[KATARIBE 16033] [WP01P] エピソード『死との遭遇』完成版

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Date: Wed, 27 Oct 1999 01:16:05 +0900
From: ICHIKAWA Takuaki <bobu@din.or.jp>
Subject: [KATARIBE 16033] [WP01P] エピソード『死との遭遇』完成版
To: kataribe-ml@trpg.net
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こんにちは。BOBUです。

未完成品を仕上げていこう計画、その1〜

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エピソード 『死との遭遇』
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登場人物
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 伊野部荘司(いのべそうじ):異能操作能力を持つ高校生。
 楊可秀(ようかしゅう):台湾人。異能者を悪魔の使いと見て、殺害している。

時系列
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 1999(1st)年の12月31日深夜。


本編
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 1999年12月31日深夜。新宿。

 荘司     :「ったく、どこに行ったんだ?」

 伊野部荘司は新宿をさまよっていた。
 家族と一緒に来たのだが、はぐれてしまったのである。
 すでに1時間がたとうとしていた。
 先に帰るか。
 そう思い始めたとき。

 声      :「探シたぞ……」

 振り向いたそこに、男が立っていた。
 3ヶ月前に台湾で見た顔。

 男      :「貴様を…殺ス」

 3ヶ月前と同じ表情で、同じ台詞を放つ。
 違うのは男の手に大型のナイフが握られていること。

 辺りを見回しても誰もいない。

 荘司     :(そんな。さっきまであんなに人が居たのに……)

 世界には男と自分しか存在しない。そんな感覚に襲われる。

 荘司     :(……逃げなきゃ)

 だが、体は言うことを聞かなかった。
 荘司が逃げられないことを察したのか、男は悠然と歩いてくる。

 荘司     :「ひ……」

 ナイフの背が頬をなでる。
 冷たい。

 男      :「声も出なイか……」

 ナイフが首に移動する。

 男      :「サよナら」

 男は唇をゆがめてそう言った。
 思わず目を閉じる。
 腕時計のアラームの音が何処か遠くに聞こえた。

 …………

 目を閉じたまま数分。想像していた痛みは来ない。
 そっと目を開けると、そこにはもう、誰もいなかった。

 荘司   :「……助……かった……?」

 大通りからにぎやかな声が聞こえる。
 さっきまで人が見えなかったのが信じられない。

 通行人 A :「よぉ、にーちゃん明けましておめでとーう!」

 酔っぱらった男に声をかけられた。

 荘司     :「もうそんな時間か……」

 電光掲示板を見上げると、
 「A HAPPY NEW YEAR!! 
        WELCOME 1999」
 の文字が光っていた。

解説
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 終末の住人である荘司とその対である楊の最初の遭遇。
 楊はループ現象によって、台湾へと引き戻されることになる。

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それでは。
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BOBU <Takuaki Ichikawa>
E-Mail   : bobu@din.or.jp
    

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