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Date: Tue, 26 Oct 1999 21:34:32 +0900
From: "E.R" <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 16025] [HA06N] :「月下異象」
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <199910261234.VAA01688@www.mahoroba.ne.jp>
X-Mail-Count: 16025
99年10月26日:21時34分28秒
Sub:[HA06N]:「月下異象」:
From:E.R
こんにちは、E.R@とおひーー です。
なんなんとなく手を動かして。
なんなんとなく………なに書いてんだか(汗)>己
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「月下異象」
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十六夜の月が風流と言う人もいるし、十四の月が一番と歌う人もいる。
『お月様綺麗だね』
「うん」
線で引いたような、街路樹の陰。
綺麗、綺麗、と、譲羽が腕の中で拍子を取る。
「そういえばゆずは、月花って知ってる?」
『月花?』
「お月様と一緒に大きくなって、お月様と一緒に咲く花」
『んーと』
譲羽は暫らく首を傾げていたけれども、
『ゆず、聞いたことあるよ』
「聞いたこと?」
『うん……花澄見たことあるの?』
「私のね、おばあちゃんの家の近くにいっぱい咲いてたな」
月の花。
ふい、と思い出す。
多分今頃、咲き誇っているだろう花。
『ゆずも見たい』
「……いつか一緒に見に行こうね」
『うん!』
ここから、そう遠くは無い筈なのに。
月花が浮遊する。
それは丁度、海の中に沈んで、月を眺めるのに似ている。
月の光に、照らされれば照らされるほど
ゆっくりと、風景ごと沈んで行くような。
しいんと。
「……あ」
通りの向こうから、微かに煙の匂い…というより、煙草の匂い?
そして、ことんことんと、足音。
足音を避けて、一つ角を曲がって。
やはり、月だけが照らす細い道に入りこんで。
ざわん、と、光が揺れる。
水が揺らめくに似て。
「あれ?」
『わあ』
掠れるような細い光が、頼りない線を描いて浮遊する。
光の先に、流線型の……
「さかな?」
『さかな!』
ざわん、と、また光が揺れて………………
ふと見ると、しらじらと月の光が、細い道を照らすばかりで。
『……あれ?』
「…戻っちゃったね」
何となく、二人で顔を見合わせて、苦笑する。
「帰ろうか」
『……うん』
ぢいぢいと小さく呟きながら、やはり譲羽は腕の中でとんとんと跳ねる。
ちいさな光の渦が、そのたびに弾けるような気がした。
今日は十六夜。
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てなもんで。
……だから、なに考えてるんだかって(苦笑)
ではでは。