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Date: Tue, 19 Oct 1999 00:14:54 +0900
From: "E.R" <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 15902] [HA06N] :「前略、月待坂から」
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <199910181514.AAA00744@www.mahoroba.ne.jp>
X-Mail-Count: 15902
99年10月19日:00時14分50秒
Sub:[HA06N]:「前略、月待坂から」:
From:E.R
こんにちは、E.R@ねむねむ です。
この2,3ヶ月ほど、なんかたらたらと書いてた花澄の過去の話、
章ごとに流して行きます。
1994年の夏の話です。
「深河底流」より前の話ですので、花澄もまだ、今のように能力に制限がかかっては
いない状態です。
ちうわけで、少々、掟破りな、狭間二次創作物。
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「前略、月待坂から」
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月待坂:承前
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ここに来るのは何年ぶりだろうか。
駅を抜けると、小さな商店街に出る。それをなお通り抜けて、坂を登った先
に祖母の家はある。
大きな木、そして寄り添うように白い花を宿す木。
小さい頃は年に幾度となく訪ねたものだ。それが途絶えたのは、実家がかな
り遠くに引っ越してしまったから、というのが第一原因。
ただ、それだけではなかったろう、と、今ならば分かる。
鬼海の家は、鬼を産む。
そう、言われる家の長女である母は、すっぱりと鬼海の姓を捨てた。
十歳の頃、最後に行った祖父母の元には、まだ赤ん坊の従妹がいた。
そして、その秋、父の仕事で転勤になった。
沙都子叔母の、苦笑い。
『あんた達のお母さんは、鬼海とは完全に生き方を違えたからねえ』
それが良いのか悪いのか、そんな事は知らぬ、と。
細い縁の眼鏡の奥から、笑っていた目。
風が、吹く。
叔母の名残のように。
叔母を名残惜しむように。
『花澄ちゃんに渡したいものがあると言っていたよ』
『だから……おいで』
『おじいちゃんの御墓参りも兼ねて……おいで』
変わらぬ、祖母の声。
風見は風と化すか。
風見は風が悼むか。
まとめていた紐が緩んだのか、ざあ、と、長い髪が視界を遮った。
『悼んでいるのは、お前だろう』
……そうなのかも、しれない。
まとわりつく髪をいい加減に背中に払いのけて、花澄はポケットから切符を
取り出した。
ふい、と、思い出す。
今日は、新月だった筈……
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続きは、明日流します(ってもう今日か(苦笑))
#いあ、今、もすこしでコピーした部分を削除しかけた(爆)<相当眠いらしい
ではでは。