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Date: Thu, 21 Oct 1999 17:47:13 +0900
From: "E.R" <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 15954] [HA06N] :「空の糸」 
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <199910210847.RAA22043@www.mahoroba.ne.jp>
X-Mail-Count: 15954
99年10月21日:17時47分11秒
Sub:[HA06N]:「空の糸」:
From:E.R
    こんにちは、E.R@とおひーーー です。
 ちょっと今、たたたっと書いた断片。
 ……これにNの符号つけるのって気が引ける……(汗)
 ([HA06F]……fragment、とか駄目かなあ……)
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「空の糸」
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 うつつの糸を、手で絡め。
 眼の端に、きらりと光る糸のようなものが見えた。
 指の先にそっと絡めると、案外はっきりとした手応えがあった。
「なあに、これ?」
『さあねえ』
 するりと糸の端が手から抜けて。
 その途端、視界からもやはりするりと消え去って。
「………ねえ」
『何か?』
「今のは、なあに?」
 さわ、と、こすれるように吹く風。
『人の縁と言えば、納得するのかね』
「……え?」
 周りを見る。
 今の糸は、既に見えない。
「……本当に?」
 ざわりと、レジのところに置いたカバーの紙を揺らして。
『…………さあねえ』
 からかうような、声。
『だとしたら、どうするね』
「…………どうも、しないけど」
 去るものは追わず、来るものは拒む。
 それでもなお、絡みつく糸はあるもの。
 いつの間にか、絡め取られているもの。
 去る糸を、留め置くほどのこともない。
「……でも綺麗な糸だったよ」
『そうかねえ』
 かすれるように、笑う声。
 ふわりと、風が揺れる。
 
 がら、と音を立てて硝子戸が開く。
「いらっしゃいませ」
解説
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 某日、瑞鶴の一断片。
 花澄の一人称です。
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 まあ……そんだけです。
 ではでは。