[KATARIBE 14867] Re: [WP01P] 『悪夢』再開

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Date: Wed, 18 Aug 1999 20:38:16 +0900
From: ソード <so_do@trpg.net>
Subject: [KATARIBE 14867] Re: [WP01P]  『悪夢』再開
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こんにちは、ソードです。


 ごんべさん、まとめありがとうございました。

 修正が全体にわたっているので、再度まとめを流します。

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異変 
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 珠希が吹子の従姉と連絡を取ってから二・三十分ほども経っただろうか。 
 突然吹子が暴れ出した。 

 一同     :「!!」 

 とっさに珠希が押え込む。吹子はなおもしばらくもがいていたが、やがて 
大人しくなった。 

 竜也     :「急に、どうしたんだろう。今まではうなされてても、 
        :暴れたりはしなかったのに……」 
 SE     :「キンッ」 
 直人     :「ん? なんだこれは?」

 突然、吹子の胸のあたりに出現する、細身のU字磁石にとってをつけたよう
な金属体。

 珠希     :「音叉……かな?」 
 直人     :「いきなり出現した……という事は、鍵?」
 SE     :「キィィ…………ンン」 
 一同     :「!?」 

 出現した音叉がひとりでに震え出す。 

 優      :「何か聞こえる……」 
 珠希     :「そりゃあ音叉が鳴ってるんだから……」 
 優      :「違います。何か音楽みたいな……」 
 珠希     :「え?(耳を澄ます) ほんとだ、これは……歌?」 
 優      :「これは……『tohhikoh』?」 
 直人     :「『トーヒコー』って?」 
 優      :「1998年にtohkoって歌手が歌ってた歌です。 
        :でも、どこから聞こえるんだろう?」 

 頭を巡らしてみても、四方八方から聞こえてくるようにしか聞こえない。 

 鞍馬     :「!!! 僕たちから聞こえてるんだ!」 
 一同     :「え!?」 
 SE     :シュボッ!! 

 突然ストロボをたいたような閃光と音が響き、まわりの様子が一変する。 

 直人     :「ここは……一体……(呆然)」 

 薄暗い小部屋。絵が何枚か壁にかかっているが、一際目に付くのは正面にあ 
る、幼い少女を抱えた男性の絵だろう。 
 淡いセピア調で、幸せそうな笑顔が何故か切なさを感じさせる。 
 しかし、全体的に存在感は希薄で、現実的には感じられない。 

 直人     :「精神世界……か……」 
 珠希     :「どういうこと?」 
 直人     :「誰かの精神に引きずり込まれたんです。この中で居ない 
        :のは……あの少女ですね。おそらく、引き込んだきっかけ 
        :はあの歌でしょう」 

 油断なく周囲を見渡しながら、簡単な解説をする。確信はない。しかし、十 
分予想されうる理由だった。 
 ……そして、狭い部屋の中で唯一違和感のある存在がある。 

 一匹の、黒い炎のような、蝶。 

 少女の声   :「助けて……」 

 黒い炎が一枚の絵にとまる。と、火が燃え移り、ちりちりと広がっていく。 
 部屋が揺れ、声にならない悲鳴が響き渡る。 

 少女の声   :「お願い……、誰か助けて……」 

 鞍馬が一歩足を踏み出す。 

 直人     :「鞍馬君、気をつけてください」 
 鞍馬     :「大丈夫……みたいだよ」 

 鞍馬は無意識に足場を確かめていた。この一歩も、油断無く用心深く、自分 
の存在にすら疑問を抱きながら踏み出した一歩だった。 
 感覚はしっかりとしていて、握る拳に力がこもるのを自覚できる。そして、 
力がこもるのは、自分を確認するためだけではなかった。 

 直人     :「それから、慎重に。おそらく、部屋の破壊は、彼女の精 
        :神の破壊につながります」 
 鞍馬     :「はい。……ふっ!」 

 少女と男性……おそらくは父と娘だろう……の絵にちらりと目をやった鞍馬 
は、鋭い気合いとともに、燃え始めた絵に向かって突進した。 
 かかっていた壁から絵をはぎ取り、ふわりと離れた炎の蝶を壁にたたきつけ 
る。生き物を殺すことに対するためらいが、間一髪でするりと蝶を逃がしてし 
まう。しかし、その懸念は杞憂だったと、鞍馬は直感的に悟った。 

 鞍馬     :「何だこいつ……生き物じゃない!」 
 珠希     :「……そうと判れば、手加減はナシね」 

 珠希はポケットに忍ばせた剃刀に手を添えた。その瞬間、ぱっと蝶の炎が二 
つに分かれる。 

 一同     :「?!」 

 蝶は首と胴を分かたれ、弾けるように消滅した。 

 SE     :ぱん、ぱんぱんぱん 

 その間にも鞍馬は絵の炎を消そうと必死に絵を叩き、やがて、大して燃え広 
がることもなく火は消えた。 
 蝶だったモノの黒い粒子が燃え尽きた場所に降りかかり、色と形を取り戻す。 

 鞍馬     :「……よかった」(ほっと一息)

 その絵には、おそらく正面の絵と同じ人物であろう男性の、堂々とした後ろ 
姿が描かれていた。 

 直人     :「どうやら、あの蝶を倒せば、この部屋を修復できるよう
        :ですね」
 SE     :さぁっ 
 優      :「!?」 

 安堵したのもつかの間。 
 陰になっていたところから、闇が分かれ出るかのように黒い蝶が舞い上がる。 

 鞍馬     :「こんなにいるなんて……!」 
 珠希     :「皆で潰していくしかないようね」 

 しまいかけた剃刀を再び構えて言う。 

 竜也     :「お母さん……」 

 つぶやいた竜也の隣に光の女神が顕現する。 

 竜也     :「!?」 

 「鍵」である光の女神は結界ではないこの領域においては存在するだけで 
竜也に負担をかける。 
 他の皆は鍵を消し、あるいはその力を弱め、消耗を減らす。 

 直人     :「皆、結界を張ります」

 そう言ったと同時に、直人は結界を張る。彼の胸の前に銀色の球体が現れ、
ものすごいスピードで拡張する。
 直人以下、ここにいる全員を取り込み、結界は形成された。
 結界の中は、月影店内。

 竜也     :「あれっ?」
 珠希     :「どういうことっ?」
 直人     :「外は……やはりあの部屋……彼女の召還ができないだと?」

 結界に関しては、この中の誰よりも深く習熟している筈である直人が、本気
での召還にも吹子の身体は応じない。
 吹子が結界内に来ていないならば、吹子の能力でもって月影を変換させてい
たあの部屋も、結界内で具現は出来ない。

 SE     :さあっ

 黒い炎の翅をもつ蝶は、結界を超えて侵入して来る。

 竜也     :「このおっ」
 直人     :「駄目です!」

 光の女神で以って攻撃を加えようとしていた竜也を、厳しい声で止める直人。

 直人     :「あの蝶を倒すのは、あの部屋でなければならない。でな
        :いと、彼女の精神は復元しません」
 竜也     :「じゃあ……どうしたら……」
 直人     :「結界を解いて倒します。竜也、君は見ていてください」 
 竜也     :「うん、わかった……」 
 直人     :「早めに決着をつけないと行けませんね……」 

 そう言って、結界を解く。周囲の景色はまたあの奇妙な部屋に戻った。

 直人     :「鍵は使えず……周りへの配慮も……か、なかなか気を遣
        :う仕事ですよ……」

 住人達は、それぞれの技を振るい始めた。
 その蝶は意志を持たないのか直人の物体破壊能力も有効だったが、かといっ
て長引かせるわけには行かない。 
 敵の数が多い上に鍵を使用しにくいこの状況では長期戦は不利だ。 
  
 珠希     :「えいっ!」 

 掛け声とともに、何匹もの蝶が首を分断されて飛び散っていく。 

 女性の声   :「な、なにこれ!」 

 突然聞きなれない声があがる。 
 振り返ると、そこに居たのは見たことのない少女だった。 

 直人     :「誰だ?(……まさか……、南風原さん?)」 
 南風原    :「な、なんなのこの部屋、喫茶店じゃなかったの?」 

 と、一匹の蝶がその肩に止まる。 

 竜也     :「あぶないっ!」 
 南風原    :「えっ?」 
  
 とっさに一番近くにいた鞍馬が蝶を叩きつぶす。 

 南風原    :「な、なにするのよ、危ないじゃない!(怒)」 

 助けられたにもかかわらず、鞍馬に怒る南風原嬢。 

 鞍馬     :「みえ、ないの?」 
 南風原    :「何がよ!(むくれている)」 
 直人     :「一般人には見えないのか……?」 

 と、とうとう最後の一群れが直人のひと睨みで消滅する。 
 部屋の調度品が完全に元に戻った瞬間、 

 少女の声   :「ありがとう……」 
 南風原    :「ふうちゃん!?」 

 声がして部屋は消え、元の「月影」に戻っていた。 


目覚め 
------ 

 吹子     :「う……」 

 眠っていた少女がかすかにうめいて目を覚ます。 

 吹子     :「ここは……?」 
 南風原    :「一体何がどうなってるの?」 
 吹子     :「流歌姉さん?」 
 南風原    :「ふうちゃん! よかった、目がさめたのね? 一体何が 
        :どうなってるの? いきなり倒れたって言うし、病院じゃ 
        :なくて喫茶店に連れ込まれてるし、来たら来たでいきなり 
        :妙なことになってるし!?」 

 半ば錯乱したような状態でまくし立てる。 

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 若干の追加をしました。
 音叉出現の情景描写と、結界を張ってみるシーンが追加になっています。

 その前後も、整合性を取るために若干変えてあります。

 お手数ですが、再度台詞などの確認を願います。


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