[KATARIBE 15114] [WP01P] 『決心』完成版

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Date: Mon, 30 Aug 1999 02:49:48 +0900
From: Takuji HOTTA <gombe@osk3.3web.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 15114] [WP01P] 『決心』完成版
To: kataribe-ml@trpg.net
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In-Reply-To: <37C2AA102E4.AACFSO_DO@mail.trpg.net>
X-Mail-Count: 15114

 ごんべです。
 ソードさん、チェックをありがとうございます。


>>[WP01P] 『決心』
>エピソード 『決心』

 あれ、コードヘッダをつけるのはMLだけでしたっけ。

 あ、あと、「*」を70個並べるのはエピソード全体の前後なのか本文の前後
なのか、とかも実はよく解らなかったり。
 ご迷惑をおかけします。m(_ _)m


 と言うことで、とりあえず直したものですが、完成版として流します。
 かけるさんとgallowsさんの確認はいただいていませんが、わずかな部分のみ
ですし、見切り発車と言うことで。m(_ _;)m


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エピソード 『決心』
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初体験
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 灼熱の昼下がり、東京・新宿、喫茶「月影」。

 SE     :カラカラン ……カラン。

 何やら控えめなドアベルの音。

 優      :「いらっしゃいませ。……あ、こんにちは」
 鞍馬     :「こんにちは」

 照れくさそうに、おそるおそる入ってくる鞍馬。

 直人     :「いらっしゃい、鞍馬君。珍しいですね、一人で」
 鞍馬     :「ちょっと買い物があるから、新宿に」
 直人     :「なるほど」

 カウンター席に着く鞍馬。
 こうして見ると、普通の小学生である。

 直人     :「ご注文は、何にしましょうか?」
 鞍馬     :「えっ…と………………何がありますか?(汗)」
 直人     :「何でも……(はっ)」
        :(身を乗り出して)
        :「もしかして、喫茶店で自分から注文をした事が無い?」
 鞍馬     :「……」(赤くなって頷く)
 直人     :「でも、うちは初めてじゃないですよね?」
 鞍馬     :「前は珠希ちゃんとかがいたから……」
 直人     :「ああ、そうか。じゃあ、うちの特製アイスコーヒーにす
        :るけど、それで良いですか?」
 鞍馬     :「お願いします」
 直人     :「鞍馬君の記念すべき初注文という事で、サービスにして
        :おきますよ」
 鞍馬     :「え?(きょとん)」
 直人     :「(苦笑)……無料、ってことです」
 鞍馬     :「いいんですか?!」
 直人     :「もちろん」
 鞍馬     :「……ありがとう」(上目遣いににっこり)


決心
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 暫し、くつろぎの時。

 直人     :「お待たせしました」
 鞍馬     :「ありがとう。……ねぇ、直人さん」
 直人     :「何ですか?」
 鞍馬     :「……珠希ちゃん、まだ来ないんですね」
 直人     :「……そうですね」

 シロップやミルクを傍らに置きながら、ほうっ、と息をつく直人。

 直人     :「まだ意識が戻らないんです」
 鞍馬     :「そうなんだ……」
 直人     :「身体の傷は、皆の力も使ってある程度まで回復したので
        :すがね……なぜか、意識だけは戻らないのです」
 鞍馬     :「……相手が、何かした……?」
 直人     :「それは分かりません。コクシチョウではないようですが
        :……。ただ、有希さんの話によると、相手は珠希さんの
        :『対』だった様ですね」
 鞍馬     :「……」

 沈黙が訪れる。
 次に口を開いたのは、鞍馬だった。

 鞍馬     :「直人さん。もし……」
 直人     :「?」

 鞍馬はポケットに手を突っ込む。
 取り出したのは……一枚のバンダナ。

 鞍馬     :「……もし、ある人が『結界』を張ったときに、このバン
        :ダナを着けていたら……僕と同じバンダナを着けていたら。
        :その人は……ぼくの『対』なのかな?」
 直人     :「確証は持てませんが……その可能性は高いでしょう」
 鞍馬     :「…………」
 直人     :「……心当たりが……あるんですね?」

 沈黙をもって答える鞍馬。一息で、残りのアイスコーヒーを飲み干す。

 鞍馬     :「ごちそうさまでした」(早々にカウンター席を下りよう
        :とする)
 直人     :「まだ、ゆっくりしていって良いですよ。今の時間はお客
        :は少ないですから」
 鞍馬     :「いえ、もう行きます。買い物がいっぱいあるし……。そ
        :れに、しばらく旅行に行くから、当分来れないと思います」
 直人     :「旅行ですか……どこへ?」
 鞍馬     :「わかりません。長くなると思います。……捜している
        :ものが、見つかるまでだから」
 直人     :「そうですか……できるだけ早く見つかる事を、僕も祈っ
        :ています。何かあったら、連絡を下さいね」
 鞍馬     :「はい。ありがとう……それじゃ」

 SE     :カラカラン

 直人     :「……気をつけて、鞍馬君」

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登場人物
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岡崎鞍馬(おかざき・くらま)
    生まれながらに無敵の肉体を持つ小学生。放浪癖があり不登校気味。
    バンダナを『鍵』とし、特に大事としているバンダナが一枚ある。
月島直人(つきしま・なおと)
    喫茶店・月影の店長にして終末の住人の組織『月影』のマスター。
更雲優(さらくも・ゆう)
    喫茶店・月影のアルバイト。更雲翔の手による人造人間。
    諸々の事情により、メイド服を着ていることが多い。終末の住人。
桜居珠希(さくらい・たまき。話題にのみ登場)
    放課後首斬り魔とでも言うべき能力を持つ女子高校生。終末の住人。
    『対』であるヘッドコレクターにより深い傷を負い、未だ癒えない。


解説
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 ヘッドコレクターとの戦闘でいまだに意識が戻らない珠希の身を案じつつ、
自分の『対』と思しき人物に思いを馳せる鞍馬。その人物とは……?

 2回目の1999年の夏、夏休みに入って早々に、鞍馬は長い旅に出ます。彼は
その旅で何を見つけてくるのでしょうか。
 このEPは、その旅に出るまでのとある1シーンを描写したものです。
 EP『中野決戦』の一週間後の話です。


時系列
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 1999(2nd)年7月18日・日曜日の昼下がりのこと。


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堀田 拓司 (ごんべ)  gombe@osk3.3web.ne.jp
http://www2.osk.3web.ne.jp/~gombe/TRPG/BOUKEN/
    

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