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Date: Wed, 30 Jun 1999 18:45:08 +0900
From: shiva@imasy.or.jp
Subject: [KATARIBE 13958] [HA06] [EP] 拾いもの
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <3779E7242D0.26FASHIVA@mail.multi.gr.jp>
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ども、ハリ=ハラです。
前に立ち消えたみかんを拾うエピソードです〜。
って、一人でやれば良いものを、巻き込んでゴメンヨ、ERにゃ〜(汗)
拾いもの
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雨
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“車軸を流す”と言う言葉がある。
吹利の町並みは、まさに、そのような雨に包まれていた。
ほんの30分も前迄は雨の気配も無く、傘の用意の無いものは、みんなコンビ
ニへ傘を求め、またどこぞの軒先で雨宿りをし、俄かの豪雨をしのいでいた。
もっとも中には、家が近いのか濡れるのも構わず勢い良く雨の中を駆けてい
くものも居る。
前野も、傘も差さず、雨宿りもせず、言わば『走って行く』連中に含まれた。
だが……
前野 :(パシャッ…パシャ…パシャッ…)
足取りは至ってゆっくりと。
それも、アーケードも軒先も無い裏道を歩いて行く。
わざわざ、濡れて歩くようなものだが…
前野 :「春雨じゃ、濡れて参ろうか…てか…」
どっかで聞いたような聞かない様な台詞を呟くと、鼻歌まじりで歩いて行く。
……馬鹿かおまいは(^^;;
裏道なればこそ行き交う人も居るまいが、雨の中でこんな……黒ずくめに
サングラスをかけて、びしょ濡れになりながら鼻歌まじりで歩く男に会ったら、
さぞかし気味悪く思うだろう。
前野 :「〜〜♪」
分ってるのか分って無いのか、のんびりと角を曲がる。
雨脚は、一向に衰える気配を見せない。
と
前野 :「??」
ぴたりと足を止める。
前野 :「……………」
SE:ザァァァァァ…
聞こえるのは、雨音、通りを走る車の音、どこかの庭木が風に揺れる音。
それと、微かにもう一つ
前野 :「なんてこった…(汗)」
そこにいたのは、赤毛の仔犬
定番とでも言うべきか、『愛媛みかん』とラベルの張られた木箱に、汚れた
毛布が敷かれている。一応の雨除けだったのか、ダンボールの覆いがしてあっ
たようだが、それもこの雨でぐずぐずになり、すっかり濡れて震えている。
前野 :「おい、大丈夫か?」
仔犬 :「キュ〜ンキュ〜ン…(ぶるぶる)」
思わずしゃがみこんで、声をかける。
なんとなくサングラスを仕舞い、手を伸ばして背中を撫でる。
濡れて震えている。
仔犬は、助けを求めるように鳴きながら、濡れた目でじっと見上げる。
前野 :「いや…そんな風に見られても、拾って良いかどうか分ら
: んし…(汗)」
仔犬 :「クゥ〜ン……(くてっ)」
言ってる事が分るのか、ただそう見えるだけなのか、残念そうに鳴くと、身
を伏せる。
前野 :「う゛…………う〜〜ん…しょうが無いな…(溜息)」
箱の中に手を入れて、震えている子犬を抱え上げる。
其処に敷かれた毛布はすっかり水を吸い、その感触が不快だった。
前野 :「ほっといたら…なぁ…」
死なれても夢見が悪い。
そんな風に自分に言って、上着のボタンを外すと、胸元に仔犬を抱きかかえる。
ワイシャツを通して、小さな体の震えが伝わって来る。
こちらもびしょ濡れとは言え、雨に直接あたるよりはマシだろう…
前野 :(とりあえず、どっかの軒先で雨宿りをしよう…)
背中を丸め、仔犬を庇うようにして走り出した。
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てぇところで、瑞鶴の風景、おねがいっ
てけーとからんでちょ〜(無責任無計画)
んでは
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ハリ=ハラ
shiva@imasy.or.jp
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