Goto (kataribe-ml ML) HTML Log homepage
Date: Sat, 25 Sep 1999 10:50:54 +0900
From: "E.R" <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 15418] [H06H] あなたならどうする : ふかとの遭遇〜花澄の場合
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <199909250150.KAA32734@www.mahoroba.ne.jp>
In-Reply-To: <199909221925.EAA29584@ns.cre.ne.jp>
References: <199909221925.EAA29584@ns.cre.ne.jp>
X-Mail-Count: 15418
99年09月25日:10時50分49秒
Sub:[H06H] あなたならどうする: ふかとの遭遇〜花澄の場合:
From:E.R
こんにちは、E.Rです。
企画ものが走ってますねー。
というわけで、何か走ってる場合は取りあえず乗っとけ(久志さんの真似っこー)
……てなもんで。
……しかし、小説になってないんですけど(汗)
(てかEPになった(汗汗))
まずは花澄。
**************************************
ふかとの遭遇〜花澄の場合
======================
某日、午後二時。
瑞鶴に射し込む光は、微かに茶色がかって見える。
入り口の猫が、気持ち良さそうに寝返りを打つ。
常連の、白衣を着込んだ青年が、片隅で本の背表紙を丹念に眺めている。
と。
?? :(ころりん)
花澄 :「………?」
ねっころがった猫の丁度背中のあたり、一番陽光が集まっているあたりから。
?? :(ころころりん)
花澄 :「?」
白い、真ん丸い……手に乗るほどの、何か。
ふわふわの白い毛玉に良く似たそれは、ころころと転がった挙げ句、ぴょい、
と立ち上がった。
花澄 :「…………(じーーーっと見てる)」
立ち上がった、といっても、正直どちらが上やら下やら判然としない格好を
している。それと察することが出来たのは、毛玉の真ん中より多少上に並んだ
つぶらな二つの目のせいである。
その、二つの目を真ん丸にして、向こうも花澄をじーーーーっと眺めたもの
である。
花澄 :「……?(小首を傾げる)」
?? :「ふか?(斜めに傾いている)」
花澄 :(………真似してるのかな)
試しに、花澄がもっとはっきりと首を傾げると、
?? :「ふかふか?(もっと斜めに傾いている)……ふか……
:ふかっ?(ぽてころん)」
………傾きすぎて倒れたらしい。
?? :「ふかふかっ(ちょっと憮然)」
花澄 :「………(笑いを噛み殺している)」
?? :「ふかふっかー(ちょっとむっとしている)」
ぴょいぴょい、と、跳ねて抗議。
花澄 :「………ごめんね(苦笑)」
?? :「ふかっ(こっくし)」
抗議するのも全身ならば、頷くのも全身。
どこか……誰かに似ていて。
花澄 :(……何だかゆずみたい)
まんまるな体一杯、それはそれは一生懸命で。
それが愛らしくて。
そっとレジの前を離れて、ふかふか跳ねる毛玉の前にしゃがみ込む。
?? :「……ふかっ(ちょっと後退)」
花澄 :「何にもしないから……おいで」
小さく呟くと、そーっと、手を出す。
手の上に、陽光が差し込む。
暫く、ふかふかの毛玉は、その大きな目で花澄を見上げていたが、
?? :「ふかっ」
ぴょん、と弾んで、花澄の手の上に着地………する前に。
ふっと。
日だまりに溶けるように消えた。
花澄 :「………あらら」
数瞬、掌を眺める。すぐに苦笑すると、手を引っ込め、そのままレジに戻る。
常連の青年の手が、数冊の本の背表紙の上を行きつ戻りつし、最後に一冊を
えいと抜き出す。
美樹 :「すみません。これお願いします」
花澄 :「はい……えーと……1200円ですね」
本を受け取る。
白い布張りの表紙は、少し茶色を帯びた陽光の中で、やはり少し彩度を落と
して見えた。
花澄 :(……何だか、先刻のふかふかの色に似てる)
覚えず浮かんだ笑みをそっと噛み殺しながら、紙のカバーを被せ、袋に入れ
る。
花澄 :「はい、どうぞ」
美樹 :「有難うございます」
入り口の猫が、ふがあ、と、一つ欠伸をして身を伸ばす。
何ということのない、秋の午後である。
**********************************************
てなもんで。
美樹さんには取りあえず、気がつかないままにいてもらいました(笑)
ではでは。