[KATARIBE 15419] [H06H] あなたならどうする : もけとの遭遇〜譲羽の場合

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Date: Sat, 25 Sep 1999 10:55:24 +0900
From: "E.R" <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 15419] [H06H] あなたならどうする :  もけとの遭遇〜譲羽の場合 
To: kataribe-ml@trpg.net
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99年09月25日:10時55分19秒
Sub:[H06H] あなたならどうする: もけとの遭遇〜譲羽の場合:
From:E.R


     こんにちは、E.Rです。
 
 というわけで、次はゆずです。
 (って、これで打ち止めですが(汗))

 日溜りからふかりこと出てくるふかしゃんと、花澄が会うならば、
やはりこいつはもけしゃんと出会うほうが似合ってるなあ、ということで。

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もけとの遭遇〜譲羽の場合
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 某日、松蔭堂。
 陽射しが段々と傾き始める時刻。
 闇ぬいは、縁側でぐうぐう眠っている。
 訪雪は、丁度訪れた客の相手をしている。

 譲羽     :「……ぢい(たいくつー)」

 お客さんが来ている時は、すこおし静かにしてくれんかの、と、凍雲の先
生から言われた。
 譲羽だって、そうそう聞き分けが悪いわけでもないし、人に迷惑になるこ
とは悪いことだ、くらいの区別はつく。静かにしなければ、とも思う。
 ……が。

 譲羽     :「…………ぢいー(たいくつーーー)」

 座布団の上で、投げ出した足をくねくねさせながら、そう呟いた時。

 ??     :(ころころりん)
 譲羽     :「?」

 ここに座っておいで、と、先程訪雪が出してくれた座布団。その座布団を出
した押し入れの、その暗い隙間から。
 ころん、と、転がりだしたもの。

 ??     :「もけ?」
 譲羽     :「……ぢ………」

 黒い、毛玉に似た小さな体に、真ん丸い目が二つ。
 その目が不思議そうに譲羽を見やる。
 またそれを眺める譲羽の目が、段々とまあるくなって……

 譲羽     :「ぢいっ(嬉々)」

 只でさえ、好奇心の塊のような木霊の少女は、持て余していた退屈を跳ね飛
ばす勢いで、座布団の上に立ち上がった。

 ??     :(ころんころん………)
 譲羽     :「ぢいっ」

 ぱっと手を伸ばして、ころころ転がるその何かをとっ捕まえ……ようとした
のだが。

 ??     :(ささっ)

 もかもかした見かけよりも余程すばしっこいらしく、それはさし伸ばした手
をするりとすり抜けて、譲羽の後ろに転がってしまった。

 譲羽     :「……(うらみがましーー)」

 こうなると、木霊の意地として(?)譲羽も負けてはいられない。
 くるっと向きを変えて、暫しじーーーーーっと眺めていたが。

 譲羽     :「……ぢいっ(ぴょいっ)」

 ぽぽん、と跳ね……かけた毛玉の、一歩先を読んで飛びつく。
 
 ??     :「もけっ?」

 ……捕獲、成功(苦笑)

 譲羽     :「ぢいっ(嬉々)」

 毛玉様のその何かをしっかりと抱え込み、撫でくりまわしている……
 ……と言えば多少聞こえは良いが、要するに、小さな子供が泥の玉をこねく
り回しているのと大差無い手つきである。
 相手にとっては、それはそれは迷惑な話である。

 ??     :(ばたばたばた)

 その結果、真ん丸な体の許す限り、暴れている……のだが。

 譲羽     :「ぢいぢいぢっ(暴れても平気だもん〜)」

 ……おいこら(苦笑)

 譲羽     :「ぢいぢっ(よしよしよし〜)」
 ??     :(ぢたばたぢたばた)
 譲羽     :「……ぢい(くすぐったい)」

 もぞくさ動かれて、譲羽がほんの少し手を緩めた途端、

 もけ     :「もけっ!!」

 その何かは、ぴょい、と、小さく弾んで。
 譲羽の手の蔭の中に潜り込んで消えてしまったものである。

 譲羽     :「ぢ?!」

 黄金色の目を、それこそ真ん丸にして譲羽は辺りを見回し、最後に押し入れ
をぐい、と開けた。
 ……何も、いない。

 譲羽     :「……ぢい(しょんぼり)」

 お河童の髪の先までしおしおとして、座布団の上に座り込む。
 闇ぬいは、やはりぐうぐうと眠っている。
 松蔭堂のお客さんは、まだ帰らない。

 譲羽     :「……ぢいーっ(つまんないーっ)」
 
 ぱふ、と、転がって、譲羽はぽこぽこと座布団を叩いた。


 ある日の松蔭堂の、茶の間の風景である。

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 動作指導:同僚宅の三歳の坊やでございました(爆)
 ではでは。





    

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