[KATARIBE 13769] [HA06P] 「瑞鶴、千客万来」

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Date: Wed, 23 Jun 1999 19:24:05 +0900
From: "E.R" <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 13769] [HA06P] 「瑞鶴、千客万来」 
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <199906231024.TAA20954@www.mahoroba.ne.jp>
X-Mail-Count: 13769

99年06月23日:19時23分56秒
Sub:[HA06P]「瑞鶴、千客万来」:
From:E.R


こんにちは、E.Rです。
IRCログの1999:0621:23:20:01〜1999:0622:00:10:11
から、作成したEPです。
 
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 エピソード「瑞鶴、千客万来」 
 ======================== 
 
 瑞鶴に至る道…? 
 ---------------- 
 
 瑞鶴、という店は、そうそう流行っている店には見えない。 
 ただ、本好き(好事家含む)に根強い固定客がいる、というのも事実である。 
  
 というわけで。 
 
 観楠     :「多分なあ、あそこで手に入らへんかったらどこにもない」 
 郁代     :「そも、そんな雑誌が二十年、残ってる筈が無いと思うけ 
        :どな」 
 観楠     :「だあっ、うるさいっ」 
 美々     :「郁ちゃん、身も蓋も無い(^^;)」 
 
 本来、暮れて良い筈の日が、まだこの時期だと充分明るい。 
  
 観楠     :「ここや、瑞鶴」 
 郁代     :「……あ、ここ本屋か……」 
 
 表の長いひさしの下に、幾種類かの雑誌。 
 からからと、硝子戸を開ける……と。 
 
 花澄     :「いらっしゃいませ」 
 
 重なるように、にゃあ、と、それはそれは愛想の悪い声で、猫が一声鳴いて 
のそのそと脇に避けた。 
 その向こうに、愛らしい少女が一人。 
 そして、黒ぶち眼鏡の、エプロンをつけた男。 
 
 みかん    :(くんくん) 
        :「ごほんの匂いがするの。としょかんと一緒なの〜♪」 
 店長     :「……うーん(苦笑)それも困るんだけどな」 
 みかん    :「そうなの?」 
 店長     :「……まあね(苦笑)」 
 
 一応、古本屋ではないのだから……との内心は、流石に口には出さない。 
 というか……出せたものではない。 
 
 花澄     :「あ、いらっしゃいませ、観楠さん、美々さん(にこ)」 
 観楠     :「あ、ども」 
 
 レジの前の女性に返事をする観楠をちょっと避けて、郁代は本棚を見る。 
 本棚の横に、抑えた色合いのポスターが張ってある。 
 
 郁代     :「……お、ミュシャの画集か」 
 花澄     :「絵画集を、お探しですか?」 
 郁代     :「あ、いえ……あれ?」 
 
 どこかで見た顔である。 
 女性……花澄のほうは、気がついた風もない。 
 
 観楠     :「花澄さん、あのすげー無理なお願いなんですけど」 
 花澄     :「はい?」 
 観楠     :「ホビージャパンの創刊号とSF3Dのムック本て、手に 
        :入りませんか?」 
 花澄     :「ホビージャパンの……(メモっている)」 
 店長     :「………(小耳に挟んでいる)………(これは、湧くの待 
        :ちだな)」 
 
 どちらも20年くらい前の雑誌だったりするのである。 
 
 花澄     :「…ちょっと私では分からないんですけど……店長に聞い 
        :ておきますね」 
 観楠     :「お願いします」 
 
 ここしか、後はなさそうなんで……と、言いかけた観楠のほうに。 
 
 郁代     :「観楠、この人と知り合いかいな」 
 花澄     :「…………?」 
 
 改めて、花澄は三人目のお客を見る。 
 見て………… 
 
 郁代     :「……?」 
 花澄     :「…………(あれ?……何処で見たっけ?)」 
 
 既に「眉間にしわ」状態である。 
 
 美々     :「ん、ん?(二人を見てる)」 
 
 …………と。 
 
 花澄     :「………………(ぽむ)……あ、がくあじさい見てた方 
        :ですね(笑)」 
 
 数日前、夕刻。届け物の帰りにがくあじさいのところで出くわした男性である。 
 
 郁代     :「あ!そうか、アジサイのひとか!」 
 観楠     :「ん?」 
 郁代     :「……(へー、ここにいるんだ……)」 
 花澄     :「いえ、この前、がくあじさい見つけて、見てた方……… 
        :…ですよね?」 
 
 とたんに弱気。 
 
 郁代     :「はい、そうですよ(笑)」 
 美々     :「んむむ……(すすすす)……邪魔しちゃいけなさそな雰 
        :囲気」 
 
 ……気の回しすぎです。 
 
 郁代     :「姫?どこへいくのですか?」 
 美々     :「んふふふ……(微笑)」 
 花澄     :「あ……と、美々さんのお知り合いですか?」 
 郁代     :「……(汗)」 
 
 
 店長     :「?(なんだ?)」 
 みかん    :「〜♪」(本棚の間を、うろちょろ(笑)) 
 
 気にしている一名と、全く気にしていない一名と。 
 
 
 郁代     :「あれ?姫のおしりあいですか?」 
 観楠     :「んで、なに?花澄さんと知合い?」 
 郁代     :「そう、あ、かすみさんてゆーんだ。」 
 美々     :「(こくこく)……んふふふふ……(すすすす)」 
 花澄     :「えーと、美々さんには、雪骨貰って頂いて……えと、 
        :こちらの方は……」 
 
 はた、と、そこで花澄が言葉に詰まる。 
 
 花澄     :「……すみません、こちらの方のお名前は……(汗)」 
 郁代     :「……姫、そうやって後ろにかくれるのは止してください 
        :(笑)」 
 美々     :「あ、直接聞いたほうがいいんじゃないかなと思います〜 
        :(微笑)」 
 郁代     :「あ、申し遅れました、私滝郁代ともうします。」 
 花澄     :「こちらの店員の、平塚花澄と申します」 
 
 
 本、発見 
 --------- 
 
 さて、全く気にしていない一名様…… 
 
 みかん    :「あっ☆」 
 
 本棚の前に立ち止まって、しげしげと眺めていたかと思うと、 
 
 みかん    :(ぐいぐい) 
 
 小さな手を本と本の間に突っ込んで、本を引っ張り出そうとしている。 
  
 店長     :「……(何だか混乱しているなあ)…あ、ちょっとまった」 
 みかん    :「??」 
 店長     :「取ってあげるから、ちょっと待って」 
 みかん    :「うんっ」 
 
 ひょい、と少女が避けて、本棚の前に場所を作る。 
 少し引っ張って、店長は原因を見付ける。 
 本の表紙が……これはすべりが悪いのだろう。 
 
 店長     :「……(よっこいしょっと)……ほら、取れた」 
 みかん    :「わ〜い☆」(なでなで) 
 店長     :「……(ってこれは(汗))」 
 
 
 一方。 
 
 花澄     :「あ、そいえば雪骨、元気ですか?(笑)」 
 美々     :「あ、元気元気です、ありがとうございます〜(笑)」 
 
 ぬいぐるみに「元気」もないものなのだが…… 
 
  
 陰謀、もしくは気の回しすぎ… 
 ------------------------- 
  
 郁代     :「……なんか初めてあった気がしないですね(笑)」 
 花澄     :「…………そうでしょう……か」 
 
 はて、と花澄は首をひねる。 
 他人様の顔を覚えている、というのは、これはこれでなかなか厄介である。 
というか……ぼーーっとしているのが常である人間としては、相手が覚えてい 
るような場合でも、そも、「憶えよう」という意識が無かったりする。 
 結論。忘れている可能性は高い。 
 
 郁代     :「……気がします、ていう程度ですよ(笑)」 
 花澄     :「……あ、成程(苦笑)」 
 郁代     :「って、姫、後ろで不気味な笑い声をたてないでください 
        :(笑)」 
 美々     :「んふふふふふ……」 
 
 女子高生が、なにやら企んでいるような顔で、微笑んでいる。 
 結構……それなりに怖かったりする。 
 
 花澄     :「…………美々ちゃん?(汗)」 
 美々     :「……はぁい?(笑)」 
 花澄     :「……どしたの?」 
 美々     :「いえ、何でもー……(すすすすす:移動)」 
 花澄     :「?」 
 観楠     :「……(ぐいぐい)」 
 郁代     :「なんや?」 
 
 引っ張って、奥の本棚のほうに移動。 
 レジの前の花澄からは、自然、声が遠くなる。 
 
 観楠     :「新手のナンパか?(小声)」 
 郁代     :「(小声)あほか!」 
 美々     :「あ、パパさん、あかんて(小声)」 
 郁代     :「(小声)姫まで何をいいだすのですか?」 
 観楠     :「いやだって、どーみてもこいつ花澄さんに粉ふってるし 
        :(小声)」 
 郁代     :「(どこがや!)」 
 観楠     :「お前の目がいいのは認める(ぽむ)でもなあ、花澄さん 
        :はガード堅いぞ(小声)」 
 美々     :「こんな郁ちゃん、はじめてやねんもん、もすこし待って〜 
        :(小声)」 
 郁代     :「(……あいさつしてるだけやのに……)」 
 
 花澄     :「…………(どうしたのかな?)」 
 
 
 さて一方、店長の方は、しばしみかんの手にある本を眺めている。 
 皮張り鍵付きの本。 
 如何にも、訳ありげな。 
 
 店長     :「……この本でいいのか?」 
 みかん    :「うん、このごほんくださいな(にこにこ)」 
 
 沈黙。 
 
 みかん    :「おねがいします(にっこり)」 
 
 なおも、沈黙。 
 この手の本を、小学生に買わせてよいのか。 
 店長の論理では、否、と出る。 
 理由其の一、小学生が買うには、あまりに高価な本である。 
 理由其の二、よしんば、買えるほどのお金を持っていたとしても、 
それを人前で財布から出すところに大いに問題がある。 
 そして、それが問題であると判断できる時に、その行為を行わせるべきでは 
ない。 
 
 店長     :「……(平和な国だな、ここは)」 
 
 ひどく厳しい表情は、けれども一瞬で消えた。 
  
 さて、花澄のほうは、というと。 
 先程から本棚の向こうでごそごそ交わされている会話が気になって仕方が無 
かったりする。 
 失礼なことだ、と、自分でも思うのだが…しかし、自分の名前がこそこそと 
聞こえてくるというのも、気になるもので。 
 というわけで、レジの前からそっと抜けて、三人の方へ。 
 そーっと、近づいて。 
 
 花澄     :「……あの……観楠さん?」 
 郁代     :「(なんかいんぼーの気配がする……)」 
 観楠     :「あ、はい、なんでしょう?(汗)」 
 郁代     :「(小声)貴重な情報ありがと」(あきらめモード) 
 花澄     :「先程から何を?」 
 
 真正面から聞かれると、観楠としても困るわけで。 
 
 花澄     :「何か、不都合ありました?」 
 郁代     :「いや、別に(笑)」 
 観楠     :「あ、あー、えー……男の会話てやつでして(ははははー)」 
 花澄     :「…………はあ(本屋で男の会話ってなんだろう……)」 
 
 本屋で男の会話。 
 考えると…………ちょっと怖い。 
 
 美々     :「いーえ、偶然の再会って感じだったので、話が弾むか 
        :なぁって思ってんけど……」 
 郁代     :「はずみませんって(笑)」 
 観楠     :「……ち、つまらん」 
 観楠     :「なんなら俺達、そこの茶店で待ってるけど?(笑)」>郁代 
 美々     :「……挨拶しただけやねんもん(小声)」 
 
 そらまあ、挨拶くらいしか話すことがないのだから仕方が無いというものである。 
 
 
 初めてのお客様 
 --------------- 
 
 と、硝子の引き戸がゆる、と開いて。 
 
 鏡介     :「………暑かった」 
 
 赤く染めた髪と、対照的に青白い顔色の青年が入ってくる。 
 店長にとがめられる前に、花澄がレジの前の定位置に戻る。 
 
 花澄     :「あ、いらっしゃいませ……って」 
 鏡介     :「…ああ、こんにちは。 
        :(途端に涼しくなった気がするな)」 
 
 周囲3mの春は、健在である。 
 
 花澄     :「…あの…?」 
 鏡介     :「……この間はどうも」 
 
 ベーカリー楠で出会った青年の、顔というよりもその髪の色を覚えている。 
 
 花澄     :「ご無事でしたか(笑)」 
 鏡介     :「…今日もなんとか生きてるよ」 
 
 およそ表情に欠けた声でそう言うと、そのまま雑誌を立ち読みし始めた。 
 
 
 さてまた一方店長のほうは、というと。  
 
 店長     :「……しかしなあ……みかんちゃん、これ、お兄さんと一 
        :緒に買ったほうがいいぞ」 
 みかん    :「う〜ん‥‥でも、売れちゃう‥」 
 店長     :「いや、みかんちゃん予約、で取っておいてあげるから」 
 みかん    :「じゃあ、おにーちゃんと一緒に来るの(にこっ)」 
 店長     :「ああ、ちゃんと取っておくから、いつでもおいで」 
 みかん    :「おねがいします(ぺこっ)」 
 店長     :「うん(微笑)……ああ、そうだ……花澄」 
 花澄     :「はい?」 
 店長     :「これ、予約にしといてくれ」 
 花澄     :「あ……はいはい(笑)」 
 
 レジのところで本を受け取る。紙切れに大きく「前野みかん」と書き込み、 
ゴムバンドで本に止め付ける。 
 レジの前でじーーっと見ていたみかんが、嬉しそうににこっと笑った。 
 
 花澄     :「で、これ、このレジの中に置くから…大丈夫でしょ?」 
 みかん    :「うんっ(にこっ)」 
 
 と、やってる間にも、本棚のところでは。 
 
 郁代     :「……何を期待しとるんだ……おめーわ……」 
 観楠     :「美々ちゃん、コーヒーでも飲みに行こうか?(笑)」 
 美々     :「あ、そうしましょ〜(すすすす)」 
 郁代     :「姫、このようなオヤジについっていったらどうなること 
        :か……」 
 観楠     :「いや。なんか2人ともわけありっぽいかなー、て思うや 
        :ん(小声)」 
 美々     :「うんうん」 
 郁代     :「……姫……」 
 
 花澄     :「……(何揉めてるんだろう)」 
 店長     :「……(三人組の会話から、内容を理解したらしい)」 
 
 郁代     :「わけありもなにも、初めて会話するちゅーのに…… 
        :(小声)」 
 観楠     :「んでまあ。ここはその道の先達である俺様が気ぃきかせ 
        :てやろう、と(笑)」 
 郁代     :「おめーの轍はふみたくね〜」 
 店長     :「…………(気をきかせるだけ無駄だろうになあ……)」 
 
 
 一人帰り、二人帰り…… 
 ---------------------- 
 
 みかん    :「(からから)じゃあ、さようなら(ぺこっ)」 
 花澄     :「あ、じゃ、またね(笑)」 
 
 全員に加えて、入り口近くでふてている猫にも一礼して、みかん嬢が去る。 
 それを見送って……花澄は少し眉間にしわを寄せて、やはりごそごそやって 
いる三人を見やる。 
 
 観楠     :「つーわけで、まあがんばれや(笑)」 
 郁代     :「だーらなにをだ」 
 美々     :「じゃ!」 
 郁代     :「(……)」 
  
 店長が、妙な顔をしているのが、尚更に気になって。 
 もう一度、レジのところから、本棚へと移動する。 
 
 花澄     :「…………………あの?」 
 観楠     :「あ、そんじゃ花澄さん。ええと、こっちの小説とハード 
        :カバーの本いただいていきますわ」 
 花澄     :「あ、はい、ちょっとお待ち下さい」 
 
 やはり小首を傾げながらも、本を受け取って花澄はレジへと逆戻りする。 
  
 観楠     :「上手くやれよ(ぐっ)」 
 郁代     :「……いんぼーのかほりがする……」 
 美々     :「あ、あたしは郁ちゃんにお願いしてますんで〜」 
 郁代     :「(……姫はなんか変に気をまわしておられるようだし… 
        :…)って、姫!本の題名をきいてませんよ!」 
 美々     :「おーるあばうとでぃっくぶるーなー」 
 
 って美々ちゃん、発音がまとめてひらがなだ(苦笑) 
 
 花澄     :「(カバーかけて、袋に入れて)……はい、どうぞ」 
 郁代     :「……おーるあばうと……?」 
 花澄     :「あと、先程の雑誌、探して見ますから(笑)」 
 観楠     :「どうも〜〜(笑)んじゃ、郁代。そこで待ってっからな〜 
        :〜(ははは)」 
 郁代     :「(観楠に向かって)……おぼえとれよ(ニヤリ)」 
 
 じゃ、どうも、と、美々が一礼して、そしてそこで硝子戸が閉まる。 
 店長が静かに溜息をつく。 
   
 花澄     :「……ああ、ディック・ブルーナーの」 
 郁代     :「ご存じですか?」 
 花澄     :「はい、こちらにあると……あ、あったあった」 
 
 「うさこちゃん」といえば、大概の人が知っているだろう絵本の作者である。 
 
 郁代     :「……ああ、ウサギの絵本か……」 
 花澄     :「これで宜しいですか?(にこにこ)」 
 郁代     :「はい。ありがとうございます(笑)」 
 花澄     :「……(袋に入れて)……はい、どうぞ」 
 
 
 と……。 
 
 鏡介     :「…死体写真集だ、珍しいな。」 
 
 雑誌の段から画集の段へと目を移した鏡介が、不意に声をあげる。 
 さっきまで無表情に近かった目に、今度ははっきりとした光がある。 
 
 鏡介     :「これ下さい」 
 花澄     :「はい……(何でこんな本があるんだろう(汗))」 
 店長     :「…………(えらい執着だな(汗))」 
 
 知る人ぞ知る「本の湧く本屋」瑞鶴でも、こう急激に本がやってくることは 
めったにない。 
 その人の執着が、えらく深いか……その本が他では生き延びられないか、で 
ある。 
 
 店長     :「…………(何となく、後者という気もするな(汗))」 
 
 という内心に、まさか気がつくわけも無く。 
 
 鏡介     :「(目が食い入るように見入っている)………」 
 花澄     :「……(汗)……えと、袋にお入れしましょうか?」 
 鏡介     :「……? あ、ああ、お願いするよ」<袋 
 花澄     :「…………(すとん、と袋に入れて)……はい、どうぞ」 
 鏡介     :「……」(本を受け取ってふらふらと出ていく) 
 花澄     :「……(^^;)」 
 
 
 最後に一人 
 ---------- 
 
 鏡介が出て行くのを見送ってから。 
  
 郁代     :「……あ、すみませんミュシャのこの画集の予約ってでき 
        :ますか?」 
 花澄     :「あ、はい、出来ますけど…その画集ですか?(ポスター 
        :を示して)」 
 郁代     :「はい」 
 花澄     :「じゃ、予約しておきます(にこにこ)」 
 郁代     :「よろしくお願いします(笑)」 
 花澄     :「えーと、お名前は…滝、郁代さん、で、宜しいですね? 
        :……あの、連絡先は」 
 郁代     :「あ、じゃあ書きますね(かきかき)」 
 花澄     :「あ、どうも」 
 
 予約票を受け取って。 
 
 花澄     :「じゃ、入荷しましたらご連絡差し上げます」 
 郁代     :「はい、宜しく」 
 
 後は、何となく一礼して、そのまま硝子戸を開けて。 
 
 花澄     :「ありがとうございました」 
 
 からからと、閉める戸の向こうで、大きな猫がぬうと立ち上がり、戸の前へ 
と移動したのが見えた。 
 
 郁代     :「……今度は……一人で来るか(笑)」 
 
*********************************************** 

 以上。
 かなり手を加えてますので、関係者各位、修正、訂正宜しくお願い致します。

 であであっ(びっ)




    

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