Goto (kataribe-ml ML) HTML Log homepage
Date: Tue, 31 Aug 1999 23:55:00 +0900
From: Takuji HOTTA <gombe@osk3.3web.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 15168] [HA06P] EP 『筒抜け』『夕餉の図』『やっぱり筒抜け』完成版
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <9908311455.AA00304@gombe.osk3.3web.ne.jp>
X-Mail-Count: 15168
ごんべです。
E.Rさん及び久志さんからの預かりもので、「情報漏洩」関連エピソードと
呼ばれた(笑)『筒抜け』『夕餉の図』『やっぱり筒抜け』の完成版を作りまし
たので、アップします。
実は「吹利史」関連エピソードであったことが最近判明しました(笑)。一応、
春先からの「吹利史」関連(祐司及び瑞鶴関連)のエピソードは、これで一旦
終了する形になります。
**********************************************************************
エピソード『筒抜け』
====================
本文
----
某日、瑞鶴。
明るい音と共に、硝子戸が開く。
入り口の猫がよいせ、と立ちあがる。
花澄 :「いらっしゃいませ……ってあら(笑)」
フラナ :「お久しぶりっ(にぱっ)」
相変わらずの笑顔に、花澄もやはり笑顔で応じる。
花澄 :「ほんとに……大学合格、おめでとうございます
:(にこにこ)」
フラナ :「ありがとーございますっ(ぺこっ)」
そういえば、と店長が少し驚いたようにフラナを見る。
フラナのほうは……気がついていない。
花澄 :「それでフラナ君、今、家から通ってるの?」
フラナ :「大学?ううん、アパートに一人暮しだよっ」
花澄 :「…………え?(途端に心配顔)」
一十。狭淵美樹。八神敦。
食糧難を如実に表す人々が、男子大学生一人暮し組に多すぎるのである。
花澄 :「フラナ君」
フラナ :「なに?」
花澄 :「あのね、御飯に困ったらいつでも来てね。こちら10時
:までお店開いてるからその後かも知れないけど……でも
:必ず何かご馳走するから(真剣っ)」
フラナ :「うんっ。花澄さんありがとう(にこっ)」
店長 :「それで……富良名君はどこの大学だったっけ」
フラナ :「紅雀院大学文学部!」
店長 :「へえ……で、その中の?」
フラナ :「国史学科」
花澄 :「面白そうね……授業はどう?」
フラナ :「面白いよ。でも、一時限からあるとやっぱり眠いなー」
花澄 :「それは寝たら駄目よ。先生だって眠いの我慢してるんだ
:から(まじ)」
フラナ :「うん。それに一時限の授業面白いし(^^)」
花澄 :「どんな?近代史か何か?」
フラナ :「ううん、堀川先生の考古学」
花澄 :「……え?堀川?」
フラナ :「堀川……えと、祐司先生。まだ若い先生だよっ」
ホリカワユウジ……堀川祐司。
漢字変換はごく容易だった。
音による記憶力はろくでもないのだが、一旦活字と化した情報についての
記憶能力は並み以上をゆく。
本の予約をする際に書いてもらった名前は、そうそう忘れるものではない。
まして、本が本である。
すっと視線を店長に移すと、向こうも気がついていたらしく、微かに眉を
動かした。
花澄 :「若い……どんな人?」
フラナ :「背の高い人っ」
……ちょっと……比較対象に難があるかもしれない。
花澄 :「考古学、で国史……ねえ……面白い授業、なんだよね?
:(にこ)」
フラナ :「うんっ」
花澄 :「じゃ……ね、フラナ君。夕飯うちで食べるときにでも、
:その授業の話、してくれる?」
フラナ :「うん、勿論!」
悪党、と、店長の口元が動く。
かろく無視して花澄はにこにこと笑う。
猫が欠伸をして、背中を伸ばした。
登場人物
--------
富良名 裕也 (ふらな・ゆうや)
:通称フラナ。
:大学に入学したが、どう見ても小中学生にしか見えない。
平塚 花澄 (ひらつか・かすみ)
:四大の力を従え「春の結界」を身にまとう女性。
:書店「瑞鶴」の店番にして欠食児童達の守護者、でもある。
堀川 祐司 (ほりかわ・ゆうじ)
:静電気を操る、生きた電源装置。
:紅雀院大学の考古学教室に助手で勤務。
解説
----
フラナを中心に、花澄、祐司、それぞれが顔見知りであることによる「情報
漏洩」(笑)のヒトコマを描写したエピソードです。(^_^;
フラナにまつわる「情報漏洩」シリーズの第1弾でもあります。
時期としては、『そして始まりの春』より一ヶ月ほど後、フラナ君が大学や
風見アパートに、それなりに馴染んだ頃だそうです。
(『夕餉の図』は、大体同時期の少し後の出来事です)
『「吹利史」』『そして始まりの春 '99』『到着!風見アパート』も、参照
して下さい。
(解説・文責:ごんべ)
初出: 1999/5/24 "[KATARIBE 13039] [HA06][EP] 「筒抜け」"
作者: E.R
$$
**********************************************************************
**********************************************************************
エピソード『夕餉の図』
======================
本文
----
某日、結構夜遅く。
花澄の部屋から、この時刻複数の声が聞こえてくるというのも珍しいもので。
フラナ :「うん、いい先生だよ。この前僕、クッキーもらった」
花澄 :「…………(^^;)」
いや、いい先生ということに反対するものでは、花澄もないのだが。
花澄 :(こー……先生の良し悪しってやっぱり授業に依ると思う
:んだけど(悩))
うちに夕御飯食べに来る時にでも、授業の様子を教えてね、と言った……筈
なのだが。
曰く、上着のボタンが取れかけてて、黒板に書くたびに揺れていた。
曰く、準備室に本が山積みで、漫画も結構混ざっている。
曰く、寝坊したみたいで、後頭部の髪が突っ立っていた。
花澄 :(……(悩))
フラナ :「花澄さん?」
花澄 :「あっと…(汗)…フラナ君、まだ白和え食べる?」
フラナ :「んーっと、こっちの鯖団子食べたいなっ」
花澄 :「了解(笑)少し待ってね……と、御飯は?」
フラナ :「下さいっ」
どんどん減ってゆく食卓の様子を、譲羽が重ねた座布団の上から眺めている。
フラナ :「そーいえば」
花澄 :「え?」
フラナ :「堀川せんせーってねー、すっごく静電気体質なんだよ〜」
花澄 :「へえ?」
フラナ :「こないだなんかセンセーがもってたノートパソコンが火
:吹いてたもん(笑)」
花澄 :「……は?」
譲羽 :「……ぢ?」
危うく焦げかけた団子を、天ぷら油から救出して。
花澄 :「火を、吹いた?」
フラナ :「そんでもってね、センセーの机ちょっと焦げちゃったん
:だよ〜(^^)」
そも大体、『すっごく静電気体質』であるにしろ、ノートパソコンが火を吹
くような事態が起こり得るのかどうか。
…………疑問まったくナシ、状態での発言である。
花澄 :「……それは相当凄かったでしょう(汗)」
ふと、連想する。
店長の机の上に所在なげに置かれたままの、表紙の焦げた本。
花澄 :(まさかその関連で、あの本焦げてた……わけでもないか
:(汗))
揚げたての鯖の団子をお皿に並べて。
花澄 :「静電気でって……それは少し怖いなあ(苦笑)」
フラナ :「うん、でもピカピカ光って奇麗だったよ(にこにこ)」
譲羽 :「…………(想像している)……ぢいぢいぢいっ(ゆずも
:見たかったっ)」
花澄 :「……そーじゃなくって(汗)」
……そーくるか(苦笑)
花澄 :「綺麗かもしれないけど……先生のほうは災難ね(苦笑)」
フラナ :「うん、センセーすっごくがっかりしてたよ。画面焦げて
:たし」
花澄 :「…………(^^;)(堀川さんもお気の毒に)」
フラナ :「(はむっ)……あちっ」
花澄 :「あ(汗)気をつけて……って、遅かったわね(苦笑)
:大丈夫?」
フラナ :「うん……」
花澄 :「お水、持ってくるから」
そんな風な時間は、そう長くはない。
フラナ :「ご馳走さまでしたっ(にこにこ)」
花澄 :「どう致しまして(笑)……フラナ君だと、作り甲斐が
:あるものね」
小さな一室の、玄関を開けてやりながら。
花澄 :「ね、フラナ君。今度の土曜日、私少し早めに仕事終わる
:んだけど、その後にフラナ君のアパート行ったら、駄目?」
フラナ :「土曜……うん、いいよっ(にぱっ)」
花澄 :「その時には、私、道具持ってご飯作りに行くから……ね、
:佐古田君もいるんでしょ?一緒にご飯にしない?」
フラナ :「うん!」
花澄 :「……って、台所、ある?」
フラナ :「えーとね、共同のガス台があって……お金入れると
:動くよ」
花澄 :「成程……了解(笑)なら、作れるわね」
フラナ :「うん……わぁ、楽しみだなっ」
譲羽 :「ぢいっ(ゆずも行くのっ)」
フラナ :「うん、ゆずちゃんも来てね(にこにこ)」
譲羽 :「ぢいっ(こっくし)」
花澄 :「じゃ……えーと、六時半くらいに瑞鶴に来てもらえます?
:一緒に買い物して ……で、風見アパートにつれてって
:もらえる?(汗)」
方向音痴は健在である。
フラナ :「うん、大丈夫。……じゃ、今日はご馳走さまでした(^^)」
花澄 :「どういたしまして(にこにこ)」
登場人物
--------
富良名 裕也 (ふらな・ゆうや)
:通称フラナ。
:大学に入学したが、どう見ても小中学生にしか見えない。
平塚 花澄 (ひらつか・かすみ)
:四大の力を従え「春の結界」を身にまとう女性。
:書店「瑞鶴」の店番にして欠食児童達の守護者、でもある。
堀川 祐司 (ほりかわ・ゆうじ)
:静電気を操る、生きた電源装置。
:紅雀院大学の考古学教室に助手で勤務。
解説
----
フラナを中心に、花澄、祐司、それぞれが顔見知りであることによる「情報
漏洩」シリーズの第2弾です。(^_^;
時期としては、「そして始まりの春」より一ヶ月ほど後、フラナ君が大学や
風見アパートに、それなりに馴染んだ頃だそうです。
(『筒抜け』も、大体同時期です)
初出: 1999/5/28 "[KATARIBE 13091] [HA06][EP] 「夕餉の図」"
作者: E.R
(解説・文責:ごんべ)
$$
**********************************************************************
**********************************************************************
エピソード『やっぱり筒抜け』
============================
本文
----
月曜日、紅雀院大学。
昼過ぎ、今日の授業も終わり堀川祐司は研究室でコーヒーを飲みつつ、古び
た分厚い本やコピー紙の積まれた山に囲まれていた。
祐司 :「(ぺら)ふむ…(ずず)」
探している本。未だ連絡はない。
祐司 :「隠匿された歴史か……(ぱたん)」
『吹利史』未だに見つかったという連絡はこない。
フラナ :「堀川せーんせ、こんにちはぁっ(^^)」
祐司 :「おや、フラナくん」
研究室のドアを開けて賑やかに現れたのは、外見中学生くらいの元気な学生、
講義に毎回顔を出している富良名裕也だった。机に山積みになった本を見て丸
い目をしばたたかせる。
フラナ :「あれ、センセまた探し物してるの?」
祐司 :「ああ…(本の山を見る)文献が足りなくてね、そうだ
:一息入れるからフラナくんもおやつでも食べていくかい?」
フラナ :「うん!食べる食べる〜〜(^0^)」
とことん遠慮という言葉を知らない奴である。
祐司 :「じゃ、コーヒーも入れるからそこ座ってて(そろそろ
:フラナくん用のカップを用意した方がいいかもなぁ…)」
フラナ :「はーい(^^)」
もらい物のチョコチップクッキーをほおばり、猫舌用にすこしミルクを多め
に入れたコーヒーを飲む。
フラナ :「(ごっくん)センセ、本探してるの?」
祐司 :「ああ、なかなか見つからなくてね、あちこちの本屋を
:覗いてみたんだけど」
フラナ :「花澄さんとこも?」
祐司 :「花澄さん?」
個人名じゃわからないだろうが(汗)
フラナ :「えっとね瑞鶴って本屋さん。花澄さんはいつも店番して
:る人(^^)」
祐司 :「ああ……あの人か」
フラナ :「うん、花澄さんねぇ、お料理上手なんだよ。僕いっつも
:夕ご飯食べさせてもらってるんだ(^^)それからね、花澄さ
:んとこにはいっぱいぬいぐるみさんがいて…」
祐司 :「えーと(汗)」
えんえんと…説明が続く。
夕食をごちそうになってること、いつも遊びにいってること、ぬいぐるみが
いっぱいあるということ、一通り、話を聞いてやっと口を開く。
祐司 :「じゃあ、フラナくん。もし本が入るかもしれないって話
:を聞いたら、僕に教えてくれないかな?」
フラナ :「うん、いいよ(^^)」
あっちに筒抜けなら、こっちも筒抜け…
祐司 :「フラナくん、もう一杯コーヒー飲むかい?」
フラナ :「うん、ちょーだいっ」
登場人物
--------
富良名 裕也 (ふらな・ゆうや)
:通称フラナ。
:大学に入学したが、どう見ても小中学生にしか見えない。
堀川 祐司 (ほりかわ・ゆうじ)
:静電気を操る、生きた電源装置。
:紅雀院大学の考古学教室に助手で勤務。
平塚 花澄 (ひらつか・かすみ)
:四大の力を従え「春の結界」を身にまとう女性。
:書店「瑞鶴」の店番にして欠食児童達の守護者、でもある。
解説
----
フラナを中心に、花澄、祐司、それぞれが顔見知りであることによる「情報
漏洩」シリーズの第3弾です。(^_^;
「うふふふ、花澄さんに堀川さんのことが筒抜けならば…堀川さんにも花澄
さんのことは『当然』筒抜けです(爆) 当のフラナに悪意は『まったく』な
いです(笑)」(久志さん談、[KATARIBE 13185])
……だそうです(笑)。
時期としては『筒抜け』『夕餉の図』の後に来ます。
(解説・文責:ごんべ)
初出: 1999/6/2 "[KATARIBE 13185] [HA06]EP: 『やっぱり筒抜け』"
作者: 久志
$$
**********************************************************************
以上です。
========================================================
堀田 拓司 (ごんべ) gombe@osk3.3web.ne.jp
http://www2.osk.3web.ne.jp/~gombe/TRPG/BOUKEN/