[KATARIBE 13399] [HA06][EP] 『明けない夜』訂正版

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Date: Wed, 09 Jun 1999 19:13:48 +0900
From: Masaki Yanagida <yanagida@gaia.fr.a.u-tokyo.ac.jp>
Subject: [KATARIBE 13399] [HA06][EP] 『明けない夜』訂正版
To: kataribe-ml@trpg.net
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 ども、D16です。
 不観樹さんの修正があったので、改めて訂正版を流します。

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 ○罠(3/29午後4時)
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 夕方のベーカリー楠。

 相変わらず常連がカウンターを占めている。
 シシャモパンをぱくついてる八神敦。
 真っ黒な衣服に身を包んでいるのは蒼月かける。
 ほかにも何人かが思い思いに時間を過ごしている。

 からからん

 観楠		:「あ、いらっしゃい」
 
 ワークベストに土埃の染み付いたジーンズ。一十だ。
 
 観楠		:「今日も、パンの耳(笑)」
 一十     :「いや、今日はこれからからだ使うんで食べます、クリー
		:ムパンとチョココロネとウグイスあんパンと正統あんパン
		:それにツイストドーナツにコーヒーロール。それにアイス
		:ミルクとパンの耳を」
 八神		:「結局パンの耳はかうんだな」
 一十		:「いや、空腹はこれでなんとかしてから味わって食べるん
		:ですよ」
 観楠		:「ほいほいと、そういやユラさんが捜してたよ」
 一十		:「なにか?」
 観楠		:「連絡をよこせって」
 一十		:「へぇ、薬の実験台かな」

 軽口をたたく一。しかし、観楠は気がつかないもののその表情に一瞬、憔悴
が見えた。

 観楠		:「あ、もう一つあった。尊さんがキノエちゃんの復帰いつ
		:頃になるかって?」
 
 何気なく、観楠は尋ねた。が、応える十は何か口ごもっていた。
 
 一十		:「もうしばらくかかるって、伝えて置いてください」
 観楠		:「もうしばらくしたら、おやつ食べに来るかも」

 と、かけるが顔を上げる。
 
 かける	:「あれ、あの子たち見たこと無いな」
 八神		:「またけものみみでもいたのかよ……。ああ、あれは一さ
		:んとこのキノエとキノト姉弟だな」
 かける	:「ふぅん。なんかけものちっくなんだけどなぁ」
 観楠		:「(まぁ、けものといえばけものなんだけどね)」
 
 からからん

 キノエ	:「ミツル!見つかったよ!」
 キノト	:「ねえさん!しーっ!」

 もごもごと暴れるキノエ。
 一十はくすりと笑うと、チョココロネを渡した。

 一十		:「疲れたろ、まず食べとけ。ここを出てから『喰わせて』
		:やるよ」

 二人は頷く。確かにこんなところで血や精気を分け与えるわけには行かない。

 観楠		:「ユラさんの方にどう伝えとく?」
 一十		:「あとからグリーングラスの方に行きます。そこでまたお
		:話を。よろしく。いくぞ、キノエ、キノト。案内してくれ
		: 観楠さん、それじゃ尊さんによろしく」
 キノエ	:「まふぁふひにふぁいっふぇうほ(まだ口に入ってるよ)」
 キノト	:「せっかちだよお、ミツル」

 からからん。きらり。

 かけるは視野の角に金属の煌めきを感じた。それは、キノエ、キノトと呼ば
れた姉弟の耳元で光っていた輝きだった。

 観楠		:「(トレイを片づけつつ)やれやれ、忙しい人たちだ」
 かける	:「お姉さんの方が、キノエ。弟さんの方がキノトくんです
		:か」
 観楠		:「キノエちゃんの方はお隣でアルバイトしてますよ」
 八神		:「それでもあんだけびんぼーしてるんだよな、あの人」
 かける	:「どこに消えるんでしょうね」
 観楠		:「食費だって直紀さんがいってたけど……。そういや、直
		:紀さん二日ばかり見ないなぁ」
 
 そして、またしばらく静かな時間が過ぎた。

 からからん。

 尊		:「こんにちは。おやつ食べにきました」

 明るい声に、きらきらと光を散らす黒髪。
 ベーカリーの人達の目を一瞬引き寄せる華のある表情。
 FlowerShop Mikoの女店長にして実は如月流退魔術直系第十六代継承者、如月
尊だった。

 観楠		:「あ、いらっしゃい。尊さん。店番はバイトさんに?」
 尊		:「(苦笑)んー、ちょっと。キノエちゃんまだ出てこれない
		:みたいだから」
 観楠		:「でも、もうすぐですよ。さっき、一さんが来てたけど、
		:なんか、見つかったらしくってキノエちゃんとキノトくん
		:一さん呼びに来てましたから」
 尊		:「そうですか……。
		: あ、クリームパンとチョココロネ。ミルクティもよろし
		:く」
 観楠		:「はい、どうぞ」
 
 かける	:「ふぅん、でもあのピアスは何か由来があるのかなあ」
 尊		:「えっ?」
 八神		:「よく、気が付いたな」
 かける	:「いや、光とねこみみには敏感な物で」
 八神		:「ねこみみと光にはのまちがいだろ」
 かける	:「しくしく」
 尊		:「キノエちゃん、元々ピアスなんてしてないわよ」
 かける	:「でも、あれは多分姉弟でそろいのピアスですよ」
 尊		:「だって、キノエちゃんたち金物が大の苦手なんだもの。
		:はさみもうまく使えないの。怖がっちゃって」
 八神		:「そりゃ、そうだろ。あの二人は風に雷両方とも五行の木
		:で金の気には克されるんだから」
 かける	:「……なんのことです?」
 八神		:「ああとな、あの二人は一さんの使い魔みたいなもんなん
		:だ」
 観楠		:「しょっちゅう一さんの方が使われてるような気がします
		:けどね(笑)」
 尊		:「……(なにか、変だわ)」
 八神		:「ふむ、変やな」
 かける	:「どれ、見てみましょうか」
 
 そう言うとかけるは袖口から、直径3センチほどの鏡を取り出した。

 かける	:「特徴のある『光』だったから、捕まえられると思うけど
		:……」
 鏡の奥に像が揺らめき、かけるの望む映像を結ぶ。
 
 尊		:「……金克木。まさか……。式神返し!」
 八神		:「尊さん?」

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 ってなとこです。
 他にも修正お待ちします。

柳田真坂樹(Masaki Yanagida)
東京大学農学部森林利水及び砂防研究室
修士一年
e-mail:yanagida@gaia.fr.a.u-tokyo.ac.jp
    

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