[KATARIBE 14289] [HA06P] 「朝市にて」

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Date: Wed, 14 Jul 1999 22:39:53 +0900
From: "いずみ" <izumi@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 14289] [HA06P] 「朝市にて」
To: kataribe-ml@trpg.net
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    いずみです。

    「朝市にて」のEP、そろそろ始めましょうか。
    参加者は、Cor'Diallyさん、久志さん、ソードさん、いずみでかま
わないでしょうか?

    では、ここで勇那が風見アパートを出る前の部分。
    次で、朝市で各務さんがお店にいるところに勇那が顔を出す部分を
発表させてもらおうと思います。

    勇那が朝市を見つけて歩いていく部分がありませんが、それに関し
ては設定の面で相談したいことがありますので、現段階の発表は見送ら
せてもらいます。
    なくても、次の部分を読んでいただければ参加はできるかと。

    ところで、今回の編集は私がさせてもらってもかまいませんかね?


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エピソード『朝市にて』(途中)
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登場人物
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 遠野勇那(とおの・ゆな) : 幽霊の少女

早朝、風見アパート
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 梅雨もようやく明けようかという初夏。陽がのぼるのも早い。
 5時には外に歩いて出られるほど明るく、6時も過ぎれば日差しが眩しく
なってくる。
 夜の熱が冷め、涼しく過ごしやすい朝。

 新聞配達の単車が軒先のポストの間を駆ける音が聞こえる。
 ブィーン、ブィ……ブィーン、ブィ。
 一定間隔で発進、停車、発進、停車の繰り返し。
 不思議なことに、ほとんど音が乱れることはない。
 リズムのある音は、響くものでも何故か心地よい。

 ブィーン、ブィ……ブィィーン、ブィン。
 遠くに聞こえていた音が少しずつ近づく。
 ブィィーン、ブィン。がたん。
 ざくざくざく……ぎぃ、がた、がたん。
 風見アパートの共同ポストにも、いつものように新聞が投げ込まれた。
 ぎぃ……ざくざくざく。
 扉の軋む鈍い音が再び。
 ブィィーン、ブィン……。
 単車のエンジン音が遠くなっていく。
 早朝の、この静かな時間にだからこそ聞こえる音。
 皆に一日が始まることを知らせてくれる音。

 勇那ははやくから目を覚ましていて(いや、彼女はそもそも眠らない)、
それらの音をひとり楽しんでいた。
 一日が始まる。
 朝も昼も夜ももはや関係のない彼女だが、自分自身に関係ないからと
いって放棄してしまう気にはなれない。
 朝はその日一日が始まる大切な時間。
 生きている者が起きだし、それぞれの生活を感謝とともに始める時間。
 幽霊になった自分にも何故か同じように感謝の気持ちを呼び起こす。
 朝の音、朝という時間。

 同居人の鏡介はまだ眠っている。
 死んだように……という形容がぴったりであるかのように、ぴくりとも動
かず。
 彼の生活は……残念ながら世間一般とずれていることがほとんどだ。
 明け方近くまで起きていて、昼過ぎまで寝てしまうことも少なくはない。
 
 今日は日曜日だったと思う。
 時間という枷から逃れ出た自分が一応日付を気にするのは、この同居人の
生活をただす使命があるからだ。
 しかし、今日はとりあえず自分にも彼にも関係はないようだ。
 このまま……休日を思うようにすごさせてあげることにしよう。

 触れない扉を無視し、部屋の外に抜け出る。
 小さな窓から光が入るのみの薄暗い廊下。
 鏡介と同じように、他の部屋も住人もまだ眠っているようだ。
 朝の時間に感謝するのと同じくらいの価値がある、朝の惰眠。
 ま、それも休日ならではか。

 とりあえず……

 階段をふわりと降り、玄関から外に出る。

 一人だけだが、散歩に出かけることにしよう。

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状況・解説
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 各務功の初登場EPになる予定です。
 各務が朝市に出店することで、どんなキャラクターたちと縁をもつことに
なるか。
 登場人物は限られてはいますが、吹利商店街の朝市での風景など今までに
はみられなかった吹利の一面が見えることになるかと。

    こうしたら良いよ、という案があればおしえてください。
    つたない文であることはお許しください(笑)


  いずみでした
  <izumi@mahoroba.ne.jp>
  いずみの素描部屋
  <URL:http://www2.mahoroba.ne.jp/~izumi/>


    

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