[KATARIBE 15501] [HA06]EP:『朝市にて』

Goto (kataribe-ml ML) HTML Log homepage


Index: [Article Count Order] [Thread]

Date: Fri, 1 Oct 99 23:44:20 JST
From: kousaka@axe-inc.co.jp (Kenichi KOUSAKA)
Subject: [KATARIBE 15501] [HA06]EP:『朝市にて』
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <9910011444.AA08275@giron.axe-inc.co.jp>
X-Mail-Count: 15501

  とてもお久しぶりです、Cor'Diallyです。
『朝市にて』の続きです。修正お願いします。

**********************************************************************
エピソード『朝市にて』(途中)
============================

一人目のお客様…?
------------------

 勇那     :「あれ、ここだけ人がまばら……っていうか、全然いな
        :いじゃん(苦笑)」

 人込みをかき分け……る必要もなく、すーいすーいと滑るように進んでき
た勇那が一軒の店の前で足を止めた(いや、足はないが)
 そう、客が来なくて(一応)困っている各務の店の前である。

 勇那     :「ふーん、野菜を売ってるのかぁ」

 さきほどから店先をうろうろと歩き回っていた勇那が思い知らされたこと
が一つ。
 それは、人込みをかき分ける必要がないということは、逆に商品をのぞき
込む時に不便であるということ。
 幽霊である彼女は当然現実には干渉することがない、つまり触れることは
なく彼女は人をすり抜ける。

 そして、彼らも彼女の体をすりぬける。
 それがどういうことか。
 自分が覗いている目の前につぎつぎと手が伸び、じっくり見ようとした商
品が次々と客の買い物カゴの中に収まっていくのだ。
 あのぴかぴか光る変わった魚が、あのみずみずしい美味しそうな野菜が、
あっちからこっちへひょいひょいひょい……。
 いくらひやかししかできないといっても、これではあまりに不公平である。
 そういうこともあって、ここのような人が少ない店はありがたかった。
 (売るほうには悪いが)自分が満足するまで眺めていられる。

 勇那     :「きゅうりとトウモロコシ……だけ?」

 商品台を覗いてみて気づくのは、実はたしかにでかいが形が不揃いなこと。
 並べられた商品が他店に比べると少ないこと。
 そしてこれがこの店に人を呼べない原因なのかもしれないが……わずかな
のだが値段が高い。
 わざわざ朝市に出てきて買い物をしようという「朝市の客Pro」には、こ
の値段はとても相手をしていられないということなのだろうか。

 勇那     :「ねぇ、おじさん……これってちょっと高くない?」

 勇那が商品を指さしながら、目の前の各務に一応声をかける。
 おじさんというには失礼な年齢かもしれないが、彼女はそこまで気を回さ
ない。

 各務     :(そういえば腹が減ったな……)

 腹を軽くさすって、目の前に並んだ商品をぼんやりと眺めている。
 勇那が話しかけていることにも、まったく気づいていないようである。

 勇那     :「……って、やっぱ気づくわけないか(苦笑)」

 幽霊である彼女は、普通には見えない。
 悲しいが、それが現実。
 もう慣れたので、これくらいで落ち込むことはないが……やはり気づいて
欲しいという気持ちはなくなるものではない。

 勇那     :「ま、いいか。他に誰もいないし、勝手に見せてもらう
        :からね〜(笑)」

 ふわりふわり。

 各務は突然、手近にあったトウモロコシの一つをおもむろに手に取り、実
を覆う葉を手際良く取り除く。そして、それにむしゃりと食らいついた。
 売れないからヤケになったか、なんなのか。


 勇那     :「……あのねぇ……ふつう売り物を食べますか(笑)」

 目の前の商品を食べ始めた各務を見て苦笑する。
 声が届かなくてもツッコミをいれるのは性分か。
当然、各務は気づかない。
トウモロコシをほお張り続けている。

 各務     :(う〜ん、甘くて美味しい。これでこそ早起きして朝に
        :収穫した甲斐があるというものだ)

 何やら満足げな笑みを浮かべる各務。

幸せに浸られても……勇那としては、ただ苦笑するしかない。

 勇那     :「なんか満足げだしぃ。まぁねぇ、朝早く出てきたか
        :ら、ごはんとかも食べてないなだろーけどっ」

 言いたいことは言った。
聞こえる聞こえないはともかく、それですっきりといったところか。

 勇那     :「……まぁ、いいか。あたしも好きにしよ」

さて。
 幽霊の少女が商品に手を触れて見定めるような仕草をしながら、店の前に
立っている。
 店主は日差しに目を細めながら、食べかけのトウモロコシを片手に何やら
笑みを浮かべている。
 奇妙な光景である。

  各務     :「ん?」

 気配が感じられたのだろうか。
 トウモロコシを食べる手を止め、各務は一応周囲を見まわした。

 各務     :(さっきからなんか視線を感じるよなぁ)

 首をかしげる。
 現在のただ一人の客が幽霊。
 不幸である。

**********************************************************************

  ここで一旦切ります。
  この後、サコタ君につなぐか美都&紫苑さんにつなぐかまだ決めてません。
# どちががいいですか。> 参加者の皆様

おまけ  ここまでの全体の流れ
----------------------------

・早朝、風見アパート	勇那登場
・早朝、グリーングラス	美都、紫苑登場
・風見アパート、屋根	サコタ登場

  この三つの順番に関しては特に問わない
# 時間順に並べるべきか。

・それは各務の出した店
・一人目のお客様…?

  この後、美都紫苑にふるか、サコタにふるかは未定。
# 勇那に対する美都&紫苑さんの反応にも興味はあるが、
  サコタ編が動き始めてるので迷っている。

今回は、これにて。
----
Cor'Dially kousaka@axe-inc.co.jp
心の赴くまま創造なさい。それにて世は満ち、繁栄の歌を歌うでしょう。
必要は興じ不要は滅します。創造なさい、世界の繁栄が色褪せぬうちに。
				    SUETULLA from GURPS UNISSIAN

ps. お子さん誕生おめでとう御座います。> ごんべさん
    

Goto (kataribe-ml ML) HTML Log homepage