[KATARIBE 15168] [HA06P] EP 『筒抜け』『夕餉の図』『やっぱり筒抜け』完成版

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Date: Tue, 31 Aug 1999 23:55:00 +0900
From: Takuji HOTTA <gombe@osk3.3web.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 15168] [HA06P] EP 『筒抜け』『夕餉の図』『やっぱり筒抜け』完成版
To: kataribe-ml@trpg.net
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 ごんべです。

 E.Rさん及び久志さんからの預かりもので、「情報漏洩」関連エピソードと
呼ばれた(笑)『筒抜け』『夕餉の図』『やっぱり筒抜け』の完成版を作りまし
たので、アップします。
 実は「吹利史」関連エピソードであったことが最近判明しました(笑)。一応、
春先からの「吹利史」関連(祐司及び瑞鶴関連)のエピソードは、これで一旦
終了する形になります。


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エピソード『筒抜け』
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本文
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 某日、瑞鶴。
 明るい音と共に、硝子戸が開く。
 入り口の猫がよいせ、と立ちあがる。

 花澄     :「いらっしゃいませ……ってあら(笑)」
 フラナ    :「お久しぶりっ(にぱっ)」

 相変わらずの笑顔に、花澄もやはり笑顔で応じる。

 花澄     :「ほんとに……大学合格、おめでとうございます
        :(にこにこ)」
 フラナ    :「ありがとーございますっ(ぺこっ)」

 そういえば、と店長が少し驚いたようにフラナを見る。
 フラナのほうは……気がついていない。

 花澄     :「それでフラナ君、今、家から通ってるの?」
 フラナ    :「大学?ううん、アパートに一人暮しだよっ」
 花澄     :「…………え?(途端に心配顔)」

 一十。狭淵美樹。八神敦。
 食糧難を如実に表す人々が、男子大学生一人暮し組に多すぎるのである。

 花澄     :「フラナ君」
 フラナ    :「なに?」
 花澄     :「あのね、御飯に困ったらいつでも来てね。こちら10時
        :までお店開いてるからその後かも知れないけど……でも
        :必ず何かご馳走するから(真剣っ)」
 フラナ    :「うんっ。花澄さんありがとう(にこっ)」

 店長     :「それで……富良名君はどこの大学だったっけ」
 フラナ    :「紅雀院大学文学部!」
 店長     :「へえ……で、その中の?」
 フラナ    :「国史学科」
 花澄     :「面白そうね……授業はどう?」
 フラナ    :「面白いよ。でも、一時限からあるとやっぱり眠いなー」
 花澄     :「それは寝たら駄目よ。先生だって眠いの我慢してるんだ
        :から(まじ)」
 フラナ    :「うん。それに一時限の授業面白いし(^^)」
 花澄     :「どんな?近代史か何か?」
 フラナ    :「ううん、堀川先生の考古学」
 花澄     :「……え?堀川?」
 フラナ    :「堀川……えと、祐司先生。まだ若い先生だよっ」

 ホリカワユウジ……堀川祐司。
 漢字変換はごく容易だった。

 音による記憶力はろくでもないのだが、一旦活字と化した情報についての
記憶能力は並み以上をゆく。
 本の予約をする際に書いてもらった名前は、そうそう忘れるものではない。
 まして、本が本である。
 すっと視線を店長に移すと、向こうも気がついていたらしく、微かに眉を
動かした。

 花澄     :「若い……どんな人?」
 フラナ    :「背の高い人っ」

 ……ちょっと……比較対象に難があるかもしれない。

 花澄     :「考古学、で国史……ねえ……面白い授業、なんだよね?
        :(にこ)」
 フラナ    :「うんっ」
 花澄     :「じゃ……ね、フラナ君。夕飯うちで食べるときにでも、
        :その授業の話、してくれる?」
 フラナ    :「うん、勿論!」

 悪党、と、店長の口元が動く。
 かろく無視して花澄はにこにこと笑う。
 猫が欠伸をして、背中を伸ばした。


登場人物
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 富良名 裕也 (ふらな・ゆうや)
   :通称フラナ。
   :大学に入学したが、どう見ても小中学生にしか見えない。
 平塚 花澄 (ひらつか・かすみ)
   :四大の力を従え「春の結界」を身にまとう女性。
   :書店「瑞鶴」の店番にして欠食児童達の守護者、でもある。
 堀川 祐司 (ほりかわ・ゆうじ)
   :静電気を操る、生きた電源装置。
   :紅雀院大学の考古学教室に助手で勤務。


解説
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 フラナを中心に、花澄、祐司、それぞれが顔見知りであることによる「情報
漏洩」(笑)のヒトコマを描写したエピソードです。(^_^;
 フラナにまつわる「情報漏洩」シリーズの第1弾でもあります。

 時期としては、『そして始まりの春』より一ヶ月ほど後、フラナ君が大学や
風見アパートに、それなりに馴染んだ頃だそうです。
 (『夕餉の図』は、大体同時期の少し後の出来事です)

 『「吹利史」』『そして始まりの春 '99』『到着!風見アパート』も、参照
して下さい。

(解説・文責:ごんべ)


 初出: 1999/5/24 "[KATARIBE 13039] [HA06][EP] 「筒抜け」"
 作者: E.R


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エピソード『夕餉の図』
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本文
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 某日、結構夜遅く。
 花澄の部屋から、この時刻複数の声が聞こえてくるというのも珍しいもので。

 フラナ    :「うん、いい先生だよ。この前僕、クッキーもらった」
 花澄     :「…………(^^;)」

 いや、いい先生ということに反対するものでは、花澄もないのだが。

 花澄     :(こー……先生の良し悪しってやっぱり授業に依ると思う
        :んだけど(悩))

 うちに夕御飯食べに来る時にでも、授業の様子を教えてね、と言った……筈
なのだが。

 曰く、上着のボタンが取れかけてて、黒板に書くたびに揺れていた。
 曰く、準備室に本が山積みで、漫画も結構混ざっている。
 曰く、寝坊したみたいで、後頭部の髪が突っ立っていた。

 花澄     :(……(悩))
 フラナ    :「花澄さん?」
 花澄     :「あっと…(汗)…フラナ君、まだ白和え食べる?」
 フラナ    :「んーっと、こっちの鯖団子食べたいなっ」
 花澄     :「了解(笑)少し待ってね……と、御飯は?」
 フラナ    :「下さいっ」

 どんどん減ってゆく食卓の様子を、譲羽が重ねた座布団の上から眺めている。

 フラナ    :「そーいえば」
 花澄     :「え?」
 フラナ    :「堀川せんせーってねー、すっごく静電気体質なんだよ〜」
 花澄     :「へえ?」
 フラナ    :「こないだなんかセンセーがもってたノートパソコンが火
        :吹いてたもん(笑)」
 花澄     :「……は?」
 譲羽     :「……ぢ?」

 危うく焦げかけた団子を、天ぷら油から救出して。

 花澄     :「火を、吹いた?」
 フラナ    :「そんでもってね、センセーの机ちょっと焦げちゃったん
        :だよ〜(^^)」

 そも大体、『すっごく静電気体質』であるにしろ、ノートパソコンが火を吹
くような事態が起こり得るのかどうか。
 …………疑問まったくナシ、状態での発言である。

 花澄     :「……それは相当凄かったでしょう(汗)」

 ふと、連想する。
 店長の机の上に所在なげに置かれたままの、表紙の焦げた本。

 花澄        :(まさかその関連で、あの本焦げてた……わけでもないか
        :(汗)) 

 揚げたての鯖の団子をお皿に並べて。

 花澄     :「静電気でって……それは少し怖いなあ(苦笑)」
 フラナ    :「うん、でもピカピカ光って奇麗だったよ(にこにこ)」
 譲羽     :「…………(想像している)……ぢいぢいぢいっ(ゆずも
        :見たかったっ)」
 花澄     :「……そーじゃなくって(汗)」

 ……そーくるか(苦笑)

 花澄     :「綺麗かもしれないけど……先生のほうは災難ね(苦笑)」
 フラナ    :「うん、センセーすっごくがっかりしてたよ。画面焦げて
        :たし」
 花澄     :「…………(^^;)(堀川さんもお気の毒に)」
 フラナ    :「(はむっ)……あちっ」
 花澄     :「あ(汗)気をつけて……って、遅かったわね(苦笑)
        :大丈夫?」
 フラナ    :「うん……」
 花澄     :「お水、持ってくるから」

 そんな風な時間は、そう長くはない。

 フラナ    :「ご馳走さまでしたっ(にこにこ)」
 花澄     :「どう致しまして(笑)……フラナ君だと、作り甲斐が
        :あるものね」

 小さな一室の、玄関を開けてやりながら。

 花澄     :「ね、フラナ君。今度の土曜日、私少し早めに仕事終わる
        :んだけど、その後にフラナ君のアパート行ったら、駄目?」
 フラナ    :「土曜……うん、いいよっ(にぱっ)」
 花澄     :「その時には、私、道具持ってご飯作りに行くから……ね、
        :佐古田君もいるんでしょ?一緒にご飯にしない?」
 フラナ    :「うん!」
 花澄     :「……って、台所、ある?」
 フラナ    :「えーとね、共同のガス台があって……お金入れると
        :動くよ」
 花澄     :「成程……了解(笑)なら、作れるわね」
 フラナ    :「うん……わぁ、楽しみだなっ」
 譲羽     :「ぢいっ(ゆずも行くのっ)」
 フラナ    :「うん、ゆずちゃんも来てね(にこにこ)」
 譲羽     :「ぢいっ(こっくし)」
 花澄     :「じゃ……えーと、六時半くらいに瑞鶴に来てもらえます?
        :一緒に買い物して ……で、風見アパートにつれてって
        :もらえる?(汗)」

 方向音痴は健在である。

 フラナ    :「うん、大丈夫。……じゃ、今日はご馳走さまでした(^^)」
 花澄     :「どういたしまして(にこにこ)」


登場人物
--------

 富良名 裕也 (ふらな・ゆうや)
   :通称フラナ。
   :大学に入学したが、どう見ても小中学生にしか見えない。
 平塚 花澄 (ひらつか・かすみ)
   :四大の力を従え「春の結界」を身にまとう女性。
   :書店「瑞鶴」の店番にして欠食児童達の守護者、でもある。
 堀川 祐司 (ほりかわ・ゆうじ)
   :静電気を操る、生きた電源装置。
   :紅雀院大学の考古学教室に助手で勤務。


解説
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 フラナを中心に、花澄、祐司、それぞれが顔見知りであることによる「情報
漏洩」シリーズの第2弾です。(^_^;

 時期としては、「そして始まりの春」より一ヶ月ほど後、フラナ君が大学や
風見アパートに、それなりに馴染んだ頃だそうです。
 (『筒抜け』も、大体同時期です)

 初出: 1999/5/28 "[KATARIBE 13091] [HA06][EP] 「夕餉の図」"
 作者: E.R

(解説・文責:ごんべ)


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エピソード『やっぱり筒抜け』
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本文
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 月曜日、紅雀院大学。
 昼過ぎ、今日の授業も終わり堀川祐司は研究室でコーヒーを飲みつつ、古び
た分厚い本やコピー紙の積まれた山に囲まれていた。

 祐司     :「(ぺら)ふむ…(ずず)」

 探している本。未だ連絡はない。

 祐司     :「隠匿された歴史か……(ぱたん)」

 『吹利史』未だに見つかったという連絡はこない。

 フラナ    :「堀川せーんせ、こんにちはぁっ(^^)」
 祐司     :「おや、フラナくん」

 研究室のドアを開けて賑やかに現れたのは、外見中学生くらいの元気な学生、
講義に毎回顔を出している富良名裕也だった。机に山積みになった本を見て丸
い目をしばたたかせる。

 フラナ    :「あれ、センセまた探し物してるの?」
 祐司     :「ああ…(本の山を見る)文献が足りなくてね、そうだ
        :一息入れるからフラナくんもおやつでも食べていくかい?」
 フラナ    :「うん!食べる食べる〜〜(^0^)」

 とことん遠慮という言葉を知らない奴である。

 祐司     :「じゃ、コーヒーも入れるからそこ座ってて(そろそろ
        :フラナくん用のカップを用意した方がいいかもなぁ…)」
 フラナ    :「はーい(^^)」

 もらい物のチョコチップクッキーをほおばり、猫舌用にすこしミルクを多め
に入れたコーヒーを飲む。

 フラナ    :「(ごっくん)センセ、本探してるの?」
 祐司     :「ああ、なかなか見つからなくてね、あちこちの本屋を
        :覗いてみたんだけど」
 フラナ    :「花澄さんとこも?」
 祐司     :「花澄さん?」

 個人名じゃわからないだろうが(汗)

 フラナ    :「えっとね瑞鶴って本屋さん。花澄さんはいつも店番して
        :る人(^^)」
 祐司     :「ああ……あの人か」
 フラナ    :「うん、花澄さんねぇ、お料理上手なんだよ。僕いっつも
        :夕ご飯食べさせてもらってるんだ(^^)それからね、花澄さ
        :んとこにはいっぱいぬいぐるみさんがいて…」
 祐司     :「えーと(汗)」

 えんえんと…説明が続く。
 夕食をごちそうになってること、いつも遊びにいってること、ぬいぐるみが
いっぱいあるということ、一通り、話を聞いてやっと口を開く。

 祐司     :「じゃあ、フラナくん。もし本が入るかもしれないって話
        :を聞いたら、僕に教えてくれないかな?」
 フラナ    :「うん、いいよ(^^)」

 あっちに筒抜けなら、こっちも筒抜け…

 祐司     :「フラナくん、もう一杯コーヒー飲むかい?」
 フラナ    :「うん、ちょーだいっ」


登場人物
--------

 富良名 裕也 (ふらな・ゆうや)
   :通称フラナ。
   :大学に入学したが、どう見ても小中学生にしか見えない。
 堀川 祐司 (ほりかわ・ゆうじ)
   :静電気を操る、生きた電源装置。
   :紅雀院大学の考古学教室に助手で勤務。
 平塚 花澄 (ひらつか・かすみ)
   :四大の力を従え「春の結界」を身にまとう女性。
   :書店「瑞鶴」の店番にして欠食児童達の守護者、でもある。


解説
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 フラナを中心に、花澄、祐司、それぞれが顔見知りであることによる「情報
漏洩」シリーズの第3弾です。(^_^;

 「うふふふ、花澄さんに堀川さんのことが筒抜けならば…堀川さんにも花澄
さんのことは『当然』筒抜けです(爆) 当のフラナに悪意は『まったく』な
いです(笑)」(久志さん談、[KATARIBE 13185])
……だそうです(笑)。

 時期としては『筒抜け』『夕餉の図』の後に来ます。

(解説・文責:ごんべ)


 初出: 1999/6/2 "[KATARIBE 13185] [HA06]EP: 『やっぱり筒抜け』"
 作者: 久志


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 以上です。

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堀田 拓司 (ごんべ)  gombe@osk3.3web.ne.jp
http://www2.osk.3web.ne.jp/~gombe/TRPG/BOUKEN/
    

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