[KATARIBE 14697] Re: [WP01]EP: 「月影にピアノを……」

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Date: Fri, 06 Aug 1999 13:48:58 +0900
From: ソード <so_do@trpg.net>
Subject: [KATARIBE 14697] Re: [WP01]EP:  「月影にピアノを……」
To: kataribe-ml@trpg.net
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こんにちは、ソードです。

マージ分と、若干説明文の追加をしました。


登場人物

月島直人	:喫茶・月影の店長。物体操者。
伊野部荘司	:
朝霞沙希	:魔女、プロの音楽活動をしている。
更雲優		:


エピソード 「月影にピアノを」
==============================

ある日の「月影」、今日も直人と優が店を切り盛りしている。

 直人     :「優さん、一息ついたらお茶にしようか?」

いつもどおり白のYシャツに紺のベストの直人。
一方、優はふりふりのエプロン姿だ。

 沙希     :「(からん)……ふぅ、暑いな」
 優      :「いらっしゃいませ」
 沙希     :「やぁ」

Tシャツにジーパン姿で入ってきた沙希、軽く手を挙げて挨拶する。
店の傍らでは同じ様な格好をした莊司が涼んでいるようだ。

 荘司     :(店内でアイスコーヒーを飲みつつ涼んでいる)
 優      :「はいっ。って、お客様ですわ」
 直人     :「いらっしゃいませ……って、沙希さん。お久しぶりです」
 沙希     :「久しぶりだね、マスター」

カウンターに座る沙希

 優      :「何になさいますか?」
 沙希     :「ああ、いつものコーヒー頼むよ」
 優      :「はいっ」

いつも月影に来ると飲んでいるエスプレッソのコーヒーを頼む沙希


 優      :「エスプレッソ1つお願いします」
 直人     :「はい、ちょっと待ってね」(作業を始める)

しばらくの間、コーヒーを入れる音だけが有線放送をBGMに響く

 沙希     :「……」
 直人     :「最近、どうですか?お仕事のほうは……」
 沙希     :「んー、今度東京でライブなんだよ、全国ツアー中なんだ
        :けど、やっぱり地元はいいね」
 優      :「すごいですね」
 直人     :「そうなんですか。東京だと、家からですか?」
 沙希     :「ああ、久々に家に帰ったよ(苦笑)」
 直人     :「それはそれは、有希さん、喜んだでしょう」
 沙希     :「もう、かなりうれしかったみたいだね。いない間は一人
		:だから……」
 直人     :「なるほど、それでここ数日彼女の姿が見えなかったので
		:すね」
 優      :「大変ですね」
 沙希     :「まぁ、仕方ないね、本当は一人にはさせたくないんだけ
		:ど……」

一瞬だが沙希の顔が曇る。

 沙希     :「……ねぇ、マスター」
 直人     :「なんですか?」

唐突に月島直人に切り出す沙希、月島直人はコーヒーを入れつつ相づちをうつ

 直人     :「っと……出来ましたよ、お待たせしました」(カチャ)
 沙希     :「ありがとう。ねぇ、この辺のスペースにピアノ置いたら
		:どうかな」

と、開いているスペースへ歩いていくと、手を広げてジェスチャーする


 直人     :「ピアノ……ですか?」
 優      :「ピアノですか」
 直人     :「……やっぱり、ピアノを置くべきですかね……」
 沙希     :「んー、なんかこう、弾いてみたいなーなんて思ったもの
		:だからさ」
 直人     :「昔は、あったんですよ」
 沙希     :「え、そうなんだ」
 直人     :「はい。僕が月影を継ぐ前の話ですけどね。……2年前に、
        :壊れちゃったんです」
 沙希     :「壊れちゃったのか〜」
 直人     :「昔は、母親が弾いていたって話だったんですが、親父が
		:弾いてるのは見たこと無いからなぁ……そこのピアノがなっ
        :てるのを、あまり覚えてないんですよね」
 優      :「直人さんはピアノ引けるのですか?」
 直人     :「僕は引けませんよ。5歳までやってたって話を聞いてま
		:すけど。覚えてないですしね」
 優      :「私、さわったこともないんですよ」
 沙希     :「あらら」

 若干、沈黙が訪れる。手作業をしながら、昔の記憶を引きずり出す。
 細部のはっきりとはしない店内。父親の背中を見ながらカウンターの奥で遊
んでいたとき、緩やかなピアノの調べが流れて来る。
 カウンター越しに見ると、エプロンをつけたままの女性の姿。その振り向い
た笑顔は……。

 優      :「マスター?」

 母親の顔は、もう曖昧になっている。覚えているのは、写真に張り付いた笑
顔。それも、2年前に焼失してしまった。

 今笑顔を見せてくれるのは、月影と言う線でつながった仲間達……。

 直人     :「すみません。少し……ぼーっとしてました。ピアノがあっ
        :た頃を思い出そうとしたんですがね……」
 沙希     :「うーん、もう入れる予定はないの?」
 直人     :「月影にピアノを……ですか?」
 沙希     :「入れてくれると……うれしいな」
 直人     :「うーん……いい機会だし、優さんもやってみても良いと
		:思いますしね、入れましょうか。常連さんのニーズにはこ
        :たえないとね(にこ)」
 優      :「はいっ」
 沙希     :「私も教えてあげられるよ(にこ)」
 優      :「よろしくおねがいしますっ」

 こうして、数日後には月影にピアノが来ることになる……。
 少しずつ、昔の姿を取り戻して行く月影。
 しかし、2年前とは違う。月の決して見えない裏側も、徐々に変わっている
のだった。


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