[KATARIBE 15461] [HA06H] あなたならどうする : もけとの遭遇・祐司編

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Date: Tue, 28 Sep 1999 19:32:54 +0900
From: ごんべ  <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 15461] [HA06H] あなたならどうする : もけとの遭遇・祐司編 
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99年09月28日:19時32分50秒
Sub:[HA06H] あなたならどうする:もけとの遭遇・祐司編:
From:ごんべ


 ごんべです。

 もけとの遭遇、堀川祐司編です。(たぶん、ふかとの遭遇はありません(^^;)


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あなたならどうする:もけとの遭遇・祐司編
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 紅雀院大学構内、午後。
 黙々と文献に取り組み、レポート用紙にメモを書き連ねている、堀川祐司の
姿があった。

 祐司     :「…………」

 先ほどまでフラナが来ていたが、一転して室内は静まり返っている。適度な
気晴らしが、集中力の源になったらしい。
 ぱさ……かりかり、という祐司の手元の音だけが、うららかと言うにはまだ
多少暑さの残る日差しの差し込む室内に響く。
 ……と。

 ??     :「……もけ」

 かすかな声(?)と共に、物陰が動く。
 手のひらに乗る程度の大きさの影。ゆっくり動き出すと、それは何か毛虫を
丸めたような感じの、さわさわとした身のこなしで移動を始めた。
 祐司は、それに気付いた様子はない。

 もけ     :「……もけ……」(こそこそ)

 不思議な質感でピンと伸びた、真っ黒な毛足の丸い毛玉。「それ」は、いく
つか置かれた標本箱の間を縫って、床の上を祐司の方へ近づいてくる。
 毛並みの奥から、二つの瞳がくるりとのぞいた。

 もけ     :「もけ……?」(祐司を見上げる)

 祐司は、やはり手元の作業に没頭している。
 「それ」は、声をあげない部屋の主に、逆に興味を引かれたらしい。

 もけ     :「もけっ」(ひょんっ、と傍らの資料に跳び乗る)
 祐司     :「……ん?」
 もけ     :「もけ……」(動きを止める)

 あるのかわからない肩をすくめて、何となく声を潜めてみたらしい。

 祐司     :「……ふむ」

 作業に戻る祐司。

 もけ     :「……もけ……(様子を見て)……もけもけ」
        :(ひょひょいと資料の陰から机に上ってくる)

 一心不乱に資料を精読している祐司。

 もけ     :「……もけ……(ちょっとつまらないらしい)……
        :……もけ?……(興味を引かれたらしい)……」

 かさかさ、と言う感じながらも、音は立てずに資料の陰を伝う。
 背伸びをするようにして、山と積まれた本とコピーの束の間から、祐司の手
元を覗き込む。……その時。
 ばさ、と目の前の資料が取りのけられた。

 もけ     :「もけっ?」
 祐司     :「……」
 もけ     :「……もけ(汗)」

 真正面から、手元に資料を取った祐司と「それ」との視線が合った。

 もけ     :「(汗)……もけっ」(そそくさと逃げだそうとする)
 祐司     :「動くなっ」

 一喝。

 もけ     :「(びくぅっ)」(思わず硬直)

 ずずず、とずり落ちかける他の資料を積み直して、祐司は手元の資料に視線
を落とす。……が、ふと気がついて視線を「それ」に戻した。

 祐司     :「……?」
 もけ     :「……も……け……」
        :(毛の一本一本で爪先立ちしている(笑))
 祐司     :「……(苦笑)」
 もけ     :「……も……」(だんだん辛くなってきたらしい(笑))
 祐司     :「……何をやっとるんや」
 もけ     :「……もけぇ」(ついに糸が切れてその場にへたり込む)

 祐司は、苦笑しながら「それ」に手を伸ばした。

 祐司     :「資料の周りで暴れるなって。ほれ、あっち行っとれ」

 ひょい、とつかむと、ぽいっ、と「それ」を横の広い床の上に放り落とす。

 もけ     :「もけ、もけけっ」

 慌てたように一声あげると、「それ」ははたはたと床を走り始め、物陰に飛
び込んでいく。
 ……そして、二度と出ては来なかった。
 祐司は祐司で、「それ」をつかんだ手を見つめながら、茫然としていた。

 祐司     :「……(手を眺めて)……猫やなかったんか」

 それが祐司の、「もけ」との……というより人外のものとの、初めての接触
であった。

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 ……なんかまとまりませんが(^^;以上です。
 よろしくお願いします。

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ごんべ
gombe@osk3.3web.ne.jp




    

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