[KATARIBE 14099] [WP01P] 「悪夢」

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Date: Wed, 7 Jul 1999 07:45:17 +0900
From: タイガ  <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 14099] [WP01P] 「悪夢」 
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <199907062245.HAA23450@www.mahoroba.ne.jp>
X-Mail-Count: 14099

99年07月07日:07時45分13秒
Sub:[WP01P]「悪夢」:
From:タイガ


ども、タイガです。
こんにちは。

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「悪夢」
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発端
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夕方。山の手線の電車にて。

 吹子		:「あ?」

座席に座って寝ている中年男性の髪が、不意に燃え上がったのを見て
思わず叫ぶ。

 友人A		:「どうしたの?」
 吹子		:「みえ、ないの?」
 友人B		:「なにが?」

だが、まわりの友人達は、いやその本人も含めて自分以外の乗客全てが、
今も燃えている、その黒い炎に気付いていない。

 吹子		:「だって……あ!?(黒い、炎!?)」

見直して、ようやく気付く。
黒い炎など自然に存在する筈が無い。

 友人A		:「……?(訝しげ)」
 吹子		:「なんでも、ない……」

彼女は何とかそういった。

 吹子		:「(錯覚、よね……)」

だが、その炎は自身の存在を誇示するかのように、
さらに烈しく燃えあがり……

 吹子		:「(咲い、た……?)」

そう。まるで、蕾から花が咲くように、ゆっくりと
左右に広がって……

 吹子		:「…………」

魅せられたように、片手をその炎へと伸ばす。
と、炎がふわりと舞い上がり、差し伸べられた
その手にとまる。

 吹子		:「あつっ」

一瞬、蝶のように『羽ばたいた』その炎は、花に止まる蝶のように
吹子の手に止まると、そのまま消えてしまった。
一瞬の、焼けつくような痛みだけを残して……。

 友人A		:「ふうちゃん?(心配そう)」
 吹子		:「な、なんでも、ない……(今の、一体……?)」
 友人B		:「ほんとに大丈夫?(こっちも心配そう)」

と、駅に着き、乗客の一部が、外に出て行く。

 友人A		:「あ、席空いたよ。座ろ」

と、促し、3人とも椅子に座る。

座ってしばらくして、右手に違和感が起きる。
不思議に思って、手を見ると……。

 吹子		:「!!」

右手に黒い炎が纏わりついている。
ちらちらと透明感のある黒い舌が、その右手を舐めていく。

 吹子		:「ひっ!!」

熱さは感じない。……いや、感覚そのものが、ない。
自然にはありえない黒い炎は、熱を感じさせる事もなく、その右手を焼き、
食い尽くしていく……。

 吹子		:「いやぁっ!!!」
 友人A		:「ふうちゃん!?」
 友人B		:「ふうちゃん大丈夫?」

と、唐突に炎が消える。
焼かれた筈の右手も、元に戻っていた。

 吹子		:「え……?」
 友人A		:「どうしたの? 随分うなされたけど……」
 吹子		:「!?」
 友人B		:「もしかして、寝不足?」
 吹子		:「そんな、だって……」
 友人A・B	:「???」
 吹子		:「……なんでもない」

それからは何事もなく駅に着いた。

 友人A		:「今日ははやく帰って寝た方が良いよ?」
 吹子		:「うん……(疲れてるのかな)」
 友人B		:「じゃ、また明日」
 吹子		:「バイバイ」
 友人A		:「じゃあね」

半ばフラフラと、道を歩いていく吹子。
交差点に差し掛かり、赤信号に気付いて立ち止まる。
と、

 吹子		:「!?」

赤信号なのに、脇を摺り抜けて歩いていく気配。
目を凝らすと……

 吹子		:「ひっ」

「全ての信号が赤の時は、死者が通る時間」
そんな噂を聞いたのはいつの事だったろうか……。

後頭部がぱっくりと裂けた少女が横断歩道を渡っていく。

 吹子		:「いや……」

顔の半分が欠け落ちた男性が道を渡ってくる。

 吹子		:「いやあぁっ!!!」

叫ぶ吹子に気付いた死者達が、ゆっくりと振り返る。
失われた右目の空洞から涙のように黄色い液体を流している青年。
ちぎれた左腕を、右手で持っている女性。そして、つぶれた腹から
内臓がはみ出ている老婆……。
そんな死者達が、吹子を見つめ……にやりと笑みを浮かべる。

気がつくと、信号は青になっていて、怪訝そうな視線を送りながら
人々が道を渡っていく。

 吹子		:「…………(怯え)」

吹子は逃げるように走っていった。

倒れる少女
---------

ふらふらと、憔悴しきった表情で歩いていた少女が、
不意にバランスを崩したように道の真ん中で倒れた……。

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 という所で切ります。
 まぁ、よかったら誰か拾ってあげて下さい。
 でないとこのまま衰弱死するんで。

 ちなみに、コクシチョウが見せる夢は、見ている本人によって決まります。
 したがって、例えば夢の中のコクシチョウがまるで個性ある人間のように
振る舞う事もありますが、コクシチョウ自身に個性(人格?)があるわけでは
ありません。





    

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