[KATARIBE 13465] [WP01][Novel]

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Date: Sun, 13 Jun 1999 03:33:18 +0900
From: "Shigeki Asano(S.Torino)" <spiritof@pd.highway.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 13465] [WP01][Novel]
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ども、ささみですー。
とりあえずの雨下津統和のバックボーン小説『蠅』です。
今回はプロローグ。

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『蠅』
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0.プロローグ、プロローグ


それは八月の熱い日。
耳に残るのは、蠅の、羽音…。

その日、僕はいつものように帰宅し、それを見つけた。
カーテンが閉め切られた、しかし強い西日がカーテン越しに光を注ぎオレンジ色に照
らされた六畳の部屋の奥でそれは、壁に背をつけ、座り込み、こちらを見据えてい
た。
カーテン越しの淡い光を受け、それの体はてらてらと艶っぽく光っていた。髪は濡れ
たようにべったりと額に張り付いており、そこから染み出した赤っぽい液体が、首を
つたい、白い開襟シャツとその下の丸首のシャツを赤く染めている。そして今度は
シャツから染み出したその液体が腕や足をつたい、六畳の部屋の畳をぐずぐずと濡ら
していた。
見開かれた瞳に、光はない。


それは僕の父だった。
しかしすでに人ではなかった。


ふらふらと僕はそれに近づいていく。
震える手でそれの肩を掴む。

ぐしゃ。

それは肩にかかった僕の手の重さで、潰れた。いともたやすく。
潰れるときに体から飛び散った液体の飛沫が僕の顔とシャツを赤く、黄色く汚す。
辛うじて頭半分が原型を留めていたが、それも触れようとした瞬間ぐずぐずと溶けて
いった。
あたりに不快な臭気が充満する。腐臭。
そして崩れたそれの体の中でもぞもぞと動くなにか。蛆。

僕は意識を失った。
最後に見たものはそれの体の中から孵化し飛び立つ、蠅。
最後に聞いたものは、蠅の、羽音…。



その時、俺は覚醒したのだろう。

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なんか、暗い^^;
統和14歳の時の出来事です。
幼児体験というには歳いった時のできごとですけど、サイコになる条件はばっちり^
^;
蠅の羽化にかかる時間とかそういうのは気にしてはいけません。
あくまで統和の記憶の中ではこうなってるということです^^;;

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