[KATARIBE 14829] Re: [HA06P] 「朝市にて」

Goto (kataribe-ml ML) HTML Log homepage


Index: [Article Count Order] [Thread]

Date: Mon, 16 Aug 1999 23:08:30 +0900
From: "いずみ" <izumi@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 14829] Re: [HA06P]  「朝市にて」
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <199908161406.XAA18924@ns0.mahoroba.ne.jp>
X-Mail-Count: 14829


    いずみです。

> 美都達の部分も含めたマージ版を流します。

    「朝市にて」、これもいれてください(笑)

> エピソード『朝市にて』(途中)
> ==============================
>
> 登場人物
> --------
>  遠野勇那(とおの・ゆな) : 幽霊の少女
>  各務功(かがみ・いさお) : 朝市で野菜を売るふぁ〜ま〜
>  布施美都(ふせ・みと) :1999年4月より前の記憶、記録の無い少女。
>              :現在はグリーングラスの居候。
>  紫苑(しおん)     :水島孝雄の実験中に生れた不定形金属生命体。
>              :美都の側に居て彼女を見守り、自分の中に芽生
>              :え始めた「感情」にとまどっている。

早朝、風見アパート
------------------

 梅雨もようやく明けようかという初夏。陽がのぼるのも早い。
 5時には外に歩いて出られるほど明るく、6時も過ぎれば日差しが眩しく
なってくる。
 夜の熱が冷め、涼しく過ごしやすい朝。

 新聞配達の単車が軒先のポストの間を駆ける音が聞こえる。
 ブィーン、ブィ……ブィーン、ブィ。
 一定間隔で発進、停車、発進、停車の繰り返し。
 不思議なことに、ほとんど音が乱れることはない。
 リズムのある音は、響くものでも何故か心地よい。

 ブィーン、ブィ……ブィィーン、ブィン。
 遠くに聞こえていた音が少しずつ近づく。
 ブィィーン、ブィン。がたん。
 ざくざくざく……ぎぃ、がた、がたん。
 風見アパートの共同ポストにも、いつものように新聞が投げ込まれた。
 ぎぃ……ざくざくざく。
 扉の軋む鈍い音が再び。
 ブィィーン、ブィン……。
 単車のエンジン音が遠くなっていく。
 早朝の、この静かな時間にだからこそ聞こえる音。
 皆に一日が始まることを知らせてくれる音。

 勇那ははやくから目を覚ましていて(いや、彼女はそもそも眠らない)、
それらの音をひとり楽しんでいた。
 一日が始まる。
 朝も昼も夜ももはや関係のない彼女だが、自分自身に関係ないからと
いって放棄してしまう気にはなれない。
 朝はその日一日が始まる大切な時間。
 生きている者が起きだし、それぞれの生活を感謝とともに始める時間。
 幽霊になった自分にも何故か同じように感謝の気持ちを呼び起こす。
 朝の音、朝という時間。

 同居人の鏡介はまだ眠っている。
 死んだように……という形容がぴったりであるかのように、ぴくりとも動
かず。
 彼の生活は……残念ながら世間一般とずれていることがほとんどだ。
 明け方近くまで起きていて、昼過ぎまで寝てしまうことも少なくはない。
 
 今日は日曜日だったと思う。
 時間という枷から逃れ出た自分が一応日付を気にするのは、この同居人の
生活をただす使命があるからだ。
 しかし、今日はとりあえず自分にも彼にも関係はないようだ。
 このまま……休日を思うようにすごさせてあげることにしよう。

 触れない扉を無視し、部屋の外に抜け出る。
 小さな窓から光が入るのみの薄暗い廊下。
 鏡介と同じように、他の部屋も住人もまだ眠っているようだ。
 朝の時間に感謝するのと同じくらいの価値がある、朝の惰眠。
 ま、それも休日ならではか。

 とりあえず……

 階段をふわりと降り、玄関から外に出る。

 一人だけだが、散歩に出かけることにしよう。

    (この後の風見アパートから商店街、朝市までの描写をふかんじゅさん
    にお願いしています。表通りにでて、ふわふわと散歩して朝市を発見と
    なる予定。心理描写は、風景描写に組み込んでいこうかなぁと(^^;)

> それは各務の出した店
> --------------------
>
>  吹利商店街朝市。
>  毎月第一週と第三週の日曜早朝に行われる名物朝市である。
>  売る側も買う側も強者が集まるというこの朝市には、少し離れた地区から
> も人が集まってくる。
>
>  朝市で最も賑わう地裁前庭の一画に、各務の出した野菜の出店があった。
>  青いビニールシートを敷いた上に、キュウリとトウモロコシの入った段ボ
> ール箱と篭が置いてあるだけの、極めて簡素な出店である。
> # 状況説明の追補、及び奇妙な表現の修正が必要。
>
>  各務がここの朝市に店を出したのは、今回が初めてである。それどころか、
> 作った野菜を並べて売る事自体が初めてのことだった。
>  初めて尽くしの環境の中……正直、勝手がわからない。
>  周囲の店が賑わう中、何故か自分の店にだけ人が集まらないのをただただ
> 不思議に思っていた。
>
>  各務     :(ううむ…それにしても客が来ない、なんでかなぁ…)
>
>  などと考えつつ、ただただ素通りする人を眺めながら、ぼーっとしている。
> そう思うのなら、せめて通りかかる人達に声でもかけりゃあいいのに…。
>
>  各務     :(まぁ、いいや。そのうち誰か来るだろう。多分…)
>
>  …何処をどう突つけばその様な結論を導けるのかは誰にも解らないだろう。
>  おおらかというか、なんというか、ある意味大物である。
>
>  各務     :(あぁ、お日様が高くなってきた…。どうやら今日は暑く
>         :なりそうだな…)
>
>  七時前、雲一つない青空に太陽が輝いている。
>  今日は暑くなるぞ、と言わんばかりに…。
>
> 早朝、グリーングラス
> --------------------
>
>  美都     :「あーっ!」
>
>  朝、澄んだ声が響き渡る。
>
>  紫苑     :「……どうしたんですか?」
>
>  猫のまま目をこすり、2階から降りてくる紫苑。彼女の声に命の危険を感じ
> なかったからか、急ぐ様子はない。
>
>  美都     :「きゅうりが……ない……」
>
>  紫苑が台所まで行くと、冷蔵庫を前に呆然とした美都がいた。
>
>  紫苑     :「きゅうり?……ああ、胡瓜ですか……」
>  美都     :「酢の物にしようと思ったのに……」
>  紫苑     :「違うのにしたらどうですか?」
>  美都     :「うーん……そうだね。コーンポタージュ先に作ろうっと」
>
>  そう言って、傍らの白い無地の紙パックを切り出す。ラベルは一枚。「ポター
> ジュスープ」と書かれている。
>
>  美都     :(パックの中身を鍋に移しながら)「あれ?粒が見えない
>         :……」
>  紫苑     :「美都……」
>  美都     :「なに?……これ、不良品かなぁ……」
>  紫苑     :「“ポタージュ”に、コーンを入れると“コーンポター
>         :ジュ”になるんですよ……」
>  美都     :「え……」
>
>  意外な盲点であった。……というより、レストランで“ポタージュ”を頼む
> と、大体“コーンポタージュ”が来るのである。同一のものと思い込んでも無
> 理はない……と思おう。
>
>  美都     :「あたし……やっぱり買ってくる!」
>  紫苑     :「こんな早くては、八百屋もやっていませんよ」
>  美都     :「朝市があるもんっ。いくよっ」
>  紫苑     :「……分かりました」
>
>  すぐに男性形になる紫苑。
>  美都は既に買い物籠の準備を終えている。
>
>  美都     :「朝市ってどんなだろうね……私、初めてなんだ」
>  紫苑     :「美都……それが本当の目的ですね……」
>
>  二人は、朝市へ向かう。目的はキュウリとトウモロコシ……なのか、見学な
> のか?
>

   で、以前発表した続きの分ですが、Cor'Diallyさんに描写の追加などお願い
   してますんで、すぐにあがってくるかと。
   そっから美都さんたちの買い物のシーンにつながるのかな(笑)

   美都さんが買っていった後で途端に売れるようになったりしたら楽しいかな
   とか考えてみたり(笑)

いずみでした
<izumi@mahoroba.ne.jp>
いずみの素描部屋
<URL:http://www2.mahoroba.ne.jp/~izumi/> 
    

Goto (kataribe-ml ML) HTML Log homepage