[KATARIBE 16045] [HA06P]:EP: 『かぐや姫にはなりたくない』

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Date: Wed, 27 Oct 1999 12:02:24 +0900
From: ソード  <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 16045] [HA06P]:EP: 『かぐや姫にはなりたくない』 
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <199910270302.MAA15461@www.mahoroba.ne.jp>
X-Mail-Count: 16045

99年10月27日:12時02分19秒
Sub:[HA06P]:EP:『かぐや姫にはなりたくない』:
From:ソード


 じにーさん、ログまとめありがとうございます。

 EPに直してみました。
 登場人物のところは、台詞の出てきた順に並べただけなので、書き加えてく
ださい。

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エピソード『かぐや姫にはなりたくない』
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登場人物

向坂
みかん
紫苑
かける
煌
布施美都(ふせ・みと)
    1999年5月より過去の記憶、記録を持たない少女。
八神

月が綺麗な夜です
----------------
 その日は、月が奇麗な夜だった。
 最近は雨が少なく、空も冬へ向けて澄み切ってきている。
 月の光が明るくて、星が見えなくなるほどに。

 ベーカリーは、日が暮れてから閉店となる。
 夕食の後なのか、最後に店を出るのは常連達。
 店長に追い立てられ、店を出たところであった。

 向坂     :「月が綺麗な夜です〜、っと」
 みかん    :「わお〜〜〜〜ん☆」
 紫苑     :「にゃ〜(それはちょっと違う気が〜)」
 向坂     :「ねこ娘月に吠える、か。こっちこいこい」
 みかん    :「ねこじゃないの(ぷぅ)」

 狼であるから、猫と言われては心外だろう。
 しかし、それだからこそ向坂が持っている包みの中が容易に想像できた。
 不平を述べつつも寄って行くみかん。

 向坂     :「豪傑もこいこい。猫缶あるぞ〜〜」

 豪傑とは、向坂が紫苑を呼ぶときの名前だ。紫苑は自覚しているらしく、豪
傑と呼ばれても反応する。

 紫苑     :「にゃ〜」(とてとて)
 かける    :「ねこー」
 かける    :「ねこーねこー」
 かける    :「ねこーねこーねこー」
 向坂     :「うっ」
 煌      :(どろっぷきっく)
 美都     :「……」(見上げてる)
 かける    :(ごろごろごろごろ)
 かける    :「なにすんだよ」

 向坂     :「ほれ、団子だ団子。そのへんで買ってきた奴だけどな。
        : 美都くんも見上げてないで食ったらどうだい」
 みかん    :「わぁい。だんごっだんごっ♪」
 美都     :「あ、ありがとうございます」

 店内では広げられなかった包みを披露する。
 常連の皆も、それを見て集まって来る。

 紫苑     :「にゃ」
 向坂     :(きこきこ)
 向坂     :「ほーれ、豪傑にはつくねの団子だ」

 かける    :「だんごっっだんごだんご3……」
 煌      :(延髄斬り)
 かける    :「ぐぇ」

 八神     :「(ボーッ)」(月を見上げてる)
 向坂     :「おやぁ、やっかみ青年もかい。ほりほり、こいこい。
        :まだまだあるぜ」
 八神     :「んじゃ、いただきます」

 そういって、だんごを手に取る。

 かける    :「いててて……私にもいただけますか」
 向坂     :「かける青年はねこみみが食料じゃなかったのか?」

 その言葉に、言葉に詰まったのか気を悪くしたのかは、本人以外には分から
ない。

 向坂     :「冗談だよ……ほれ、食え」(煌と二人分の団子を皿に載
        :せて渡す。ちなみにみたらし)
 かける    :「ありがとうございます(煌に向かって皿を差し出す)ほら」
 煌      :「いっただっきま〜す」

向坂、懸想する
--------------
 紫苑     :「(はぐはぐ……つるん……ぽて)……」
 向坂     :「む?」
 紫苑     :「に〜(さくさく)」

 向坂が下を見ると、つくねだんご相手に格闘している紫苑。どうやら、食べ
にくいらしい。

 向坂     :「む、食え食え」
 かける    :「猫だ」
 美都     :「……はい」(紫苑の食べる手伝い)
 向坂     :「食いにくいか……ならこうするかな」(団子の串で残りの
        :つくねを4つに割って紫苑の前に出し直す)
 紫苑     :「にゃ〜(はぐはぐ)」

 美都が紫苑の食べているつくね団子(丸ごと)の前に、向坂の手が伸びて来
る。
 当然、二人ともしゃがみ込んで紫苑の相手をしている。

 美都     :「あ……よかったね(にこ)」
 紫苑     :「にゃ(すりすり)」(二人の手に)
 向坂     :「やー、かわいいのぅ、こうしてると」
 美都     :「あ……」

 紫苑が擦り寄る事で、手を引っ込められなくなった美都。隣にしゃがんでい
る向坂の肩が触れ、ぬくもりが伝わって来る。
 肩が触れ合っているのだから、顔の距離も近い。

 向坂     :「これがあの日本美人にかわるんだからな〜〜、
        :変なもんだよな、美都さ……」

 隣を見て、驚くほど近くに顔があるのに気づいた。目が合い、初めてお互い
の距離を認識する。

 かける    :「らぶりげだね」
 美都     :「あ、ごめんなさい」
 向坂     :「ああ、こりゃどうも」

 かけるのからかうような声に我に返り、立ち上がる美都。
 夜の寒さが少しだけきつく感じられた。

 美都     :(右手を左手でつかみ、胸に置いて月を見上げる)
 向坂     :「……かぐや姫だな、まるっきり」

ふたり
------
 かける    :「ねこー」(紫苑を抱き上げる)

 紫苑の周囲の人垣が無くなったところを見計らい、かけるが行動を起こす。

 かける    :「ねこーねこー」(なんとなく頭の上に乗っけてみる)
 紫苑     :「にゃ〜」(がり)
 かける    :「ねこーねこーねこー(がりっ)いてっ」
 紫苑     :(ぴょんと跳んで美都の肩に乗る)
 煌      :「愚かもんが( ̄▽ ̄)」

 横には、常に暴走を止めようと待機している煌。

 美都     :「あ……」(にこ)
 紫苑     :「にゃ〜」(ぺろ)
 美都     :「……」(手でなでながら自分も頬擦り)

 向坂     :「ほり、振られた同士で最後の団子でも食おう、かける青
        :年」
 かける    :「そーだね(はむはむ)」

 月を見上げる猫と娘を見ながら、残りのだんごに手をつける。

 美都     :「えへ……くすぐったい……」
 かける    :「猫と娘……略して猫娘」
 八神     :(はむはむ)<だんご食い中

 向坂     :「まー、なんだかんだ言って青年と煌くんもいつも一緒で
        :はないか。羨ましい限りだぞ(にやにや)」(かけるを肘で
        :突つく)
 かける    :「うぐぅ。そーでもないよ」
 美都     :「……おふたりは、つきあってられるのですか?」

 くるりと振り返り、煌とかけるに向かって問う。

 向坂     :「結局、そうみたいだな(くすくす)」
 煌      :「ぜんぜん( ̄▽ ̄)」

 向坂のからかう声と、煌の否定の声が重なった。

 かける    :「うぐぅ」
 八神     :「取りつくしま無し(笑)」

 美都     :「そうですか……でも、なんか息が合ってるっていうか、
        :うらやましいです」
 紫苑     :「に〜」
 向坂     :「まったくだ。独り身には夜風が身に染みるぜ……
        :(にやにや)」
 かける    :「……寒い」

 紫苑     :「にゃ〜」
 美都     :「……」(すりすり)
 向坂     :「美都くんには豪傑がいるではないか」
 美都     :「え……ごうけつ……って、この猫の事ですか?」
 向坂     :「ああ。下手な恋人同士より熱熱に見えるぜ(苦笑)」
 かける    :「なんで豪傑なんですか?」
 向坂     :「ん? ああ、こいつ、酒飲んだからさ、初めて見た時」
 かける    :「ふつーのひとがみたら猫かわいがりしているだけのよう
        :なきがする……」
 向坂     :「そうかぁ? それだけじゃないように見えるがな……」
 かける    :「ふつーのねこは変態しませんよ(^^;」
 向坂     :「まぁ、そうだなぁ」

かぐや姫
--------
 紫苑     :「にゃ〜(お月がまん丸)」
 美都     :「月……きれいだね……」

 向坂とかけるが話し始めたのを見て、また月を見上げ直す美都。

 向坂     :(ぼそっ)「……ほんとに月に帰っちまいそうだ……」
 美都     :「え? ……やだなぁ、そんなことないですよ(にこ)」

 いつも、ベーカリーやグリーングラスでは見せない、心を隠す為の笑い。
 美都の言葉を、美都自信が一番信用していなかった。

 向坂     :「あ、聞こえてたか」(頭をコロンボ風にぼりぼり掻く)
        :「(じゃあ、その切なそうな笑いは何なんだよ……)」
 美都     :「きれいな月って、なんか……吸い込まれそうですよ
        :ね……」
 向坂     :「そうだなぁ」

 かける    :「月……あおーん」

 三度、月を見上げる美都。それにつられ、皆がしばし月を眺める。

 美都     :「今まで育ててくださってありがとうございました。
        : わたしは、月に参らねばなりません……」

 突然、月を見上げながら芝居がかった様子で口に出す。

 向坂     :「……」

 とくん……と、向坂の何かが胸の奥で反応した。

 向坂     :「行かないでくださいかぐや姫。私との約束は
        :どうなさるのですか」

 言葉は芝居じみているが、言葉に偽りはない。本気に取られないと確信して
の、本音。

 美都     :「……えへへ……次の台詞、忘れちゃいました(にこ)」

 振り返って舌を出して笑う。
 しかし、その瞳はいつもの明るさはなく
 ただ、切なく……。

 紫苑     :「にゃ〜」(すりすり)
 美都     :「うん……」(すりすり)

 向坂     :「……台詞はともあれ、行っちまうんだよな、かぐや姫は
        :さ」
 かける    :「うん」
 美都     :「彼女には……どうしても行かなきゃいけない理由があっ
        :たんでしょうね……」
 かける    :「ふみゅ」
 向坂     :「もったいないよな、こんな美人をみすみす月にやっちま
        :うなんてなぁ」
 美都     :「あたしは、今はここにいたいなぁ……」

 自分の事をいわれているのを自覚しているのかいないのか、ポツリと口から
出た言葉。
 わずか半年の記憶。
 過去の記憶が無いだけに、この街、人は簡単には捨てられない。
 しかし、過去を探し、過去が見つかったとしたら……。

 向坂     :「いたければ、ずっと居られるように努力しなきゃなぁ。
        :月からのお迎えに連れて行かれないように。かわいい恋人
        :の為にもな。な、豪傑」
 かける    :「紫苑ってよんであげようよ……」
 向坂     :「そうだな(くすくす)月のお迎えに美都くん取られない
        :ようにしろよ、紫苑」

 後ろから美都と紫苑にちかづき、紫苑をちょんとつつく。

 紫苑     :「にゃ」

行かないで
----------
 かける    :「……紫苑が月行きになったりして」
 美都     :(紫苑を抱き寄せる様にして)「……行っちゃやだからね」
 向坂     :「あははは、一緒に行っちまうかもなぁ、確かに。ちっこ
        :いからなぁ」
 美都     :「やだっ!」

 後ろから紫苑をつつきながら言う向坂へ振り向いて、美都が声を荒げる。

 向坂     :「?」
 かける    :「?」

 向坂もかけるも、一瞬面食らう。ただの冗談。雑談に過剰なまでの反応され
たのだから、無理はない。

 美都     :「紫苑ちゃんは一緒にいかないっ。月になんかいかない!」

 たとえ、自分はいかねばならないとしても

 美都     :「いくんならっ……わたしひとりで……」(ぼろぼろぼろ)

 連れて逝くわけにはいかない

 八神     :「ありゃりゃ、泣いちゃった(^^;」
 かける    :「いーじーめーたー」

 向坂     :「………そうだな。おっさんが悪かったよ。ごめん」
 紫苑     :「にゃ」(涙をなめ取る)
 美都     :「あ……ごめん……なさい……」

 紫苑の泣き声とほおの感触で、我に返る。
 自分でも理解できない感情に支配された。かぐや姫など、御伽噺に過ぎない
のに。

 美都     :「あたし……(ひっく)かえります……。おだんご、ありが
        :とう……」
 向坂     :「(なんかあるんだな……調べてみる、か、これも)……送
        :るか?」
 美都     :「すぐ……そこですから」

 そういうと、斜向かいのハーブショップ、グリーングラスの裏口へ向かう。
 もう閉店時間は過ぎているのだ。

 紫苑     :(ぶわっと人間形態)

 裏口に入った所で、猫から変じる紫苑。

 美都     :「あ……紫苑ちゃん……」

*****************************

 って所までです。
 大幅に変更しました。特に、美都以外にも地の文で心情を書いてますので、
チェック願います。
 最後、紫苑さんなんかお願いします。>リューさん

 ……ちょっぴり重くなってしまいました……チャットだと、メンタルな部分
が反映され易いのでしょうがね、EPに直したときも一回読んでからだったん
で見事に影響を受けて輪をかけて重く……(爆)

 いや……作品を見たりしてメンタルな部分まで影響受けるのは良くある事な
んですがね。
 今回は……なんかあったかなぁ?

んでは。また。






    

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