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Date: Tue, 29 Jun 1999 17:36:49 +0900
From: "E.R" <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 13934] [HA06P] 「猫には長靴」 
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <199906290836.RAA03477@www.mahoroba.ne.jp>
X-Mail-Count: 13934
99年06月29日:17時36分46秒
Sub:[HA06P]「猫には長靴」:
From:E.R
 こんにちは、E.Rです。
 BOBUさん、こんにちは。
 ちょっとつぼにはまりましたので、この方お借り致しました。
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エピソード「猫には長靴」
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登場人物
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 譲羽(ゆずりは) :少女人形に宿る木霊。
 あごひげの生えた猫:…………?
本編
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 さあさあと降っていた雨がやんだのは、もうとっぷりと暮れた後だった。
 
 譲羽     :「ぢいぢいぢいぢ……(何か歌ってる)」
 というわけで、レインコートと長靴で完全装備した譲羽が、路地裏を嬉しそ
うに歩いてたりする。
 長靴といっても、花澄が訪雪やブラッド(模型、フィギュア等の大家(笑))
から知恵を借りて作ったもので、水こそ漏らないものの、多少譲羽の足には大
きい。そこで、譲羽は靴をはいた上から、長靴を履く。
 かっぽんかっぽん、と、だから一足ごとに音がする。
 それが嬉しくて、譲羽はなおさら跳ねるように歩く。
 と。
 譲羽     :「……ぢ?」
 路地には、何だかさみしいような街灯が一つ点っている。
 その光の向こうからやってくる……小さな、影。
 それは段々近づいてくる。
 譲羽     :「……ぢい……(ねこさんだ)……」
 それは確かに猫で、悠々と後ろ足で立って、こちらに歩いてくる。
 近づくにつれ、もう一つの特徴がはっきりしてくる。
 譲羽     :「ぢい……(おひげがはえてる……)」
 本当に、猫のあごには立派なひげが生えていて、それが胸元までたれている。
 譲羽     :「…………(じーーーーっ)」
 とことこと歩く猫。
 ふい、と花澄に読んでもらった本を思い出す。
 題名は…………「長靴を履いた猫」。
 ところが、目の前の猫は、長靴を履いていない。
 譲羽     :「ぢいっ(ねこさんっ)」
 猫      :(?)
 譲羽     :「ぢいぢいぢいっ(ねこさん、ながぐつあげるっ)」
 よいしょ、と長靴を脱いで、両手で揃えて持つ。
 街灯の光の中で、猫は小首を傾げている。
 あごひげが、光の中でことさら目立つようである。
 譲羽     :「ぢいぢいぢっ(歩くねこさんは、ながぐつがいるのっ)」
 猫      :(…………)
 とん、と手渡された長靴を、はてな、というふうに猫は眺めていたが、しば
しの後、よいせ、と後ろ足にはめた。
 譲羽     :「ぢいっ(とくいとくい)」
 猫      :(………………)
 正直、猫の足にはそれこそ大きすぎて、歩くどころではないのだが。
 譲羽     :「ぢ……ぢいっ(じゃ、またねっ)」
 そのまま……いつもの靴(半分防水)を履いて跳ねながら歩いて行く木霊の
少女を見送ってから、猫はちょっと小首を傾げて、足元を見た。そして長靴を
脱いで、前足二本にはめると、こちこちぶつけながら歩き出した。
 遠くから聞こえる、少女の跳ねる足取りに合わせながら。
 
 
 雨のあがった宵闇の中の風景である。
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 てなもんで。
 ……しかし、書きながらふと思ったんですけど。
 登場人物って……人物いないじゃん(笑)
 ではでは。