[KATARIBE 14006] [WP01] EP 『ちょっと散歩に』

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Date: Fri, 2 Jul 1999 19:39:19 +0900 (JST)
From: "高島 英彦" <takashim@cc.tuat.ac.jp>
Subject: [KATARIBE 14006] [WP01] EP 『ちょっと散歩に』
To: kataribe-ml@trpg.net
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こんにちは、高島です。沙桐悠介の紹介的なエピソードが出来たの
で(未完ですが)提出。エピソードってこれでいいんでしょうか。


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[WP01] エピソード『ちょっと散歩に』
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登場人物
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 沙桐悠介(さとうゆうすけ) : 終末の住人。「鉄拳」の大男

本編
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 悠介    :「あ、食べるものがない…」

 日曜の朝、冷蔵庫を開けた悠介の第一声だった。
 小さな冷蔵庫の前にかがんでのぞき込んだ冷蔵庫の中身は、味噌
とマーガリン、卵が2つ、牛乳がパックに半分、それしかなかった。
昨日は勉強とバイトで買い出しに行く時間がとれなかったのだ。

 今日はまず食料品の買い出しに行くことにした。

 悠介の朝は早い。大抵4時には起きている。それはそれでいいの
だが、今日のように早く買い出しに行きたいときには店の開店時間
までが待ち遠しかった。
 マーガリンをのせて醤油をかけた炊き立てのご飯2合と溶き卵を
いれた味噌じるをかき込んで牛乳半パックを飲み干すと、取りあえ
ず空腹は収まった。

 悠介    :(野菜も取らなきゃだめって姉さんが
       :言ってたなぁ。) もぐもぐごっくん

 洗濯して掃除して7時。開店まではまだ2時間ある。勉強でもし
て待とうか、とも思ったが今日はやめておくことにした。開店まで
家の周りをぶらぶらしてる事にして悠介は家を出た。

 そういえばここ数日というもの、家に居て机の前に座っているか、
外に出ても図書館で調べ物をしているか日雇いのアルバイトばかり
で、自分が住んでいる場所を落ち着いて見回してみる事がなかった。

 悠介が住んでいるアパートは最寄りの駅が新宿から40分ほどと、
立地条件のそこそこよい住宅地の中にあった。一応、東京23区に分
類される地点なのだが、都心から少し離れただけで悠介の主観的に
はここを実家の仙台と比べて「都会」とは感じられなかった。

 日曜日の朝7時頃は平日と違い通勤通学で駅へと急ぐ人影もなく、
たまにすれ違うジョギング中の人と挨拶を交わす他は、鳥のさえず
りだけが悠介の耳に入る音だった。もう少し経てばあちこちで炊事
や洗濯の音が聞こえだすことだろう。今日のような天気の良い日の
早朝は悠介の好きな時間帯だった(悠介に嫌いな時間帯などあまり
ないのだが)。

 住宅地らしからぬ起伏の多い土地だが小高い坂の上から街並みを
一望できるため、悠介はそんなところも気に入っていた(悠介に地
理の不平不満などあまりないのだが)。

 てくてくてくてく。
 散歩の時間は充分あるのだ、気の向くままに歩く。

 てくてくてくてく。
 いつもより少し足を延ばすと、新鮮な風景が広がっていた。

 砂場に子供の遊び道具が放りっぱなしになっている公園があった。
 こんなところでもいかにも「お屋敷」という邸宅があった。
 丹誠込めて手入れをされているらしい盆栽があった。
 家族連れが車でどこかに出発するところだった。
 野良猫の集まっている空き地があった。
 立派な家庭菜園があった。

 空き缶が落ちていた。


 空き缶入れならさっき悠介が通ったところにあった。

 空き缶を拾う。

 てくてくてくてく。

 ぴた。

 ………

 悠介    :「ここ、どこだろう?」

 道に迷っていた。

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解説
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 沙桐悠介がどういうキャラであるかのお披露目を第一の目的とし
たEPです。
 まだ未完ですが、ここから誰かのところにつなげそうなので
いったん止めておきます。(このままオチにしてもいいかな、とも)

時系列
 (未設定)

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     東京農工大学工学研究科修士 高島英彦

また日曜日に試験。なぜだか鬱


    

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