聞いてくれないか」
 
 闇烏      :「了解」

 その声とともに公園の広場をおおっていた結界の上にさらに強力な物が
 張られる。
 前野          :「食い止めるって簡単に……」

 と言い掛けて、言葉を切り、何かに気付いたようにケルベロスを見つめる。

 前野          :「……なるほど…やってみるか…(ぼそっ)」

 圭人          :「クロト、あいつ、何とかなるか?」
 クロト        :「今のままでは………無理」
 圭人          :「………」
 クロト        :「今、彼は気が立っているし、正面から戦っては、まず
                :勝ち目はない。かといって、冥界に送還するには、彼は
                :霊的質量が大きすぎるわ」
 圭人          :「………なんとか、ならないか?」
 クロト        :「何か、触媒のような物があれば………」
 圭人          :「………ちょっと待て。あの兄ちゃんが何か始めるぞ」

◯Here comes the Hell
=====================
 短く呪を呟くと、握っていた刀を地面に突き立る。

 前野          :「氷雨、結界を張れ!焔は氷雨を守ってろ!」

SE:キィィィィイン…

 その声と呼応するように鋭い金属音が鳴る。
 それと同時に、前野の目の前の空間に陽炎のようなものがたつ。

 前野          :「瘴気に弱い奴は備えろ!
                : 一さん!術の邪魔かもしれませんが勘弁して下さい!」
 十            :「何する気だ!?」

 陽炎の中に手を差し込むと、大きな鎌を引き抜く。

 前野          :「……“地獄”を出します…」
 十            :「なっ!?」
 圭人          :「(口笛を吹く)豪快なことするなあ」
 クロト        :「でも、これは、チャンスよ」

 鎌を振り上げ、石突きを地面に打ち付ける。

 石を打つ金属音と共に、何かが結界の中に広がって行く。
 重苦しく、粘つくような、身体の芯から熱を奪って行くような冷気。
 薄く霞がかかり、腐臭さえも漂って来る。

 一            :「ごふっ」
 
 前にいた一がまともにそれを吸い、嘔吐した。
 大河の除く周囲はそれを見て瘴気を避ける。
 大河はエーテル使いであり、その体は属性を保ったまま凝固・実体化した
エーテルそのものだ。
 彼の使う『エーテル』はエネルギーや物質の根元たる存在であり、
通常のエネルギーよりエーテルに近い性質を持つ瘴気は彼にとっては、
さして害にならない。
 と、そこに2匹のオコジョが到着した、一匹は旋風をもう一匹は火花を身に纏
っている。

 キノエ        :「なにやってんのよ、馬鹿」
 キノト        :「まって、今エアポケット作るから」
 前野          :「(集中しながら)一番慣れてると思ったんですが(苦笑)」

 一            :「俺は、デリケートなんだよ。なに、するつもりだ」
 大河          :「瘴気?」
 健一          :「そうですね。しかもこれは冥府の」
 闇烏          :「その物だ。地獄を開くとはな」
 大河          :「『この門を通る者、総ての望みを捨てよ』
        :……じゃないか。あれはキリスト教系だから」
 健一          :「どちらにせよ、くぐるわけには行かないですね」

 前野          :「……怖がるな…すぐに還してやるからな…」
 圭人          :「!………なるほどな(にやり)」
 クロト        :「ただ、この人達の力も借りた方がいいわね。助けは多
                :ければ多いほどいいわ」
 圭人          :「そうだな………。じゃあ、「つないで」くれ。話は速
                :く進んだ方がいい」
 クロト        :「はい」

 SE          :ぴーん、ぴーん、ぴーん………

 前野          :「ん?」
 大河          :「えっ?」
 一            :「これは………?」
 健一          :「………!なっ………」

 頭の中に、声が響いてくる。
 不思議に、不快感はない。

 クロト        :「突然ごめんなさい。今、私たちは思念の双方向受信が
                :可能な状態になっています」
 健一          :「思念の双方向受信?」
 クロト        :「テレパシーの一種です。電話の複数回線がつながって
                :いるような物、といえばいいかしら。こうすれば、会話
                :するよりも速く情報が伝達できます」

 実際、音が鳴ってからいままで1秒とかかっていない。

 前野          :「で、何をしろと言うんだ‥‥」
 一            :「(『十二月』は礼儀を教えてないのかよ)」
 クロト        :「皆さん、自分にできる事を思い浮かべてください。
                :何か、特別な事、他の人にはできない事………。そうい
                :った物を」
 一            :「………」
 クロト        :「今のままでは、彼はどうすることもできません。
                :古典的な言い方ですが………皆が力を合わせなければい
                :けません」

 クロトの思念に、大量の情報が流れ込んでくる。
 これは、彼女を介して他の面々にも伝えられているはずだ。

 クロト        :「(少し考える)一さんは彼の霊力を一時的に弱めてく
                :ださい。
                :水克火の応用でできるはずです。大河さん、あなたはエ
                :ーテルをコントロールして、彼の力を弱めてください」
 一            :「どうするつもりだ?」
 クロト        :「彼を………もとの世界に帰してあげるんです。圭人、
                :力が弱まったら、「門」を開いてください」
 圭人          :(無言でうなずく)
 クロト        :「失敗したら………(急に口調が明るくなって)分かっ
                :てますよね?」
 圭人          :(滝汗)
 クロト        :「(真顔になって)さあ、始めましょう」
 大河          :「なら、力を弱めるより、彼の好物を出した方がいいと
        :思いますが」
 クロト        :「といいますと?」
 大河          :「たしかケルベロスは、奇麗な音楽に弱いと……」
 クロト        :「オルフェウスですか? それは彼の技術の賜物ですよ。
                :……多分、無理です」
 一            :「簡単に言ってくれるなぁ。
               : ひとまず足止めぐらいにはなると思うが……。他には
                :無いのか?」

 そう言うと、一は不動明王印を結ぶ。

 キノエ        :「キノト、ひとまずミツルを被甲護身するよ」
 キノト        :「う、うん。……けど」
 キノエ        :「いそぎな、ちょっとやそっとの相手じゃない」
 キノト        :「わかった(あいつ、迷ってる?)」
 健一         :「………ちょっと待った」
 圭人          :「おいおい、なんだよ」
 健一          :「あいつ自分の意志で来た訳じゃあないんだろ。じゃあ、
                :あの魔法陣で召還した奴がいるはずだと思うんだが」
 圭人          :「あっ……………」
 クロト        :「すっかり忘れていましたねえ、もしかしたら
                :死んでいらっしゃるかもしれませんけど(にこにこ)」

笑って言うことではない。
最も、本当に死んでいたら彼女もこんなのほほんとした言い方はしないだろう
が。

 圭人          :「……………(超滝汗)」
 前野          :「………チッ…いい加減にしろよ…」
 一            :「それでそいつがどこにいるかわかるか」
 クロト        :「えーと、…………生きてはいますけど、
                :位置がちょっと………」
 大河          :「どこにいるんです?」
 クロト        :「あそこです」

 クロトが示した場所はケルベロスが立っている場所のすぐ後ろにある魔法陣
のところだった。幸いケルベロスは気づいていないようだった。

 前野          :「……邪魔だけはしないでくれよ…」

ぐっと力を込めて鎌の柄を地に突き立てると、細く息を吐く。

 前野          :「一さん、ユラさんの所か麻樹さんの所に、使いを出して
                : ください……瘴気を吸う事で、死人になっているかもし
                : れませんから、“死んでない”可能性が在ります」

 その言葉と共に、鎌の表面が鈍く光り、辺りに立ち込めていた瘴気が薄まる。

それと引き換えに、ケルベロスが入っている駕籠……結界の中に、目に見えて
瘴気が集まる。

 前野          :「ちょっと入って、引きずってきます…」

 血の気の引いた顔でそういうと、鈍く紅い光を放つ鎌から手を放し、二刀を
手に結界へと進む。

 前野          :「準備お願いします…」

 と、一の脳裏に先ほどの大河の見せた技が甦る。
 それと、クロトが繋いだ各々の技術が。

 一            :「前野君、前野君は瘴気の集中に気を使っててくれ。彼を
                :連れてくるのは大河さんの「時空間操作」に任せよう。
                :大丈夫ですよね、大河さん」
 大河          :「ええ、その代わりあいつを刺激しないで下さい」
 キノト        :「ミツル!術式を解いて!」
 一            :「……わかった」

 大河が空中にサインを描く。とオレンジ色のプレートが忽然と出現する。
 そして、その上にあるアイコンを操作し、空間を操作する。


 圭人          :「あ……」
 大河          :「よしこれでいい筈だ」
 
 大河の物らしき手首が男の足首をつかむ。
 うつぶせに倒れたままの男の体がずずっと動く。

 大河          :「パスを通して。引っ張ってこれますが……。
                :大丈夫でしょうか?」
 健一          :「今のところ……多分」
 闇烏          :「だが、警戒は解いてないぞ」
 前野          :「いきなり呼び出された上で、あんな目に会えば無理も
        :無い」
 キノエ        :「でも、急いだ方が良いかも」
 大河          :「じゃあ、そうしましょう」

 と、その言葉が終わらぬうちに。くるりとその空間に男の体が現れ出た。
 
 一            :「お見事!」
 大河          :「いえいえ」
 圭人          :「生きてる………んですか?」
 闇烏          :「まだ息はあるようだな」
 前野          :「!気づかれる!」
 大河          :「なら、こうしましょう」

 またもや言葉が終わらぬうちに。大河と男の体がふいっと消えた。

 一            :「大河さん?!」
 大河          :『大丈夫です、『倉庫』につれてっただけですから。
                :ここなら気づかれません。っと、誰か応急手当のできる人
        :います?』
 一            :「すまん、俺は捻挫の対処法くらいしか」
 キノエ        :「あたしも」

 一同は沈黙する。

 前野          :「仕方ないですね、『氷雨』を使ってください。これは
        :『癒し』の技を持ちます」
 圭人          :「けど、結界は?」
 一            :「それはこっちがやる。前野君、『焔』をこっちにまわし
        :てくれ。それと、少し結界の形式が変わるが構わないか?」

 前野          :「変化にもよりますが?」
 クロト        :「『氷雨』の半受動封鎖に対して、一氏は八陣迷図を用意
        :するのですね。それなら、キノエ、キノトは配置要素とし
        :てではなく、符の設置、コントロールに回し、術者の守護
        :は『焔』に一任してよいと思われます」
 一            :「腹ん中見通しってのは、気持ち良いもんじゃねえな。
        :その通りだ。お姉さん」
 闇烏          :「手勢だけで無理する必要は無い」
 健一          :「闇烏もそっちを手伝ってくれ。こっちは」
 圭人          :「結界の切り替わりの間、みんなを守る。だろ?」
 健一     :「そういうこと」
 前野          :「変に刺激するな、むしろ、切り替わりで溢れ出す瘴気の
                :方に注意するべきだ。暴れ出されたら、塵も残らんからな
        :‥‥」
 
 沈黙。

 一            :「姉さん、カウントダウンは任せた」
 クロト        :「かしこまりました」

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以上。
皆さん、じゃんじゃん続けていってくださいまし。
と言っても、もう終盤ですが(苦笑)
それでは………Wingsでした。

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              「黄の八弦琴」
             伝説こそ語るべし。
               なぜなら、
          皆を導き、希望を与えるから。
                             Wings 
                   メールアドレス wings@trpg.net
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