[KATARIBE 15599] HA06:EP :「写真」

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Date: Thu, 7 Oct 1999 12:32:08 +0900
From: "E.R" <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 15599] HA06:EP :「写真」 
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <199910070332.MAA17217@www.mahoroba.ne.jp>
X-Mail-Count: 15599

99年10月07日:12時32分02秒
Sub:HA06:EP:「写真」:
From:E.R


     こんにちは、E.Rです。
    不観樹さん、皆さん、こんにちは。

#よーし巻き込みEP走らせるぞ覚悟は良いかっ(爆)<……冗談ですんで、はい(へこへこ)

まあ、しかし、真面目な話、結構忘れてたEPなんかがありまして。
ちょっとこれなんか、如何でしょう(笑)

 時期としては、1999年6月、ですね。
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『写真』
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落とし物
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 梅雨時でも。雨が上がる。晴れる。
 晴れ間が拡がる。
 晴れた日には本を買っても濡れない。
 買った本を雨が降る日に、読む。
 というわけで、瑞鶴。
 
 美樹     :「あ、これとこれとこれと……」
 
 店番をしている花澄の前に、どさどさと本が積まれる。
 
 花澄     :「はい、全部で6890円になります。そういえば、先ほど麻
        :樹さんも来られたんですよ」
 
 美樹     :「あらら。入れ違いですかね」
 
 そう応えながら、美樹が茶封筒の中から真新しそうな一万円札を取り出す。
 
 花澄     :「………そういえば、今日はお食事は?」
 
 美樹     :「さっきまで、バイトでしたので………。そういえば、忘
        :れてましたな」
 
 ちなみに時計は4時過ぎだったりする(汗) しばし沈黙。
 
 花澄     :「…………美樹さん」
 
 お釣りをそのまま茶封筒の中にしまい込む。視線が痛い(汗)
 
 美樹     :「あ、今からベーカリーに行って、なんか食べます(^^;」
 
 誤魔化すようにどさどさと、背中のナップザックを床に降ろし、今買った本
を詰め込んで。
 そのはずみに、一葉の紙が、リュックの中からほろりと落ちる。
 
 美樹     :「それではまた〜〜〜」
 
 それには誰も気がつかず。美樹はナップザックのチャックを閉め、上端の紐
を掴んでひょろひょろとした足取りで去っていった。
 
 
拾い物
------
 
 とまぁ、ひょろりらと、美樹が去っていって。しばらくしての、瑞鶴。
 
 譲羽     :「ぢいっ」
 花澄     :「こらゆず、そこから出てきたら駄目って……」

 レジの後ろからそーーーーっと頭を突き出して……いる積りなのだろうが
いかんせん、おかっぱ頭が、完全に外から見えている。

 譲羽     :「ぢいぢいっ(でも花澄、何かおっこってるのっ)」
 花澄     :「落ちてる……?……あら」

 丁度本棚の下、少し開いた隙間に半分滑り込むように、紙片が落ちている。

 花澄     :「何かしらね……?」

 ひょい、と拾い上げる。
 譲羽が、大急ぎでレジの台の上に登り、覗き込む。

 花澄     :「ゆーず」
 譲羽     :「……ぢい?」

 知らん振りで、譲羽は紙片を指差す。
 紙片……ではない。これは

 花澄     :「あら」

 写真である。
 禿頭の、眼鏡をかけた老人。その両脇に、多分中学生くらいの、まだ
どこか幼い色の混じった…………

 花澄     :「美樹さんと麻樹さんだわ」

 レジの前の定位置に戻り、譲羽を腕に抱えて、もう一度よく見る。
 少年と、少女。よく似た面差しの二人は、しかし片方は詰め襟、片方は
セーラー服という、見間違いようもない服装で写真の中に収まっている。

 譲羽     :「……ぢい……(美樹さん、ちっちゃい)」

 老人の背がどの程度かは知りようも無いのだが、それにしても
座っている老人と比べて、二人ともまだ身長が伸びきっていないのがよく
分かる。

 花澄     :「………なあんか……(笑)」

 三人とも、ひどく真面目くさった顔をしている。
 それが、わざと、ではなく、ごく自然なのだろう、と分かるだけに
微笑ましい。

 花澄     :「セーラーかあ……麻樹さん可愛い(笑)」

 言われた本人は、どこかでくしゃみをしている可能性もある。

 しばし、二人で眺めた挙げ句……ふと、花澄は小首を傾げた。

 花澄     :「で……これ、どっちが落としたのかしら?」
 譲羽     :「……ぢい(わかんない)」

 まあ、どちらが落としたにしろ、どちらかに渡せばよいのだろうが。

 花澄     :「あの分だと、美樹さん、そうそう素直にはベーカリーに
        :行かないだろうしなあ……(思案顔)」

 多分、それまでにあちこちの本屋で引っかかりまくることだろう……と。
 きっちり予測がついてしまう辺りが、常連さんである。

 花澄     :「ベーカリーに預けておくのも、なんだかなあ……」
 譲羽     :「ぢい(麻樹さんは?)」
 花澄     :「麻樹さんは……松蔭堂にいる?」

 ふわり、と、風が動く。

        :『いや、今は病院だね』
 花澄     :「それじゃ駄目か……って、麻樹さん夜には帰ってくるかな」
        :『それは、恐らく』
 花澄     :「じゃあ……夜に、松蔭堂に渡しに行こうか(苦笑)」
 譲羽     :「ぢいっ(賛意)」

**************************

 ってとこで、一旦切る。
 次は『預かり物』でしょうかね?(笑)>副題

 続きは……松蔭堂、夜の9時、としておきます。
 一応、こちらで書く…………………だろう、多分(おいおいおい)

 ではでは。




    

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