[KATARIBE 15418] [H06H] あなたならどうする : ふかとの遭遇〜花澄の場合

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Date: Sat, 25 Sep 1999 10:50:54 +0900
From: "E.R" <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 15418] [H06H] あなたならどうする :  ふかとの遭遇〜花澄の場合 
To: kataribe-ml@trpg.net
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99年09月25日:10時50分49秒
Sub:[H06H] あなたならどうする: ふかとの遭遇〜花澄の場合:
From:E.R


    こんにちは、E.Rです。
 
 企画ものが走ってますねー。
 というわけで、何か走ってる場合は取りあえず乗っとけ(久志さんの真似っこー)
……てなもんで。
 ……しかし、小説になってないんですけど(汗)
 (てかEPになった(汗汗))
 まずは花澄。

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ふかとの遭遇〜花澄の場合
======================

 某日、午後二時。
 瑞鶴に射し込む光は、微かに茶色がかって見える。
 入り口の猫が、気持ち良さそうに寝返りを打つ。
 常連の、白衣を着込んだ青年が、片隅で本の背表紙を丹念に眺めている。

 と。

 ??     :(ころりん)
 花澄     :「………?」 

 ねっころがった猫の丁度背中のあたり、一番陽光が集まっているあたりから。

 ??     :(ころころりん)
 花澄     :「?」

 白い、真ん丸い……手に乗るほどの、何か。
 ふわふわの白い毛玉に良く似たそれは、ころころと転がった挙げ句、ぴょい、
と立ち上がった。

 花澄     :「…………(じーーーっと見てる)」

 立ち上がった、といっても、正直どちらが上やら下やら判然としない格好を
している。それと察することが出来たのは、毛玉の真ん中より多少上に並んだ
つぶらな二つの目のせいである。
 その、二つの目を真ん丸にして、向こうも花澄をじーーーーっと眺めたもの
である。

 花澄     :「……?(小首を傾げる)」
 ??     :「ふか?(斜めに傾いている)」
 花澄     :(………真似してるのかな)

 試しに、花澄がもっとはっきりと首を傾げると、

 ??     :「ふかふか?(もっと斜めに傾いている)……ふか……
        :ふかっ?(ぽてころん)」

 ………傾きすぎて倒れたらしい。

 ??     :「ふかふかっ(ちょっと憮然)」
 花澄     :「………(笑いを噛み殺している)」
 ??     :「ふかふっかー(ちょっとむっとしている)」

 ぴょいぴょい、と、跳ねて抗議。

 花澄     :「………ごめんね(苦笑)」
 ??     :「ふかっ(こっくし)」
 
 抗議するのも全身ならば、頷くのも全身。
 どこか……誰かに似ていて。

 花澄     :(……何だかゆずみたい)

 まんまるな体一杯、それはそれは一生懸命で。
 それが愛らしくて。
 そっとレジの前を離れて、ふかふか跳ねる毛玉の前にしゃがみ込む。

 ??     :「……ふかっ(ちょっと後退)」
 花澄     :「何にもしないから……おいで」
 
 小さく呟くと、そーっと、手を出す。
 手の上に、陽光が差し込む。
 暫く、ふかふかの毛玉は、その大きな目で花澄を見上げていたが、

 ??     :「ふかっ」

 ぴょん、と弾んで、花澄の手の上に着地………する前に。

 ふっと。
 日だまりに溶けるように消えた。

 花澄     :「………あらら」

 数瞬、掌を眺める。すぐに苦笑すると、手を引っ込め、そのままレジに戻る。
 常連の青年の手が、数冊の本の背表紙の上を行きつ戻りつし、最後に一冊を
えいと抜き出す。

 美樹     :「すみません。これお願いします」
 花澄     :「はい……えーと……1200円ですね」 

 本を受け取る。
 白い布張りの表紙は、少し茶色を帯びた陽光の中で、やはり少し彩度を落と
して見えた。

 花澄     :(……何だか、先刻のふかふかの色に似てる)

 覚えず浮かんだ笑みをそっと噛み殺しながら、紙のカバーを被せ、袋に入れ
る。

 花澄     :「はい、どうぞ」
 美樹     :「有難うございます」

 入り口の猫が、ふがあ、と、一つ欠伸をして身を伸ばす。
 何ということのない、秋の午後である。

**********************************************

 てなもんで。
 美樹さんには取りあえず、気がつかないままにいてもらいました(笑)

 ではでは。




    

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