[KATARIBE 15982] [HA06N]: 『とある独り言』

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Date: Sat, 23 Oct 1999 22:33:31 +0900
From: 久志  <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 15982] [HA06N]: 『とある独り言』 
To: kataribe-ml@trpg.net
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X-Mail-Count: 15982

99年10月23日:22時33分27秒
Sub:[HA06N]:『とある独り言』:
From:久志


 久志@風邪まっさいちう です。
へれへれな時に限ってEPが書きたくなる(滅)

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『とある独り言』

早朝
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 朝である。
 しかし、当方には生憎時刻を知る術がないので、今現在が世間一般で
言われている朝の時刻であるという自信はない。もとより当方が生活し
ていく上で細かな時間を感知する必然性はないのだが、家主との共同生
活をおくる上で大まかな時間を知ることはそれなりには必要ではあると
思う。ので、我が家の家主が起きてカーテンを開けた時が朝である、と
当方は勝手にそう思うことに決めている。つまるところついさっき家主
が目を覚ましたばかりということである。
 共同生活とはいっても当方は自分では身動きの取れぬ存在であり、家
主に拾われた身であるので、どちらかというと居候と言ったほうが近い。
 家主が起きてまずすることは、当方が中央に陣取っているちゃぶ台を
窓際に寄せ窓の近くに当方を置いて日に当てることである。やはり当方、
南方生まれの気質もあいまって朝から日の光を存分に浴びることは三度
の飯より好きである。もっとも当方は実際に食事をすることはかなわな
いのだが、これも言葉のアヤというものでご理解いただきたい。

 失敬、自己紹介が遅れたが、当方佐古田真一宅ちゃぶ台上にて居を構
えるしがない一サボテンである。ちなみに名はまだない。つい今年の春
先に吹利商店街北ゴミ置場から現在の家主に拾われ、家主の住居である
吹利本町風見アパート二階L号室へとやってきた次第である。我が家主
は寡黙で少々表情に乏しい所もあるが、まめに当方の世話を焼き、夜は
早寝、朝は早起きと今日日の学生には珍しく規則正しい生活を送る真面
目な性分の持ち主である。その割にはしょっちゅう大学をサボっている
という話を家主を訪ねてくる者達の口から聞くが、生憎、部屋の外での
事なので移動のかなわない当方には知るすべはない。

 と、いうわけで。家主は朝も早くから散歩に出かけるらしい。当方は
お留守番である、もっとも当方が出かけるということは論理的にありえ
ないのだが。
 窓に日があたってるうちに存分に日光を堪能することにする。
 実に良い天気だ。

 悦。

昼
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 昼である。
 例によって、当方は時間の感覚が曖昧なので、日光浴に飽きて一息つ
いた時が当方にとっての昼である。昼間は大抵家主は出かけているので
部屋には誰もいない。
 見慣れた部屋を見回してみる、もっとも当方に厳密に目と呼ばれるも
のがあるわけではないのだが、感覚として目と表現させていただく。
 広い部屋である。
 あくまで当方から見た相対的な感覚でみた感想であるが、余計な遮蔽
物もなく凶器となりうる物もなく、逆に言えばあまりにも物がない部屋
と言ったほうが正しいのかもしれない。
 部屋の真ん中(昼間は窓際だが)に当方が居するちゃぶ台、部屋の右
隅に十年単位以上の年期が入っていそうな洋風タンス(当方が風に聞い
た話では粗大ゴミから拾ってきた品らしい)厳密に家具と呼べるものは
この二つのみである。他に部屋にあるものといえば、部屋の隅に立てか
けられた木製の梯子と分厚い手製のカーテンぐらいのものである。しか
し、カーテンはともかく何故梯子などが部屋にあるかというところが我
が家主の捉えがたいところである。本来、修理で屋根に登る時に用いる
為に作られたものらしいが、家主はしょっちゅうなんの理由もなく屋根
に登ってニ三時間戻ってこない時がある。登山家資質でもあるのだろう
か。一方、手縫いのカーテンは家主の作らしく、どこかの家で捨てる予
定だったホットカーペットの上掛けを貰い受けたものらしい。よく見る
と縫い目の幅まちまちだったり、曲がっていたり、右端と左端の長さが
一寸ほど違っていたりするが、もっともカーテン本来の機能から考えれ
ばさほどの問題ではないのかもしれない。
 どうも部屋の様子や当方と家主との出会いから察するに、我が家主は
なかなか知恵の回るちゃっかり者ではないかと思う。

 少々あれこれ考え過ぎたので一休み。

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夕方、夜と続く予定(^^;)

 というわけで佐古田んちのサボテンの一人称小説です。
佐古田本人がしゃべらない性質なので、かわりに佐古田の日々の生活
を語ってもらいます…が、なんといってもサボテンは動けないので部
屋の外での佐古田の生活は謎のままです(^^;)





    

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