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Date: Thu, 12 Aug 1999 23:36:24 +0900
From: Djinny <djinny@geocities.co.jp>
Subject: [KATARIBE 14792] [HA06P] エピソード『月夜、ところにより血の雨』
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <19990812233624S%jB#l@geocities.co.jp>
X-Mail-Count: 14792
こんにちは、 Djinny こと 古旗 仁 です。
夏(チャット)休み特別企画・溜まってるログのエピソード化ということで、
初登場から失恋までの奈津を追い掛けてみました。
うーむ。僅か一か月にいろいろあったのですにゃ。
エピソードは全て暫定稿です。
今回は第3弾として、『月夜、ところにより血の雨』をEP化したいと思い
ます。
ただ、つらつら考えたのですが、事これについてはみんなで作った方がよさ
そうです。ということで……
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エピソード『月夜、ところにより血の雨』に向けて
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はじめに
--------
前々から書く書くと申していて手を付けていなかった『月夜、ところにより
血の雨』をEP化致したく思います。
しかし、正直な所、私の現在の「狭間」知識では、登場人物の細かい描写を
すればするほどぼろが出るのは目に見えています。
そこで、ト書きと台詞だけの骨組みを先に作っておいて、各自の描写につい
ては各他PLさんにお願いしたいと思います。
実際には私が楽をしたいだけだったりして……
おおまかに場面分割をしてみました。
※シーン割とその名前は仮のものです。
具体的にしていただきたいこと
----------------------------
チャットログ『月夜、ところにより血の雨』およびそのレスから、ト書きと
台詞だけの骨組みを、下にプロットとして抜き出し//作成しました。
一応、これを基本として、口調や描写の修正や追加を行っていただきたいと
思います。
台詞を指定していただいて、通常の口調修正のように台詞と描写の追加修正
をしていただくか、または場面を指定してその中の自分のキャラクターに関す
る描写(台詞含む)を書き換えてください。
修正などに付いては、全てこの記事または子記事に対するレスとしてMLに
投稿してください。ある程度レスが付いた所で、部分または全体の修正版を適
宜私の方で流します。
全体の文体の統一や細かい統制に付いては、各自が適宜行っていただいても
よろしいですが、基本的には修正版を流す時に私が調整するつもりでいます。
全部分に付いて修正をいただくのが大変な場合は、部分的にDjinnyに一任し
て頂いても結構です。その場合、どこを私の方で書けば宜しいかの指定をくだ
さい。修正版を流す折りにこちらで勝手に描写を致しますので、それについて
の修正をいただく形になります。
$$
チャットログ『月夜、ところにより血の雨』の整理
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登場人物
--------
蒼月かける PL:Kakeru
里見鏡介(&ダミアン) PL:gallows
津村奈津 PL:Djinny
前野浩 PL:hari
水島緑 PL:Ryu
無道千影 PL:K_DASH
場所および時間
--------------
梅雨の合間の晴れた夜(月夜)
時刻は11時から0時を回った辺り
奈津の通学している高校(夜間部あり)の校庭(結界の中)
その後、無道邸。
敵
--
出来損ないの狗神、もしくは半妖。体長約1.8m。犬の形をしている。
概要
----
無道千影と前野が妖犬(狗神)を奈津の通う高校の校庭に追いつめる。
それを目撃する他の面々。
妖犬が奈津に襲い掛かったため、ほぼ全員が妖犬と戦うことに。
戦闘終了後、鏡介が千影に想いを告げるものの、玉砕。
傷心の鏡介以外の面々は、無道邸で食事をする。
キャラクターの描写についての希望
--------------------------------
私が個人的に、各キャラクターの描写で、力点を置いて頂けるといいなぁと
思った部分を、それぞれ書きます。
なお、これは私の個人的な感想ですから、こうしなければいけないとか言う
ことは全くありません。
・かけるさんの場合
どういう服装と持ち物だったのか、行動の動機は何だったのか、そこが弱い
ような気がしました。できれば加筆して頂けると良いかと思います。
また、重苦しい場面で、ひとりだけのんびりしたと言うか、マイペースっぽ
い台詞がありましたので、こちらで勝手に心境を書き加えてみましたが、あれ
で良かったのでしょうか。意図に反していたらぜひ修正を願います。
・鏡介さんの場合
#11の部分、「ああ、奈津か」と、割とつめたい感じにも取れるの言葉の後
に「なんだい?」という台詞が入りますが、そこも含めてちょっと鏡介の心境
が不明瞭だなとログを整理していて感じました。
ただ、この部分、不明瞭というか混乱していてもいい場面だとは思います。
・前野さんの場合
アクションが多くわかりやすいので、特にないです。
描写の追加が全編に亙りますので大変ですがお願いします。
・緑さんの場合
何の試験をしていたのでしょう? と疑問に思ってしまいました(笑)。
できたら触れて頂けると嬉しいです。
また、カットされてしまったお風呂シーンはリューさんの主導でぜひ……。
・千影さんの場合
全体にアクションの際などにこちらで勝手に描写してしまっている部分が多
いので、修正等よろしくお願いします。
$$
プロット『月夜、ところにより血の雨』
====================================
#1・住宅街
------------
二条の光が闇に走る。金属的な硬質な衝突音。
何かが飛びちがう音。
前野、太刀を構えている。額に汗。すごみのある笑いを浮かべる。
千影、斜め後ろで前野の視線の方を向いている。
前野 :「くくく……粘るなぁ……」
千影 :「……どう? 追い込めそう?」
前野 :「大丈夫です……千影さんは、例の場所へ」
千影 :「(コクリ) ……ここは任せたわ」
千影、音もなく去る。
前野、闇に向かってにやりと笑う。
前野 :「ふふふ……逃げ道は押さえてある…」
#2・移動
----------
校舎はほとんど灯りがついていない。
人の気配はない。
奈津、昇降口にいる。靴を履いている。
奈津 :「遅くなっちゃった……」
:(校庭の方を向いてまたたく)
:「……? なんだろ?」
校舎の正面入口附近の路上。
鏡介、ダミアンを連れて通り掛かる。
鏡介 :「……ダミアン、今日はこっちかい?」
ダミアン :「ワフワフ(こっちー)」
鏡介 :「……道に迷った……」
同。(ただし、逆方向から)
緑、校庭を見詰めている。
緑 :「あ、追いつめた」<超望遠視覚モード
校庭を挟んで反対がわの路上。
かける、通り掛かり、校庭の方をいぶかしげに見る。
かける :(ん?何か光った)
校庭内。
前野、妖犬を校庭の中央に追い上げている。
前野 :「此処らで観念するんだな!」
妖犬 :「ガルルルル!!(ズザッ)」
#3・行動開始
--------------
※各自の場所にて
鏡介 :「……ダミアン、静かにね(闇に隠れて見てる)」
奈津 :「……いってみよっと」
前野と千影。
妖犬と対峙している。
前野 :「千影さん! お願いします!」
前野、脇をちらりと見やる。
千影、頷く。そのまま音もなく走り去る
※各自の場所にて
かける、とてとてと校庭に入っていく。
奈津、小走りに校庭の方に向かう
かける :「なんだろう」
奈津 :「なんか、あの声、聞いた事がある……みたい」
千影、いきなり妖犬の脇に姿を現す。
千影 :「……遅いわ」
妖犬、首筋を長く伸びた爪で切り裂かれる。
数メートル横に跳躍し、低くうなる。
妖犬 :「ギャンッ!(ズザザザザ…)グルルル……」
千影、前野を一瞥。
前野、懐から何かを取り出す。
千影 :「……前野さん、結界を、人に気がつかれるわ」
前野 :「風都の土地神よ、暫しその片隅を持って我が結界となす
:ことを……」
鈴の音が響く。
緑からの視点。校庭の中には何もいなくなったように見える。
※校庭が結界で包まれている。校地外からは、人影もその動きもかき消すよ
うに見えなくなる。
緑 :「あ、光学系がシャットアウトされた……他のも……だめ
:だ……」
#4・結界内
------------
校地内。対峙している二人と一匹。その周囲に、かける、鏡介、奈津が小さ
く見える。
※各自の場所にて
かける、鏡を鞄から取り出す。
奈津、校庭中央の異様な光景を見て悲鳴を上げる。
鏡介とダミアン、冷静に話している。
鏡介は奈津に気付く。
かける :「あれ。前野君たち……」
奈津 :「きゃああああっ!! な、なに、あれ……」
#ダミアン :「ワフ(いぬがみだー、日本の呪術生物だよねー)」
#鏡介 :「……(救済の対象外か……ん? あれは……)」
前野、太刀を構える。鍔鳴り。
千影、顔にかかった髪を払う。
前野 :「さて……往生してもらおうか……」
千影 :「……!」
妖犬、しばし対峙しているが、やがて斜め後方に跳躍する。
妖犬 :「……グゥゥ……」
校庭隅の掲揚ポール。
奈津、ポールにしがみつくようにして、何度も瞬きしている。
奈津 :「あ……あれって……む、無道さんと、前野さん……?」
#5・一撃
----------
前野の表情。ポールの陰にいる人物に気が付く。
妖犬、奈津に猛然と駆け寄る。奈津、反射的に腕で顔を覆う。
前野 :「まずいっ」
奈津 :「きゃあっ!!」
鏡介 :「……だからめんどう事はイヤなんだ」
ダミアン :「ガウッ!」
妖犬、奈津に跳躍する。ダミアン、奈津を突き飛ばす。
奈津 :「あうっ」
妖犬、奈津の居た所を飛びぬけて数メートル先に着地し、ダミアンを睨む。
鏡介、妖犬と奈津の間に立ちふさがる。
倒れている奈津、薄く目を開けて、鏡介の後ろ姿を見る。
鏡介 :「ハハッ、おいで!」
奈津 :「き、きょうすけ……さん?
: な、なにが、どうなっちゃってるんだろ……」
前野、舌打ちしてサングラスを外す。
千影、脇ですっと眉を寄せる。
前野 :「邪魔だっ!」
千影 :「あれは……奈津ちゃんと……鏡介さん?」
前野の瞳から青白いプラズマのような光線が妖犬に伸びる。
妖犬、感電したように跳ね上がる。
妖犬 :「ガァッ」
かける、校庭の脇を走り、ポールの方に向かう。
ひどくまじめな表情。
かける :「……洒落にならん状態だな」
#6・同時攻撃
--------------
かける、奈津に駆け寄る。
奈津、座り込んでいる。
かける :「大丈夫ですか?」
奈津 :「か、かけるさんまで……?」
かける :「いやぁ。私はたまたまですよ」
妖犬、鏡介に鉤爪と触手を伸ばす。
奈津、鏡介の方を見る。
鏡介、大哄笑する。狂ったように笑っているようにも見える。
妖犬 :「グワッ!」
奈津 :「鏡介さんっ!?」
鏡介 :「堕ちるといい、ハハッ」
哄笑する鏡介の肩口を妖犬の鉤爪が襲う。
血がしぶき、鏡介の哄笑が大きくなる。
奈津、絶叫する。
奈津 :「いゃああああっ!!」
鏡介、退きつつダミアンを呼ぶ。ダミアン、槍のような形状に変化して鏡介
の手の中に収まる。
前野、千影、距離を置いたまま魔法を行使する。
千影 :「……闇よ……我が名 千影の名において……その力黒き
:炎と化し……我が敵を滅ぼせ」
前野 :「不動明王の浄焔よ、間を滅ぼし悪を滅せよ……」
妖犬の周囲に漆黒と真紅の二つの炎が立ち上る。
妖犬、体中を焼かれてのたうつ。
ダミアンの変化した槍が、その前肢の付け根の中央を深々と貫く。
前野、千影、距離を詰める。
#7・赤い雨
------------
千影、爪を長く伸ばしている。悶えている妖犬の横に走り込む。
千影、無表情に呟き、無造作に爪を横に払う。
千影 :「……終わりよ」
妖犬、首を切断される。首が高く跳ね上がる。
頚動脈から恐ろしい勢いで血が吹き上がる。
かける、奈津の手を引っ張ってその場を離れようとする。が、奈津は尻餅を
ついて動けない。
奈津 :「あ……あ……」
妖犬、断末魔の痙攣。切断面からひときわ勢い良く血が噴出する。
妖犬の身体、音を立てて崩れる。
かける、奈津の手を引っ張る。奈津、鏡介の方を見たまま動かない。
二人の上に、雨のように妖犬の血が落ちてくる。
奈津、ぼんやりと自分の腕に付いた血を見る。そこに、更にぼたぼたと血が
落ちてくる。
千影、爪に付いた血をなめる。瞳が赤い。
前野、太刀に仮ぬぐいをかけ、鞘に収めて周囲を見回し、軽く舌打ちする。
鏡介、倒れている妖犬の死骸を眺めている。
#9・事後処理
--------------
かける、わざとらしく明るい声を出す。
かける :「あ〜。まっかっか」
奈津、鏡介と前野と千影を交互に見る。
奈津 :「あ……あ……」
前野、内ポケットから薄いフェイスタオルを取り出し、千影に差し出す。
千影、首を振る。視線で、奈津とかけるを示す。
前野 :「また、派手に飛び散りましたね……片づけが大変だ」
千影 :「……わたしはいいわ……」
前野、苦笑して千影にタオルを渡す。千影の視線に、別のタオルを出して
みせ、奈津に歩み寄る。
前野 :「ほら、君も拭いた方が良いよ」
奈津、機械的に受け取る。
奈津 :「あ……はい」
かける、血に染まってしまった奈津を見る。前野、軽く頷いてかけるにも
タオルを渡す。
かける :「……このままではかえれないんじゃないか?」
前野 :「一応、かける君もどうぞ」
かける :「ありがとう」
鏡介、その脇を通って千影の横に立つ。
千影、鏡介の顔を眺める。
鏡介 :「やあ、こんばんわ」
千影 :「……」
奈津、腕の血に視線を落としている。
前野、サングラスを掛け直しつつ、奈津をきづかわしげに見やる。
奈津、ぼんやり前野を見上げる。手には、渡されたままのタオルがある。
前野 :「……大丈夫かい?」
奈津 :「あ……はい」
前野、苦虫を噛み潰したような表情で奈津の手からタオルを取る。
かける :「前野くん。替えの女性の服ってあるのかなぁ……さすが
:にないか」
前野 :「ほら、拭かないと……」
前野、ゆっくりと奈津の顔に付いた血をぬぐう。
奈津、呟くように前野に礼を言う。伸びかけた牙が、ちらりと唇の間から覗く。
前野 :「一応あるが、ここで着替える訳にもいかないだろ」
奈津 :「……ありがとうございます……」
#10・告白
----------
千影、爪をちらりと見、鏡介に向き直る。
千影 :「…………どうしてここに?」
かける、周囲の雰囲気を和らげようと、努めて元気な声を出す。
かける :「更衣室ってないのか? そうじゃないなら、アパート
:なり無道邸なりで……」
奈津、顔を上げる。棒読みのように口調で応える。
奈津 :「……え? こういしつなら、プールのわきに……」
前野、立ち上がり、かけるに苦笑いを向ける。
前野 :「そのつもりだよ」
前野、きびきびした口調に戻る。千影、視線を向けずに軽く頷く。
前野 :「死体の始末をしてから、車を廻します」
千影 :「…頼むわ」
前野、奈津の髪に広げたタオルを掛ける。
奈津、鏡介と千影を見、前野に視線を戻す。
前野 :「とりあえず落ち着いた方が良い……大丈夫だよ、変な事
:はしないから」
奈津 :「……あ……はい」
鏡介、ぼそりと千影に言う。
千影、ある程度予期していたように、さりげなく問い返す。
鏡介 :「……僕と……付き合わないか?」
千影 :「………どうして?」
前野、奈津に苦笑を向ける。奈津の視線は呆然と前野を追っている。
鏡介、暫く悩んでいる。
前野 :「すぐに終るから、ちょっと待っててね」
奈津 :「……」
鏡介 :「理由がいるのか… わからないよ、ただ、そういう感情
:が流れてる」
前野、タオルの上から元気付けるように奈津の頭を撫で、死体に向かう。
転がっている首を拾い、死体の側に置き、鮮やかな色の光を照射する。
光にとけるように、巨大な犬の死体が消え失せる。
奈津、虚脱したようにそのさまを見ている。
前野 :「さて…あとは血だが……」
奈津 :「消えちゃった……」
千影、鏡介を一瞥する。
千影 :「…………私には本宮君がいるの」
前野、指の間に挟んでいたディスクをポケットに仕舞いつつ、血溜りに指を
差し込む。華を鳴らし、飛び散った飛沫の部分も確かめると、なにか納得が
いったように立ち上がり、手を払う。
#11・心の模様
--------------
かける、ふと息を付き、奈津を見る。奈津、漸く目覚めたような面持ちでか
けるに頷く。
かける :「まあ、血は洗えば落ちるから」
奈津 :「ええ……酷い色になっちゃったなぁ、髪も……」
前野、千影に歩み寄る。事務的な口調。千影、ふっと爪に息を吹きかけて
前野に視線を向ける。
前野 :「お忙しい所失礼します」
千影 :「……なに?」
前野 :「どうやら、血のほうは霊剤のようなものでして、意外と
:簡単に済みそうです。払えば、すぐに消える類ですね」
鏡介、一つ頷き、身を翻す。
ダミアンはいつのまにか犬の形に戻っている。
奈津、ふらふらと立ち上がって鏡介を見る。
鏡介 :「……そうか、それじゃあね。とても奇麗なものを見せて
:貰った」
奈津 :「あ、あの……」
千影、鏡介の後ろ姿を見遣り、軽く頷く。
千影 :「…………(小声で) 不思議な人ね………
:わかったわ、ありがとう」
前野、一礼して死体のあった場所に戻り、太刀を抜き打ちに払う。
血溜りが燃え上がる。小さな飛沫にも火が点り、蒸発するように消えて行く。
奈津、泣き出しそうな顔で鏡介を呼ぶ。
鏡介、振り向き、無表情な視線を奈津に向ける。
奈津 :「鏡介さんっ」
鏡介 :「……なんだ、奈津か」
奈津 :「きょうすけさん、あの」
奈津、何かを訴えるように鏡介を見る。
鏡介、立ち止まらずに声だけを奈津に返す。
奈津、目を伏せてかぶりを振る。
鏡介 :「(歩きながら) なんだい?」
奈津 :「……なんでもないです……(間を置いて) なんでも……
:ないです」
前野、鏡介を一瞥して校門の外に消える。
千影、鏡介に微苦笑を向けてゆっくりと前野を追う。
鏡介、途方に暮れたように呆然と歩いていく。
かける、肩を竦める。俯いて立っている奈津に声を掛ける。
かける :「送っていこうか?」
奈津 :「……ありがとう、ひとりでかえれます……」
#12・車中にて
--------------
すぐに自動車が校門の脇停まる。無道邸の自家用車の一つである。
ドアを開け、前野が顔を出す。
前野 :「……さ、乗った乗った」
緑、可視光モード以外を試したりしている内に、いきなり視界がクリアーに
なる。校庭内には誰も居ない。
緑 :「あら、気が付いたら誰もいない……」
かける、奈津の肩を抱きかかえるようにして校門前まで連れてくる。
前野、早く乗れと視線で急かす。
かける :「シートが汚れるけどいいのかな?
後部座席に乗った千影、鋭さの消えた顔でかけるに頷く。
前野、苦笑する。
かける、頷いて奈津を後部座席に乗せる。
奈津、悪寒が走っているように震えている。
千影 :「気にしないでいいですよ」
前野 :「気にするくらいなら、勧めないよ」
かける :「さぁさぁ。乗った乗った」
奈津 :「……ありがとうございます……」
前野、車外に出て、氷雨を抜いて戻ってくる。
千影、緑を見付けて手を振る。緑、何かの器材をバッグに戻す。
緑 :「あ、千影さんが手を振ってる……うーん、お仕事はいい
:や……いこっと」
緑、車に歩いてくる。奈津の脇に座る。
前野、後部席で震えている奈津を振り返って苦笑し、ドアを閉める。
かける、鏡を出したままシートベルトをつける。
前野 :「制服もちゃんと用意するから……とんだ事で悪かったね」
奈津 :「あ、いえ……」
前野 :「家のほうは大丈夫かな?なんなら、連絡入れようか?」
奈津 :「あ、大丈夫です……」
千影、血に濡れた姿のまま、奈津に微笑みかける。
緑、奈津を見、千影に視線を移す。
千影 :「ゴメンね……怖い思いさせて」
奈津 :「あ、いいえ、そんな、たすけてもらっちゃって……あり
:がとうございました」
緑 :「あ、なんかあったんですか?」
千影 :「ええ、チョット(^;)」
千影、はっとして奈津を見詰める。
奈津、不安そうに千影を見返す。口の中には牙が伸びてきている。
前野、車を発車させる。
前野 :「チェック怠ったこっちのミスだからね、お礼言われたら
:悪いよ」
奈津、震えている。
かける、前野にぼそぼそと話しかける。
かける :「なんか後ろから妙な気配をかんじるんだけど……」
前野 :「気にしない気にしない」
奈津、ぶんぶんと首を振る。
奈津 :「なんか、変です……わたし」
かける :「変? なにが」
緑 :「ふーん(きょと)」
奈津 :「あんなに怖い目に遭ったのに……なんだか、変です……
:体が、熱くって」
#13・吸血鬼
------------
千影 :「(小声で) ……さっきから気になってたんだけど奈津ちゃ
:んあなた……吸血鬼じゃないの?」
かける :「球?」(よくききとれてない)
奈津 :「え……? な、なんでそれを」
千影 :「女のカンよ☆(クスクス)」
かける :(まあ、きにしないでおこう)
緑 :(うーん、生体センサーの反応が変だ……)
前野、話題を変える。
前野 :「かける君、そういえばなんであそこに?」
かける :「仕事帰りでね」
前野 :「へ〜、そりゃまた災難だったね」
かける :「花火かと思ったら焔だったからねぇ(^^;」
前野 :「首突っ込まなきゃ良いのに…」
かける :「うぃ(^^;」
前野 :「あ、もうすぐつきますよ」
緑 :(通常モードにしておこうっと)
奈津、千影を幾分確りした視線で見る。
千影、少し口を開いてみせる。牙がちらりと見える。
奈津 :「そうなんですか……(気を付けなくちゃ、もっと)」
千影 :「冗談よ☆(クスクス)」
奈津 :「あ、む、無道さん……」
千影 :「(クスクス)」
奈津 :「無道さんも? だから、あんなに……?」
#14・到着
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停車。大きな屋敷が眼前にある。
かける :「うーん。いつみても不気味なむどうていだのぅ」
前野 :「さ、着きましたよ。ほら、早く下りないと、汚れが落ち
:難くなりますよ」
前野、後部座席を振り向いて千影に頷く。
前野 :「千影さん、すいませんけど彼女をお願いします」
千影、視線で頷き、奈津に笑いかける。
千影 :「奈津ちゃん、お風呂はいろ? ね?」
奈津 :「え? で、でもっ」
前野、かけるを指差して笑う。
緑、つられてくすくすと笑う。
前野 :「コレを風呂に放り込んだら、軽い食事の用意をしておき
:ます」
#15・風呂
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前野、千影に一礼する。事務的だがあたたかな口調。。
前野 :「服の方は、すぐに用意をさせます」
千影、軽く頷いて奈津と緑の手を取る。
奈津 :「あ、や、やっぱりわたしっ、い、いいですっ」
千影 :「緑さんもいっしょにはいろ☆」
緑 :「お、おふろですかぁ」
前野、くすくすと笑いつつ、部屋を出る。
#16・風呂上がり
----------------
千影、風呂から上がって着替えを済ませている。
緑、なんとなく恥ずかしそうにしている。
前野、顔を出す。何時の間にか血の匂いのしない服に着替えている。
前野 :「あ、千影さん。居間の方にお茶の用意が出来ていますよ」
千影 :「ありがと、みんないこ☆」
奈津、脱衣所から出てくる。何故か湯に当てられたように顔が赤い。
かける、椅子に座って水を飲んでいる。ん? という視線を奈津に向ける。
奈津 :「はい……」
緑 :「はふぅ」
かける :「はふぅ。ゆでだこ」
かける :「(なにがあったんだ〜?)」
前野、向こうに行きかけて立ち止まり、振り返る。
前野 :「あぁ、奈津さん。服のサイズは合ってた?」
奈津 :「あ、はいっ、ぴったりでしたっ」
奈津、慌てて答えるが、すぐに真っ赤になる。
奈津 :「Aカップのところも……」
前野、首をかしげる。
奈津、ますます赤くなる。
千影と緑、くすくすと笑う。
前野 :「あと、これが制服……って、なに?ん?」
奈津 :「いっ、いいえっ、別になんでもないですぅっ」
前野 :「とにかく、これに制服が入ってるから。汚れちゃった方
:は、洗濯して届けるよ」
奈津、ぺこぺこと頭を下げる。
奈津 :「あっ、ありがとうございます」
前野 :「そんなに畏まらないで……
: ……ほら、居間でお茶にしよ?」
かける :「わーい」
奈津、かちこちに緊張している。
前野、珍しく対応に困った顔をする。千影、それを見て奈津の頭を撫でる。
緑、くすくすと笑う。
奈津 :「はいっっ」
前野 :「緊張しないで……」
千影 :「クスッ☆」
奈津 :「あうー……」
#17・夜食
----------
無道邸の居間。
千影と緑と奈津がテーブルについている。前野、エプロン姿。
かける、少し離れたソファに腰を降ろしている。
前野 :「なにか軽く食べたい人は、気軽に言って下さい」
かける :「カレーがたべたい」
緑 :「私は……コーヒー貰えますか」
前野 :「奈津さんは?」
奈津 :「千影さんと同じ物でいいです……」
前野、奈津の頭に手をちょんと置く。
前野 :「じゃあ、千影さんは?」
千影、小悪魔的な笑いを浮かべる。
千影 :「ん〜……あれおねがい☆」
※あれ、とは、輸血用血液パックを指す。
前野、さりげなくかけるを食堂に誘う。
前野 :「はい、分りました。
:とりあえず、かける君は食堂の方へ行こうか」
かける :「いただきますです」
かける、食堂でカレーを食べている。
かける :(はむはむ)「うっ。水……」
$$
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不明な点が多いかなぁ。
奈津の描写//修正をサンプルとして週末をめどに流します。
それでは失礼します。
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Djinny(ランプの魔物)
MAIL_TO :djinny@geocities.co.jp
WEBPAGE :http://www.geocities.co.jp/Playtown-Dice/1293
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