[KATARIBE 15517] HA06 : EP :「定価は 200 円」

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Date: Mon, 4 Oct 1999 09:13:44 +0900
From: "E.R" <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 15517] HA06 : EP :「定価は 200 円」 
To: kataribe-ml@trpg.net
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99年10月04日:09時13分39秒
Sub:HA06:EP:「定価は200円」:
From:E.R


   こんにちは、E.R@流し流しっ です。
 瑠璃さん、銀佳さん、こんにちは。

 というわけで、お二人の分身、お借りします(爆)
 #これをやるのがEPの醍醐味(ってのは半分冗談です(汗))<半分かいっ

 まあ、一案として、一蹴されるも良し(笑)

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「定価は200円」
==============

 某日、瑞鶴。
 夕方、学校帰りの学生が増える時刻。

 ??     :「ここかなあ?」

 硝子戸の向うから聞こえる、はっきりと良く響く声。
 入り口にいた猫が、のそのそと移動する。
 ぼそぼそと、先程より小さな声でのやり取りの後、からからと硝子の引戸が
開いた。

 花澄     :「いらっしゃいませ」

 あ、はい、と、小さく呟いて入ってきたのは、多分高校生くらいの女生徒二
名である。
 まだ、女子高生が板に付いてないような雰囲気がある。

 悠      :「(小声で)……ここ?」
 璃慧     :「(やっぱり小声で)うん。かむにゃが瑞鶴って……」
 花澄     :「……(かむにゃ?)」

 そんな愛称に近い名前の常連さんいたっけかな、と、内心小首を傾げながら
それでも花澄は一礼する。
 反射的に相手も一礼する。
 そしてそのまま……流れるように、二人は本棚に向かって進んでゆく。

 璃慧     :「……(きょろきょろと見回す)」
 悠      :「あの高いとこの本とかは?」

 指差した先に、かーなーり、古そうな本が数冊並んでいる。
 が……残念ながら、二人の身長では、うんと手を伸ばしても、本には届かな
い。
 無理かな、と、手を伸ばしている璃慧の後ろから、

 花澄     :「あの」
 璃慧     :「……っ!」
 花澄     :「あ、ごめんなさい」

 片手に、折り畳んだ脚立を持って。

 花澄     :「これ、お使い下さい。一つしかないんですけど……」
 璃慧     :「あ……すみません」

 脚立を広げてから、花澄はレジへと戻る。
 脚立に上って、璃慧は一番上の段の棚に手を伸ばす。
 もう一人……悠は、もう一つの隅の棚を眺めている。

 と。

 悠      :「あれ?」
 璃慧     :「何?」

 脚立の上から、首を伸ばして下を見る。
 友人は、ノート大の本を引っ張り出している。

 璃慧     :「何?」
 
 脚立を降りて、友人の手元を覗き込む。

 悠      :「うん……楽譜」
 璃慧     :「楽譜?」

 なんでまたそんなものが本屋にあるの……とは、流石に店員の前では言えな
い台詞である。

 悠      :「これ、かなり古いよ」
 璃慧     :「……ほんとだ」

 電話帳並みの厚さの本いっぱいに、アルファベット順に並んだ曲。
 アニーローリー、ロンドンデリーの歌、フニクリ・フニクラ、シューベルト
とモーツァルトの「野薔薇」、ステンカラージンの船……
 本の紙は、さほど質の良いものではない。紙の端も多少黄ばんでいる。
 けれども、これは確かに新品である。

 悠      :「………(後ろのページを開ける)………えっ?!」
 璃慧     :「何?」
 悠      :「……古い筈だよ(汗)」

 奥付けにある日付は、昭和27年某月某日初版、の文字。
 
 璃慧     :「…………って、47年前っ(汗)」
 悠      :「何で……うわあ(汗)」

 そしてその下にくっきりと印刷された値段。

 璃慧     :「……(見ている)……0が一個少ない(汗)」
 悠      :「……にひゃくえん……」
 璃慧     :「嘘ぉ……」

 と……
 しゅるん、と、二人の視線の先で。
 印刷された文字が変わる。
 というより……0が一つ追加される。

 定価:200円から、定価:2000円へ。

 少し茶色を帯びたインクの色もそのままに。

 璃慧     :「………(しまった、と思ったらしい)」
 悠      :「………(どーしよう、と思ったらしい)」

 一瞬、硬直した背後から。

 花澄     :「……あの?」
 璃慧     :「はいっ」
 花澄     :「あの、何か不都合が?」
 璃慧     :「いえとんでもありませんっ」

 ばたばたと、それでも細心の注意を払いつつ、本を元の位置に戻して。

 璃慧     :「それじゃどうもっ」
 悠      :「またっ」

 ぱたぱた、と小走りに出てゆくのを見送って、猫が定位置に戻る。

 花澄     :(何か、妙なものあったのかなあ……)

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 おちろおっ(爆)

 えと、楽譜については、殆ど実話。
 ……あったんです、ええ、実家に(汗)
 #母が使ってた楽譜だそうで(汗)
 先に挙げた曲に関しては、よく伴奏させられたんで憶えてます(苦笑)
 
 しかし、本の値段というのもまあ上がるもので、
 己が幼稚園の頃は、岩波の少年文庫はハードカバーでして(爆)
 で……クマのプーさんとかピーターパンが、400円。
 小一の冬頃には、既に、これがソフトカバーになってました(笑)
 #クリスマスに貰った不思議の国のアリスは、既にソフトカバーだったので。

 状況としては、まあ、何か特別な本を探しに来た、というより、
 美樹さんあたりから「瑞鶴だと、面白い本がありますよ(にこにこ)」ってえ
紹介があったのかなあ、と。
 #てなわけで、この楽譜、お二人に反応したわけではないですね(笑)
 #どっちかというと……花澄だ(爆)

 というわけで、璃慧しゃんの異能お借りしました(笑)
 こういう使い方で……良かったのかなあ(汗)
 まあ、試しなので、訂正、修正、一切破棄、等なんでも有り、というところで(笑)

 であであ。






    

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