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Date: Thu, 14 Oct 1999 18:51:58 +0900
From: "E.R" <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 15816] [HA06P] :「命名書」
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <199910140951.SAA04214@www.mahoroba.ne.jp>
X-Mail-Count: 15816
99年10月14日:18時51分55秒
Sub:[HA06P]:「命名書」:
From:E.R
こんにちは、E.R@とーひもーどっ です。
ごんべさん、こんにちは。
すっかり遅くなりましたが。
語り部メンバー初の、二代目御誕生おめでとうございますEP(長いぞ(汗))
ちょっと……こういう風景、思い付きましたので。
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「命名書」
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某日、瑞鶴。
雨のせいなのか、それとももうそんな季節なのか。
さほど遅くない筈なのに、空はもう既にとっぷりと暮れている。
と、入り口の猫を蹴飛ばしかねない勢いで、入ってきたお客が一名。
白いワイシャツも、ネクタイも、何だかその勢いに押されて曲がっている
ような……
……そんな印象がある。
瑞鶴の猫 :「ふがあっ(威嚇っ)」
客 :「っと(汗)」
花澄 :「あ、すみません(汗)」
慌ててレジの前から抜けて、すごむ猫を抱き上げる。
客 :「いや……すみません、急いでたもので」
花澄 :「いえ、申し訳ありません」
猫のほうはしばらくじたばたしていたが、やがて諦めたらしく、花澄が降ろ
してやると、レジの前でふてくされたように丸くなった。
お客はせかせかと本棚に向かう。
何やら一心に探している様子だったが。
客 :「あの、すみませんが」
花澄 :「はい?」
客 :「……名前の本って、ありますか?」
花澄 :「名前の………命名法の本、でしょうか?」
客 :「あ、はいそうです」
花澄 :「ちょっとお待ち下さい」
本棚の隅にあった本を手に取る。
花澄 :「……これで宜しいでしょうか?」
客 :「『命名法・名づけ辞典』……ああ、はい」
花澄 :「はい。カバーお付けしましょうか?」
客 :「はい……あ、それと」
花澄 :「はい?」
カバーをかける手を止めずに、花澄が聞き返すと、
客 :「ここは、文房具は売ってませんね」
花澄 :「あ、はい…うちでは扱っておりません」
客 :「…この辺で紙を売ってる店ありますか?」
花澄 :「紙ですか?……画用紙のような?」
客 :「いえ、もう少し……和紙のような」
花澄 :「和紙……ですか?書道にお使いになるような……?」
客 :「いえ……いやそうなのか……いやそうじゃなくて」
要領が得ない。
本人も良くわかっているらしく、息を吐いて、ちょっと苦笑した。
客 :「命名書を、作りたいんですが」
花澄 :「命名書……ですか」
客 :「子供の……ね」
ひどく、照れくさげに、そう言う。
ああ成程、と、花澄も合点する。
花澄 :「……おめでとうございます(にこ)」
客 :「あ、どうも……いえ、それで、そういうのを書くような
:紙ってここらにありませんかね」
花澄 :「そういう紙なら……画材屋にあるかもしれません。雲竜
:紙の厚めの……ええと、手漉き風の、画用紙より多少薄め
:の紙だと、この商店街の並びの、駅の近くにある画材屋で
:見たことがありますけど」
客 :「あ、そうですか」
花澄 :「そこだと、他の紙もあると思いますので」
客 :「はい…じゃ、行ってみます。どうもすみません」
花澄 :「いえ……あ、消費税込みで…」
お客は慌てたように、財布を引っ張り出す。
花澄 :「でも…いいですね、命名書って(笑)」
客 :「いや、どうせ大きくなった頃に、自分の名前の由来って
:聞きたがるもんじゃないかと思ってね(苦笑)。その頃に
:は多分、こちらもそんなもの忘れてるから(笑)」
花澄 :「子供さん、喜ばれますね(にこにこ)」
そうかな、そうだといいな、みたいなことをもごもご言いながら、お客は釣
り銭を財布に入れ、手提げ袋に入った本を受け取る。
客 :「じゃ、どうも」
花澄 :「ありがとうございました(ぺこり)」
ふすん、と鼻を鳴らして猫が見送る。
がらがらと、硝子の引き戸が音を立てる。
なんとなく、猫と一緒に花澄もお客を見送っていたものだが。
花澄 :「……あ、画材屋さんの名前、言うの忘れた(汗)」
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てなもんで。
画材屋さんの名前は……私が知らないのだから、花澄が知るわけも無(撲っ)
命名書に関しては……実話です(笑)
いえ、同僚の方のところに、二ヶ月ほど前、男の子が生まれたのですが、
その数日後、何だか考えこみながら文章を打ちこんでらっしゃいまして。
E :「あれ、お仕事……データ、届きましたか」
同僚Mさん :「いや、仕事じゃないんです……命名書でね(苦笑)」
で、理由はEPにあるとおり(笑)
#紙には凝ってらっしゃいませんでしたが(笑)
でも、そのアイデアがいいなあ、って思ったんです。
ああそうだよなあ、御両親とも、子供さんの一生に向けて名前を考えられるんだし、
それを子供さんが知るって、なんかいいなあ、と。
……で、その様子が、「名前〜」と言ってらしたごんべさんと重なりまして(爆)
というわけで。
改めて、おめでとうございます(^^)
ではでは。