[KATARIBE 14290] [HA06P] 「朝市にて」

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Date: Wed, 14 Jul 1999 22:40:48 +0900
From: "いずみ" <izumi@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 14290] [HA06P] 「朝市にて」
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    いずみです。

    「朝市にて」のEP、勇那が各務さんの店に行くところまで。
    これ以降に皆さんに参加してもらえるかなと。

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エピソード『朝市にて』(途中)
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登場人物
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 遠野勇那(とおの・ゆな) : 幽霊の少女
 各務功(かがみ・いさお) : 朝市で野菜を売るふぁーまー


それは各務の出した店
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 吹利商店街朝市。
 何週間かに一度、日曜早朝に行われる名物朝市である。
 売る側も買う側も強者が集まるというこの朝市には、少し離れた地区から
も人が集まってくる。

 その一画、各務功の出した野菜の出店があった。

 各務がこの朝市に店を出したのは、今回が初めてである。
 いや、作った野菜を並べて売る事自体が初めてのことだった。
 初めて、初めて……正直、勝手がわからない。
 他店がにぎわう中、自分の店に何故か人が集まらないのをただただ不思議
に思っていた。

 各務     :(ううむ…それにしても客が来ない、なんでかなぁ…)

 などと考えつつ、ただ素通りする人を眺めながら、ぼーっとしている。
せめて通りかかる人達に声でもかければ良いのだが、話をするのが苦手な彼
にその様なことがいきなり出来るはずもない。

 各務     :(まぁ、いいや。そのうち誰か来るだろう。多分…)

 ……何処をどう突っつけばその様な結論を導けるのかは誰にも解らないが。
 おおらかというか、なんというか。
 ある意味大物である。

 各務     :(しかし……陽が高くなってきたなぁ。今日も暑いなこ
        :りゃ)

 7時前、雲のない空に太陽が輝いている。
 たしかに今日も暑くなるぞ、と言っているようだ。


一人目のお客様…?
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 勇那     :「あれ、ここだけ人がまばら……っていうか、全然いな
        :いじゃん(苦笑)」

 人込みをかき分け……る必要もなく、すーいすーいと滑るように進んでき
た勇那が一軒の店の前で足を止めた(いや、足はないが)
 そう、客が来なくて(一応)困っている各務の店の前である。

 勇那     :「ふーん、野菜を売ってるのかぁ」

 さきほどから店先をうろうろと歩き回っていた勇那が思い知らされたこと
が一つ。
 それは、人込みをかき分ける必要がないということは、逆に商品をのぞき
込む時に不便であるということ。
 幽霊である彼女は当然現実には干渉することがない、つまり触れることは
なく彼女は人をすり抜ける。

 そして、彼らも彼女の体をすりぬける。
 それがどういうことか。
 自分が覗いている目の前につぎつぎと手が伸び、じっくり見ようとした商
品が次々と客の買い物カゴの中に収まっていくのだ。
 あのぴかぴか光る変わった魚が、あのみずみずしい美味しそうな野菜が、
あっちからこっちへひょいひょいひょい……。
 いくらひやかししかできないといっても、これではあまりに不公平である。
 そういうこともあって、ここのような人が少ない店はありがたかった。
 (売るほうには悪いが)自分が満足するまで眺めていられる。

 勇那     :「きゅうりとトウモロコシ……だけ?」

 商品台を覗いてみて気づくのは、実はたしかにでかいが形が不揃いなこと。
 並べられた商品が他店に比べると少ないこと。
 そしてこれがこの店に人を呼べない原因なのかもしれないが……わずかな
のだが値段が高い。
 わざわざ朝市に出てきて買い物をしようという「朝市の客Pro」には、こ
の値段はとても相手をしていられないということなのだろうか。
 
 勇那     :「ねぇ、おじさん……これってちょっと高くない?」

 勇那が商品を指さしながら、目の前の各務に一応声をかける。
 おじさんというには失礼な年齢かもしれないが、彼女はそこまで気を回さ
ない。

 各務     :(そういえば腹が減ったな……)

 腹を軽くさすって、目の前に並んだ商品をぼんやりと眺める。
 そのうちとくに形の良いトウモロコシを一つ手に取り、 むしゃりと食らい
ついた。
 売れないからヤケになったか、なんなのか。
 勇那が自分に話しかけていることにも、まったく気づいていないようであ
る。

 勇那     :「……って、やっぱ気づくわけないか(苦笑)」

 幽霊である彼女は、普通には見えない。
 悲しいが、それが現実。
 もう慣れたので、これくらいで落ち込むことはないが……やはり気づいて
欲しいという気持ちはなくなるものではない。

 勇那     :「ま、いいか。他に誰もいないし、勝手に見せてもらう
        :からね〜(笑)」
 ふわりふわり。
 幽霊の少女が商品に手を触れて見定めるような仕草をしながら、店の前に
立っている。
 店主は日差しに目を細めながら、売り物のトウモロコシを食べている。
 奇妙な光景である。

 気配が感じられたのだろうか。
 トウモロコシを食べる手を止め、各務は一応周囲を見まわした。

 各務     :(さっきからなんか視線を感じるよなぁ)

 首をかしげる。
 現在のただ一人の客が幽霊。
 不幸である。

 勇那     :「実のつき方自体はそんなに悪くはないと思うんだけど
        :ね〜(じろじろ)」

 ままごと遊びをするように、無邪気にはしゃぐ勇那。
 見えない客を前に、各務はもう一度首をかしげた。

 各務     :(やっぱ……なんか視線を感じるんだけどなぁ)


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状況・解説
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 朝市に来た勇那が、各務の店の前でうろうろしています。
 誰かが来るまで状況は変わらないかと思いますが、どうでしょうか?
 もし、今のままでは入りにくいというのであれば、どのようなアクション
が必要かお知らせください。
 また加筆、訂正などあればよろしくお願いします。


  いずみでした
  <izumi@mahoroba.ne.jp>
  いずみの素描部屋
  <URL:http://www2.mahoroba.ne.jp/~izumi/>



 
    

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