[KATARIBE 16200] [HA06EP] 狭間より来たりし者、その1

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Date: Wed, 03 Nov 1999 20:17:31 +0900
From: Wings <wings@trpg.net>
Subject: [KATARIBE 16200] [HA06EP] 狭間より来たりし者、その1
To: 語り部ML <kataribe-ml@trpg.net>
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どうも、Wings@試験なんて赤点じゃなきゃいいんだ(自棄) です。

自分の所で止めていた長編EPです。
えーっと、ひい、ふう、みい………げげげ。約5ヶ月越しの再開となります。
ケイスケ、ハリ=ハラさん、タイガさん、D16さん、準備はいいですね?(
笑)
では、長編EP「狭間より来たりし者」、スタートアップ!(桑島法子風に)


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 EP「狭間より来たりし者」
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◯始まり
----------

 某月某日、21:00、吹利市民公園広場。

 広場の中央に一人の男が立っている。
 フード付きの黒いマントを頭からかぶっているので顔はよく見えない。
 そして、彼の目の前には五紡星の魔法陣と、何本かのろうそく。
 ・・・・・あやしい。
 周りに人がいたら石でも投げられそうな格好だが、あいにく周りには誰
もいない。

 そして、彼はぶつぶつと呪文のような者を口ずさんでいる。

 男          :「くっくっく・・・。いよいよだ・・・。いよいよわが
              :野望が現実の物となる・・・」

 そして、彼は両手を高くあげ、高らかに叫んだ。

 男          :「さあ、きたれ悪魔よ!そして我が願いを叶えるのだ!」

 ・・・もはやステロタイプ過ぎてつっこみを入れる気にもならない。
 が、それから起こったことはステロではなかった。

 男          :「はっはっは・・・ん?」

 魔法陣の中心に何かがあらわれていく。
 が、その姿はどう見ても悪魔には見えない。
 そう・・・悪魔ではなく、犬のように。

 男          :「どういうことだ・・・?文献の記述と違うぞ・・・?」

 首を傾げる男。が、考えている暇があるなら逃げるべきだっただろう。
 なぜなら・・・・・。

 男          :「え?」

 ・・・・・その犬が飛びかかってきたからである。

 男          :「う・・・うぎゃああああ!!」

 男の断末魔が公園に響いた。
 ・・・・・合掌。

○召集
------

 同日、同時刻、吹利市内某ゲームセンター。

 筐体        :「ギャーンブラーゼーット!!」
 SE        :ジャジャンジャジャンジャジャンジャジャーン、ジャンジ
        :ャカジャン!
 圭人     :「ふう、何とかクリアできたな。・・・あ、ランキングは
        :無理か。さて次はっと・・・」

 ・・・おーい・・・。中学生は6時までだぞー・・・。

 圭人        :「えーっと・・・。あ、パワーストーンがある。やってく
        :か」

 ・・・聞いちゃいねえな。

 SE        :ぐおおおおおおおおおん

 圭人        :「ぬおわっ!」

 ほら、罰が当たった。
 ・・・あ、ちがうか。

 圭人        :「こ、この脳に直接響く呼び出し音は・・・。・・・時田
        :だな、いい所なのに・・・」

 そういいつつ、よろよろと物陰に歩いていく。
 そして、ゲームセンターの端まで行くと、座り込み、目をつぶった。

 圭人          :「おい、何の用だよ、こんな時間に」
 時田          :「何の用とはご挨拶だな。せっかく実地研修をやろうとい
        :うのに」

 心の中に声が響く。声の主は、「十二月」第八部隊「葉月」リーダー、
時田格(ときたいたる)だ。

 圭人          :「研修う?おい、こんな時間に何があるってゆーん
                :だよ」
 時田          :「たった今、霊力の乱れを関知した」
 圭人          :「・・・・・・・・・・」
 時田          :「場所は、吹利市民公園の中心部。詳しいことは不明だが、

                この乱れかたからして・・・・・召還だ」
 圭人          :「召還かよ・・・・・。ランクは?」
 時田          :「下級2位か1位、といったところだな。こいつを何とか
        :するのが今回の研修だ。このランクならおまえ一人で何と
        :かなるだろう?」
 圭人          :「当たり前だ・・・・・ってちょっと待て。他の連中は
        :来ないのか? 池田の奴、そろそろ研修時期だったはずだ
        :ろ?」

 池田涼子(いけだりょうこ)もまた、「葉月」のメンバーである。「十二月」

では、研修時期を定め、その期間中に起きた異能関係の事件の操作、場合によ
っては解決を、実地研修として行っているのだ。

 時田          :「・・・さっき精神波を送ったんだが、妨害された。結界
        :でもはってるんだろう」
 圭人          :「・・・あのくそ女・・・。また『夜更かしは美容の敵よ』

                :とか言いながら寝てやがるな・・・。総会であんだけ言わ
        :れたってゆーのに・・・」
 時田          :「・・・ともかく、今回の研修はおまえだけだ。とっとと
        :行け」
 圭人          :「はいはい・・・・・今回の分、評価に上乗せされるか?」

 時田          :「さあな」
 圭人          :「うー・・・」

 SE          :ぷちっ

 時田の声が聞こえなくなった。精神の接続を切ったらしい。

 圭人          :「やれやれ・・・。さてと、おい、クロト、聞いてたか?」

 クロト        :「はい」

 今度は女性の声が響く。彼の持つ魔道書、クロトである。

 クロト        :「吹利市民公園、でしたね。」 
 圭人     :「ああ、今からすぐに跳ぶ。あ、それから、京に連絡
        :入れといてくれ」
 クロト        :「はい」

 圭人は、ゲームセンターの外に出ると、すぐ近くの路地に入った。
 そして、誰も見ている者がいないことを確認すると

 圭人          :「古きギリシャの神々よ・・・」

 指を空中に滑らせた。そこから、光り輝く文字・・・紋章が紡ぎ出されてい
く。

 圭人          :「ゼウスとマイアの子にして十二神が一人、彼の者の力
        :紡ぎて、今、ここに示さん」

 紋章が光り輝き、圭人を包み込んでいく。

 圭人          :「我を遠き彼方へと誘え・・・ヘルメス」

 紋章が、強く光り輝く。そして、その光が消えたとき、彼はもうそこには
いなかった。

○騒動は呼ぶ
------------

 某月某日、21:05 吹利市民公園広場近く。


 大河は帰路をいつものように歩いていた。

 大河          :「(口笛)ひぃ〜ひゃぁひゃろひゃ〜ひゃろひゃ〜ろ……」

 
 夜中に口笛を吹くなよ(^^;;
 
 男            :「う・・・うぎゃああああ!!」
 大河          :「またかよ……(嘆息)」
 
 唐突に、男の悲鳴が上がる。
 彼が事件に巻き込まれるのはいつもの事だ。
 そして、巻き込まれるとなったらどんなに逃げようと、『絶対に』逃げられ
ない。
 そう決まってるのだ。
 悟りの境地といえよう(をひ)
 
 大河          :「しょうがない。いくか……」
 
 逃げようが無いのなら、立ち向かうしかない。
 となれば、先手必勝である。
 
 大河          :「え〜と、どっちだったかな……」
 
 実は……、耳があまり良くないのである、
 特に聞こえてきた方向を探るのは苦手だ。

○都会の闇に烏舞う
------------------

 某月某日21:10頃

 そのころ、その公園の入り口では、霊視を持たない人たちには一人で怒鳴っ
ている怪しい人にみえそうな少年がいた。
 良くも悪くも周りには人がいなかった。


 健一          :「烏、なんでこんなところにいるんだよ」
 闇烏          :「ふん、俺が夜外を飛び回っているのは知っているだろう
        :が」
 健一          :「だからといって、何で僕の頭の上にとまりに来るんだよ」

 闇烏         :「ちょうどいいところにお前がいたからだ。
        :…ちょっとまて…。」
 健一          :「…どうしたんだよ、急に」
 闇烏          :「あそこになにかいるぞ」
 健一          :「…犬じゃないのか」
 闇烏          :「おい、あんなに霊力を漂わせた犬がいるか。
                :それに人も倒れているぞ。」
 健一          :「……そういえばそうだな」
 闇烏          :「おい、こっちにくるぞ」

 一人と一匹に緊張が走る

 健一         :「ここの中から出すとめんどうだ。結界をはってくれ」
 闇烏          :「分かった」

 その大きな犬と健一等を取り込むように結界がはられていく。

 健一          :「そのうち、どこかの退魔機関が動くだろう。
                :それまで、もちこたえるぞ」
 闇烏          :「了解」

○闇色の男
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 同日21:00頃

 人気の無くなった裏道を、一つの影が静かに歩いていた。
 こつりこつりという靴音が、低く響く。
 手には、細長い包み。
 包みの白さが、夜目にも目立って見える。

 …ちり〜ん……

 鈴の音に似た音が、影の手元辺りから響く。

 前野          :「ふむ……」

 足を止め、手に持ったものの囁きに耳を傾ける

 ……しゃららん……

 前野          :「公園か…」

 先ほどよりも歩調を速め、歩き出す。
 このまま歩けば、道は公園わきに繋がる。

 …ちりちり……
 ……しゃらん……

 前野          :「一つが生じ、二つに……」

 ……しゃん…

 前野          :「一つが消えたか……」

 足取りは段々早まり、小走りに駆け出す。

 走りながら、手に持っていた包みを解く。
 中身は、簡素な拵の大小二振りの刀。

 程無く視界が開け、木々に囲まれた公園わきに出る。

 前野          :「結界?」

 やや歩調を緩める。
 結界の位置は、公園の中央、やや正面入り口寄り…

 …ちりりん…

 手にした刀が鳴る

 前野          :「……二人…いや、一人と一つか……」

 …しゃら…しゃらん……

 前野          :「ま、ここまで来て帰るのもなんだしな……」

 刀を腰に差し、結界へと近づく

 其処に居るのは、一人の少年とその側に浮かぶ一匹の烏。
 魔法陣と、その傍らで血を流し倒れた男。
 そして、ゆっくりと少年の方へと進む三匹の犬……

 …ちり〜〜〜ん……

 鈴の音に、犬が歩みを止め、ふりかえる。

 前野          :「手伝おうか?」
 闇烏      :「(あの結界を抜けてきた?ならそれなりに力もあるな)
            :じゃあ、手伝ってもらおうか」
 健一      :「いいのか。」
  闇烏      :「戦えるやつが多い方がさっさと終わるだろう。」
  健一      :「まあ…、そうだが。」
  闇烏      :「あんたと健一であいつの体力を削ってくれ。
            :そしたら、俺があいつを来たところにたたき返してやる。」

  前野      :「いいだろう。」

やや腰を落とす…

…しゃん…

 獣            :「グルォッ」
 前野          :「シィッ!!」

犬のうちの一頭が、前野に飛び掛かる。
それに呼応するように抜打ちで短刀を浴びせ掛ける。
……が、間合いを間違えたのか、遥か手前で空を切る。

……ドサッ…

 前野          :「ふぅっ」

飛び掛かって来た一頭が地面に降り立つと、そのまま力無く崩れる。
残る二頭も、何かを振り払うように身を震わせる。

 前野          :「本格的に来るぞ、気ぃ入れな!」



○聞こえてくるもの
------------------

 街の隅から染み出す宵闇が吹利を黒く染めてしばらく。
 化粧の蠢く闇の時。
 
 闇の中に一人の男が立っていた。
 大きい。
 180を越す身長で相応に肉の厚みもある。
 垢じみたマウンテンパーカに、泥だらけのトレッキングシューズ。
 背には同じく泥だらけのバックパック。

 一            :「ふぅ」
 
 男は小さく嘆息した。
 このまま、背を向けて下宿に戻り、荷物を下ろして一週間ぶりの湯につかる
のはたやすい。
 たぶん、それぐらいの事はして良いはずだ。
 けれど、今感じた何かは尋常なものではない。
 
 一            :「金にはならねぇんだよなぁ」

 も一度、嘆息。
 今に始まった話ではない。今更ためらう必要は、本当は、無い。

 一            :「キノエ、キノト。来い。ちょっと面倒ごとらしい」

○合流、序
----------

 大河          :「たぶん、音はこっちだと思うんだが」
 
 公園に入る。一瞬、髪がチリッと逆立つ。
 何らかのフィールドめいた物だと、大河は考えた。エーテル操作でペネト
レイトするまでもないフィールド。

 大河          :「結界か……」
 
 なぜ?
 一般人の保護のため。
 だれが?
 異常に気がついた、誰かが。
 いつ?
 悲鳴が起きてからここに自分がたどり着くまでのわずかな間に。
 
 一            :「あんたが悲鳴上げたってわけじゃなさそうだな」

 振り返る。大きな影。
 一歩進み出て、街灯が影の顔を照らした。

 大河          :「あ(やべっ)」
 
だが、予想したのとは違った言葉がかかる。
 
 一            :「ベーカリーで……、あったことが」
 大河          :「え〜と……そう、でしたっけ?(力無く笑う)
 一            :「一です。そちらは確か、大河さん」
 大河          :「あ、はい。そうです。
                :(良かった。ベーカリーの関係者なら大丈夫だな)」
 一  :「こんなところで何を?」
 大河          :「悲鳴らしき物が聞こえた物ですから」
 一            :「あなたもですか」

 と、そのとき。
 闇の中、地中深くから響くような唸り声が聞こえた。

 公園の闇の中を抜ける。
 暗がりから、聞き覚えのある真言が聞こえる。

 前野          :「…のーまくさーまんだー…ばーさらだんせんだん……」

 思わず十の表情に笑みが浮かぶ。
 
 十            :「不動明王火界呪か、同業が誰か来てるな。で、大河さん。

        :自分の面倒は何処まで見れます?」
 大河          :「って、いうと?」
 十            :「結界を破ってきたんだから、それなりに術式は使えると
        :見たんですが……」
 大河          :「そうですねぇ……」
 SE          :「ぴしっ!
                :ざざざ……」

 突然、そばにあった木のやや大ぶりな枝が音を立てて折れ、大河に向かって
倒れていく。
 枝は、そこに何も無かったかのように地面まで落ちる。
 大河は、ごく自然に木に向かって枝の中を歩き、拾った枝を軽々と持ち上げ
て断面を合わせる。
 一瞬の間を置いててを話すと完璧に元どおりになっていた。

 大河          :「こんなところですか。
                :もっとも大きな事も出来ますが、後のために術力は残さな
        :いと……」
 十      :「(なんとなく手品っぽいけど……。手品だったらわざわ
        :ざ鼻は突っ込まないよな)
                :じゃ、いきますか」
 大河          :「そうですね」


◯戦い・序
------------
 前野          :「本格的に来るぞ、気ぃ入れな!」
  健一     :「それではいきますか」

  そうつぶやくと、残った二匹のうちの一匹に飛びかかる。
  ぶつかりそうになった瞬間小太刀を抜刀して打ち掛かった。
  前野の一撃で疲労していたのか
  よけることもままならずそのまま倒れた。
  まだ存在するだけの力は残っているようだったが。

  健一          :「どうした、こんなものなのかよ!」
 前野          :「莫迦が!油断するなっ!!」
 健一  :「え・・・・・!!」
 SE:ギャリィィン!

 残る一頭へと向かう健一の背後で、鋭い金属音が鳴る。
先ほど小太刀の一閃で倒れたはずの魔犬が、背後から飛び掛かろうとしたのだ。

 SE:ズダンッ

健一との間に入り、抜きざまに首を狙い太刀を振るう前野。
その太刀を歯で受け止め、そのまま地面に押し倒す。

 前野          :「くっ…擬死かよ……」

 擬死…その野生動物に備わる狡猾な本能が、この魔獣にも備わっていたのか
…

 かみ砕かんばかりに刃を噛み、生臭い息を吐き掛ける。

 前野          :「さっさとそっちを片づけてくれ!こっちは何とか保たせ
                :る!」
 健一     :「は、はい!」

 SE:…ちり〜〜ん……

 前野          :「焔よ……(ひゅうぅぅ)」

 太刀で魔犬の顎を押さえながら、呼気を細くする。
 柄元に刻まれた梵字がうっすらと光り、刀身から淡い陽炎が立つ。

 前野          :「…のーまくさーまんだー…ばーさらだんせんだん……」
 魔犬          :「グルォォ!?」

 低い呟きが口から漏れ出す

……と

 前野          :「!?」
 魔犬          :「グルァ!!」

 SE:…ズドォォォオン!

 上空から降って来た光が、魔犬もろとも前野を貫く。

 魔犬          :「ギャオォン!」
 前野          :「ぐあぁぁあ……っ…!!!」

 それは、光の槍。
 もろともに、地面に縫いとめている。

 前野          :「ぎっ…暴れるな…っ…この…莫迦……ぐっ」

 魔犬は、貫かれた痛みに、血を吐き、地面を掻いてもがく。
 だが、やがてその力も弱まり、ぐったりと動かなくなる。

 前野          :「くっ…ぐが……ぬあっ!」

 肉の塊となった魔犬の体を押し上げると、繋ぎ止めている槍もろとも、逆手
に握った太刀で切り払う。
 二つになった肉塊は地面に落ちると共に、煙を上げて燃え上がる。

 前野          :「ぐぎぎぎ……」

 腹に刺さった残りの槍を、ぎりぎりと引き抜く。

 前野          :「ぐぐっ…っ!」

半ばほどで一気に引き抜くと、腹を押さえ、体を起こす。
そして、荒く息を吐きながら、太刀を支えに、立ち上がる。
炎に照らされたその姿は、魔犬と自分の血で、全身染まっている。

 前野          :「げはっ!…ハァ…ハァ……」

魔犬の吐いた血と自分の血で汚れた顔を袖口で拭う。
腹の傷は……無い…

服に大きな穴が空き、血で汚れてはいるものの、肌に傷痕は見られない。

 前野          :「無茶…しやがって……」

槍が降ってきたのであろう、空を見上げる。
案の定、そこに一つの影があった。

 前野  :「あいつか・・・」
 圭人  :「だ、大丈夫ですかあ!」

◯すべてを見守りし者
-----------------
場面は、少し前に戻る。
同日、21:12、兼澤家の住んでいるマンションの一室

 京            :(FF8をやっている)
 SE        :ぴーん、ぴーん、ぴーん・・・・・。
 京            :「ん?」
 SE        :ぴーん、ぴーん、ぴーん・・・・・。
 京            :「クロトさん?なに、こんな時間に?」
 クロト        :「ごめんなさい。でも、召集があったものだから」
 京            :「召集?あ、それで帰ってきてないの?」
 クロト        :「いえ、圭人が帰ってきてないのはそのせいじゃないわ」
 京            :「・・・ってことは・・・またゲーセン?全く・・・・・
        :これだから・・・・・」
 クロト        :「・・・・・じゃあ、状況を説明するわね」

(状況説明中)

 京            :「なるほどね。じゃあ、吹利公園の『ビジョン』を
         :出せばいいわけ?」
 クロト        :「ええ。後、そのあたりの霊体レーダーも出しておいて」
 京            :「OK。じゃ、行くよ」

京の脳裏に、地球の映像が浮かぶ。
そして、それはだんだんと下降していった。
アジア近辺・・・日本・・・近畿・・・吹利県・・・吹利市・・・そし
て・・・。

 京            :「これでよしっと。レーダーは横に出しとくよ。
         :・・・・・ところで、クロトさん」
 クロト        :「はい?」
 京            :「・・・・・何でそんなところにいるの?」
 クロト        :「え・・・・・あ、あはははは・・・・・(汗)」

ごまかし笑いをするクロト。さて、このとき、彼女と圭人がどこにいたのかと
いうと・・・。

◯天空から・・・・・
--------------

 圭人     :「なあ、クロト」
 クロト    :「はい?」
 圭人     :「俺たちは、時田の馬鹿から召集くらって、吹利公園に
         :行くことになった。そこまではいいな?」
 クロト    :「はい」
 圭人     :「それで、俺は紋章魔術を使って、吹利公園に行こうと
        :した。これもいいな?」
 クロト    :「(汗)・・・・・はい」
 圭人      :「それでだ。何で俺たちはこんなところにいるんだ?」

彼らの目の前には、一面の霧がかかっている。
それは、すさまじいスピードで上に上がっていく。

 クロト    :「それは・・・・・(大汗)」
 圭人     :「もう一度聞くぞ、クロト。何で俺たちは・・・」

突然、霧が晴れた。
彼らの眼下には、吹利市の町並み、そして、吹利公園がある。

 圭人     :「こんなところにいるんだっ!!?」
 クロト    :「・・・・・た、たぶん、ヘルメスのちょっとした
         :茶目っ気かなーなんて・・・」
 圭人      :「こんな茶目っ気があるかあああああっ!!!」
 クロト    :「・・・・・ご、ごめんなさーい!わたしが悪うござい
         :ましたー!!」
 圭人      :「わかればいい。さてと。とりあえず、この状況を
         :何とかしないとな」

こうしている間にも、彼らの体は自由落下を続けている。
地上まで、後500mといったところ。

 圭人      :「古きギリシャの神、天空を統べし者よ。
         :汝が力を我がもとへ」

圭人が紋章を刻む。

 圭人      :「我に翼を与えよ。ウラヌス」

突然自由落下が止まった。
そして、彼らは、ゆっくりと下に降りはじめた。

 圭人      :「京の映像の方は来てるな?」
 クロト    :「(気を取り直した)はい」
 圭人      :「よし、つないでくれ」

圭人の脳裏に、京の『ビジョン』が浮かぶ。
クロトの能力で、『ビジョン』を圭人に転送しているのだ。

 圭人      :「霊体の反応は13、うち人間は5・・・・・ん?これは
        :・・・結界?」
 クロト    :「かなり強力な物ですね。私たちに影響はないけど・・・
         :いったい誰が?」
 圭人      :「召還した奴がはっといたか・・・同業者だな」
 クロト    :「・・・どうします?」
 圭人      :「決まってるだろ」

そういうと、圭人はにやりと笑った。

 圭人      :「まずは目標をぶっつぶす。ほかの連中はその後だ・・・」

そして、彼は紋章を刻み始めた。

 圭人      :「・・・・・ミノスの槍よ!」

その声とともに、彼の右手に、光の槍が現れる。
そして、京の『ビジョン』が、一匹の黒い犬を捕らえた。

 圭人      :「いっけえー!」

そのかけ声と同時に、光の槍が放たれた。

 SE:…ズドォォォオン!

そして、槍は犬を貫いた。
ただし、その下にいた青年も一緒に。

 圭人      :「・・・・・あ」
 クロト    :「・・・・・」
 圭人      :「まずい・・・まずすぎる・・・」
 
当たり前である。
召還者かもしれないとはいえ、人は人。
それも、ああいう位置にいるということは、少なくとも
犬をコントロールしているわけではないだろう。

と、いうことは

 圭人      :「・・・被害者に攻撃しちまったあ!!」

・・・被害者かどうかはともかく、本来攻撃するべきでない人間に
攻撃してしまったことは事実。
どう考えても始末書ではすまない。

 クロト    :「どうするんです?どう考えても始末書じゃ
         :すみませんよ?(妙ににこやか)」
 圭人      :「ずいぶん落ち着いてるな、おまえ(汗)」
 クロト    :「ええ、慌てられるレベルの話じゃないですから
         :(妙ににこやか)」
 圭人      :「・・・(滝汗)」
 クロト    :「(にこにこ)」
 圭人      :「・・・すまん、俺が悪かった」
 クロト    :「わかればいいんです。で、どうするんです?」
 圭人      :「とりあえず、まだ何とか生きてるみたいだからな。
         :早く治療しとかねえと」

そして、彼らは一気に広場に急降下した。
木の中を抜けると、広場の様子が肉眼で見える。

 圭人      :「だ、大丈夫ですかあ!
         :(!!・・・あれ食らって立ってるよ。ただもんじゃねえ
        :な・・・)」
 前野          :「大丈夫だと思うか……?」
 圭人          :「い、いえ…(滝汗)」
 前野          :「何処の者かは知らんが、次は気をつける事だ…」
 圭人      :「は、はい・・・。(やっぱり同業者か・・・)
         :・・・怪我、治しましょうか?」
 前野          :「要らん」
 圭人     :「………(滝汗)」
 前野          :「とりあえず、さっさと仕事を済ませる事だな……(顎を
                :しゃくる)」
 圭人      :(そちらを見る)「・・・・・確かに」

そこでは、圭人と同じぐらいの年齢であろう少年が、
小太刀一本で犬と戦っていた。
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長いので一旦ここで切ります。
であであ、Wingsでした。

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              「黄の八弦琴」
             伝説こそ語るべし。
               なぜなら、
          皆を導き、希望を与えるから。
                             Wings 
                   メールアドレス wings@trpg.net
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