[KATARIBE 13213] [HA06] [EP] 狭間より来たりし者

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Date: Wed, 02 Jun 1999 21:30:02 +0900
From: Masaki Yanagida <yanagida@gaia.fr.a.u-tokyo.ac.jp>
Subject: [KATARIBE 13213] [HA06] [EP] 狭間より来たりし者
To: kataribe-ml@trpg.net
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 ども、D16です。
 ひとまず後半部分、繋げやすいところからつなげて加筆してみました。
 だれか、完全版の取りまとめつくってくれい。


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Wings<wings@trpg.net> さんは書きました:
 一  :「こんなところで何を?」
 大河          :「悲鳴らしき物が聞こえた物ですから」
 一            :「あなたもですか」

 と、そのとき。
 闇の中、地中深くから響くような唸り声が聞こえた。

 公園の闇の中を抜ける。
 暗がりから、聞き覚えのある真言が聞こえる。

 前野          :「…のーまくさーまんだー…ばーさらだんせんだん……」

 思わず十の表情に笑みが浮かぶ。
 
 十		:「不動明王火界呪か、同業が誰か来てるな。で、大河さん。自
		:分の面倒は何処まで見れます?」
 大河		:「って、いうと?」
 十		:「結界を破ってきたんだから、それなりに術式は使えると見た
		:んですが……」
 大河		:「そうですねぇ……」
 SE		:「ぴしっ!
		:ざざざ……」

 突然、そばにあった木のやや大ぶりな枝が音を立てて折れ、大河に向かって倒れ
ていく。
 枝は、そこに何も無かったかのように地面まで落ちる。
 大河は、ごく自然に木に向かって枝の中を歩き、拾った枝を軽々と持ち上げて
断面を合わせる。
 一瞬の間を置いててを話すと完璧に元どおりになっていた。

 大河		:「こんなところですか。
		:もっとも大きな事も出来ますが、後のために術力は残さないと
		:……」
 十		:「(なんとなく手品っぽいけど……。手品だったらわざわざ鼻
		:は突っ込まないよな)
		:じゃ、いきますか」
 大河		:「そうですね」

(ちょきちょき)

 圭人		:「!!・・・・・なあ、御滝」
 健一		:「ん?」
 圭人		:「ヘルハウンドって言うのは、三身合体すると
		:ケルベロスになるんだっけか?」
 健一		:「何言って・・・・・!!、まさか・・・」
 圭人		:「そのまさかだ」

 そして、閃光は消え・・・・・。

 ケルベロス	:「グオオオオオオオオオッ!!」

 それが、咆吼をあげた。
 と、ようやく十と大河が到着・合流する。

 十		:「うむ、レイ・ハリーハウゼンを思い出すな『タイタンの戦い』だ」
 前野		:「突っ込みのしようのない、事いわんで下さい」
 十		:「人形アニメでの特撮としては最上だね。CG全盛の今見るとなかな
		:か趣があるんだが」

 健一		:「何言ってんだ!あれが見えないのか!逃げろ」
 十		:「関わっちまったからには、後には引けねぇだろう。何処の所属か
		:しらんが。
		: 羽黒修験・蔵王坊瑞真だ。助太刀させてもらう。おっつけ後二人
		:手助けが来るはずだ。こちらは、大河さん。俺以上に物好きな方だ」
 大河		:「物好きである事は否定しませんけどね(^^;
		:でも中学の時から月に一度はこういう目に会うし、
		:運命の出会いは避けられないと悟ってますから(苦笑)」
 健一		:「あなたがたと同じく物好きの、滝川健一だ。
		:どこにも所属していない」
 闇烏		:「そしてその物好きにつきあっている、闇烏だ」
 大河		: そういう訳なんで別に何処にも所属はしてませんが、
		:参加させてもらいます」
 圭人		:「何だ、結局全員フリーか………。俺は兼澤圭人。所属は十二
		:月第八部隊葉月だ」
 十		:「十二月?……どっかで聞いた気が。超能力者の互助会みたい
		:なもんだろ?」
 大河		:「互助会ってあの、お葬式とかの時に町内で手伝ってくれる?」
 十		:「いや、多分」
 圭人		:「互助会って(がくっ)」
 大河		:「違うらしいですね」
 十		:「確か、超常能力者たちの啓蒙活動もやってるとか聞いたが?」
 圭人		:「一応実習です」
 大河		:「実地研修、ですか………」
 前野		:「道理で、スバラシイお手並みなわけだ…」
 十&大河	:『いや全く』
 十		:「能力だけならそれなりらしい」
 圭人		:「優秀と言って欲しいですね」
 大河		:「(苦笑)」
 前野		:「なるほど、あんたの事は分った。で、(鞄を指す)それは?」
 圭人		:「えっ?」
 前野		:「………まさか、気づいてないとでも思ったか?(苦笑)」
 十		:「それだけ霊力振りまいてて、気づかない方がおかしい」
 圭人		:「……………(ため息)おい、クロト、ばれてたみたいだぞ」

 その声と共に、鞄から一冊の分厚い本が出てくる。
 誰も手も触れていないのに………だ。
 そして、本から光が放たれ、その中に、一人の少女が現れた。
 ギリシャ風のゆったりとした服を着て、幻想的な美しさを醸し出している。

 クロト	:「………私はクロトの書。工芸の司たるダイダロスによって作ら
		:れた、The Fatal Devicesが一つ。始まりを司りしものです」
 大河		:「The Fatal Devices………」
 クロト	:「………何か?」
 大河		:「いえ、何も………(まさか………ね)」
 クロト	:「(ケルベロスの方を見る)………さて、まずは彼を何とかしな
		:いといけませんね」
 圭人		:「………そうだな」
 十		:「で、あれはやっぱり見たまんまのヤツかい?」
 クロト	:「エキドナの裔、ハデスの番犬ケルベロスの残影です」
 前野		:「動きますね」
 
 その通りだった。
 一つの頭の時とは違う。
 たとえ遥かな裔であったとしても、古き伝承の獣の名を冠したそれは、その名にふさ
わしく、重々しく足を進めた。
 雨後の泥濘をえぐるかのように、公園の石畳が砕ける。
 圧倒的な霊的質量をそれは備えていた。

 健一	:「まずいな、このままじゃあ破られてしまう。
	:・・・烏、あいつをあちらに帰してやれるか」
 闇烏	:「まず、俺では無理だな・・・。こっちがその前に
	:やられてしまう。しかし、そちらのお姉さんの力なら
	:何とかなるかもな」

 圭人	:「おい、そこでなに話しているんだ!あいつがくるぞ」
 
 見ると、今まで自分を痛めつけてきた者たちに向かって、
 一歩一歩威圧するように地獄の番犬が歩み寄ってくる。
 
 健一 :「わかった。烏、今度は人払いの結界を全力で張ってくれ。
	:皆さん、すいませんがあいつをくい止めるのを手伝って
	:ください。あと圭人、そちらのお姉さんにあちらに帰す方法が
	:ないか聞いてくれないか」
 
 闇烏	:「了解」

 その声とともに公園の広場をおおっていた結界の上にさらに強力な物が
 張られる。
 前野		:「食い止めるって簡単に……」

 と言い掛けて、言葉を切り、何かに気付いたようにケルベロスを見つめる。

 前野		:「……なるほど…やってみるか…(ぼそっ)」

(みなさんの行動を挟んで下さい)

 圭人		:「クロト、あいつ、何とかなるか?」
 クロト	:「今のままでは………無理」
 圭人		:「………」
 クロト	:「今、彼は気が立っているし、正面から戦っては、まず
		:勝ち目はない。かといって、冥界に送還するには、彼は
		:霊的質量が大きすぎるわ」
 圭人		:「………なんとか、ならないか?」
 クロト	:「何か、触媒のような物があれば………」
 圭人		:「………ちょっと待て。あの兄ちゃんが何か始めるぞ」

◯Here comes the Hell
=====================
 短く呪を呟くと、握っていた刀を地面に突き立る。

 前野		:「氷雨、結界を張れ!焔は氷雨を守ってろ!」

SE:キィィィィイン…

 その声と呼応するように鋭い金属音が鳴る。
 それと同時に、前野の目の前の空間に陽炎のようなものがたつ。

 前野		:「瘴気に弱い奴は備えろ!
		: 一さん!術の邪魔かもしれませんが勘弁して下さい!」
 十		:「何する気だ!?」

 陽炎の中に手を差し込むと、大きな鎌を引き抜く。

 前野		:「……“地獄”を出します…」
 十		:「なっ!?」
 圭人		:「(口笛を吹く)豪快なことするなあ」
 クロト	:「でも、これは、チャンスよ」

 鎌を振り上げ、石突きを地面に打ち付ける。

 石を打つ金属音と共に、何かが結界の中に広がって行く。
 重苦しく、粘つくような、身体の芯から熱を奪って行くような冷気。
 薄く霞がかかり、腐臭さえも漂って来る。

 一		:「ごふっ」
 
 前にいた一がまともにそれを吸い、嘔吐した。
 周囲はそれを見て瘴気を避ける。
 と、そこに2匹のオコジョが到着した、一匹は旋風をもう一匹は火花を身に纏
っている。

 キノエ	:「なにやってんのよ、馬鹿」
 キノト	:「まって、今エアポケット作るから」
 前野		:「(集中しながら)一番慣れてると思ったんですが(苦笑)」
 一		:「俺は、デリケートなんだよ。なに、するつもりだ」
 大河		:「一体?」
 健一		:「瘴気です。しかもこれは冥府の」
 闇烏		:「その物だ。地獄を開くとはな」
 大河		:「『この門を通る者、総ての望みを捨てよ』ですか」
 健一		:「くぐるわけには行かないですね」

 前野		:「……怖がるな…すぐに還してやるからな…」
 圭人		:「!………なるほどな(にやり)」
 クロト	:「ただ、この人達の力も借りた方がいいわね。助けは多
		:ければ多いほどいいわ」
 圭人		:「そうだな………。じゃあ、「つないで」くれ。話は速
		:く進んだ方がいい」
 クロト	:「はい」

 SE		:ぴーん、ぴーん、ぴーん………

 前野		:「ん?」
 大河		:「えっ?」
 一		:「これは………?」
 健一		:「………!なっ………」

 頭の中に、声が響いてくる。
 不思議に、不快感はない。

 クロト	:「突然ごめんなさい。今、私たちは思念の双方向受信が
		:可能な状態になっています」
 健一		:「思念の双方向受信?」
 クロト	:「テレパシーの一種です。電話の複数回線がつながって
		:いるような物、といえばいいかしら。こうすれば、会話
		:するよりも速く情報が伝達できます」

 実際、音が鳴ってからいままで1秒とかかっていない。

 前野		:「で、何をしろと言うんだ‥‥」
 十		:「(『十二月』は礼儀を教えてないのかよ)」
 クロト	:「皆さん、自分にできる事を思い浮かべてください。
		:何か、特別な事、他の人にはできない事………。そうい
		:った物を」
 一		:「………」
 クロト	:「今のままでは、彼はどうすることもできません。
		:古典的な言い方ですが………皆が力を合わせなければい
		:けません」

 クロトの思念に、大量の情報が流れ込んでくる。
 これは、彼女を介して他の面々にも伝えられているはずだ。

 クロト	:「(少し考える)一さんは彼の霊力を一時的に弱めてく
		:ださい。
		:水克火の応用でできるはずです。大河さん、あなたはエ
		:ーテルをコントロールして、彼の力を弱めてください」
 一		:「どうするつもりだ?」
 クロト	:「彼を………もとの世界に帰してあげるんです。圭人、
		:力が弱まったら、「門」を開いてください」
 圭人		:(無言でうなずく)
 クロト	:「失敗したら………(急に口調が明るくなって)分かっ
		:てますよね?」
 圭人		:(滝汗)
 クロト	:「(真顔になって)さあ、始めましょう」
 一		:「簡単に言ってくれるなぁ。
 		: ひとまず足止めぐらいにはなると思うが……。他には
		:無いのか?」

 そう言うと、一は不動明王印を結ぶ。

 キノエ	:「キノト、ひとまずミツルを被甲護身するよ」
 キノト	:「う、うん。……けど」
 キノエ	:「いそぎな、ちょっとやそっとの相手じゃない」
 キノト	:「わかった(あいつ、迷ってる?)」
 
 健一 	:「………ちょっと待った」
 圭人		:「おいおい、なんだよ」
 健一		:「あいつ自分の意志で来た訳じゃあないんだろ。じゃあ、
		:あの魔法陣で召還した奴がいるはずだと思うんだが」
 圭人		:「あっ……………」
 クロト	:「すっかり忘れていましたねえ、もしかしたら
		:死んでいらっしゃるかもしれませんけど(にこにこ)」
 圭人		:「(顔面蒼白)………」
 前野		:「………チッ…いい加減にしろよ…」
 一		:「それでそいつがどこにいるかわかるか」
 クロト	:「えーと、…………生きてはいますけど、
		:位置がちょっと………」
 大河		:「どこにいるんだ」
 クロト	:「あそこです」

 クロトが示した場所はケルベロスが立っている場所のすぐ後ろにある魔法陣の
 ところだった。幸いケルベロスは気づいていないようだった。

 前野		:「……邪魔だけはしないでくれよ…」

ぐっと力を込めて鎌の柄を地に突き立てると、細く息を吐く。

 前野		:「一さん、ユラさんの所か麻樹さんの所に、使いを出して
		: ください……瘴気を吸う事で、死人になっているかもし
		: れませんから、“死んでない”可能性が在ります」

 その言葉と共に、鎌の表面が鈍く光り、辺りに立ち込めていた瘴気が薄まる。
それと引き換えに、ケルベロスが入っている駕籠……結界の中に、目に見えて
瘴気が集まる。

 前野		:「ちょっと入って、引きずってきます…」

 血の気の引いた顔でそういうと、鈍く紅い光を放つ鎌から手を放し、二刀を手
に結界へと進む。

 前野		:「準備お願いします…」

 と、一の脳裏に先ほどの大河の見せた技が甦る。
 それと、クロトが繋いだ各々の技術が。

 一		:「前野君、前野君は瘴気の集中に気を使っててくれ。彼を連
		:れてくるのは。大河さんの「時空間操作」に任せよう。
		: 大丈夫ですよね、大河さん」
 大河		:「ええ、その代わりあいつを刺激しないで下さい」
 キノト	:「ミツル!術式を解いて!」
 一		:「……わかった」
 
 大河は何気ない様子で、手を差し伸べる。
 と、その手が空間に「潜った」。
 手首から先がすっぽり無くなっている。いや、空間の中に潜りこんでいるのだ。

 圭人		:「あ……」
 大河		:「よし届いた」
 
 大河の物らしき手首が男の足首をつかむ。
 うつぶせに倒れたままの男の体がずずっと動く。
 
 大河		:「このまま、ひっぱって来て大丈夫でしょうか?」
 健一		:「今のところ……多分」
 闇烏		:「だが、警戒は解いてないぞ」
 前野		:「いきなり呼び出された上で、あんな目に会えば。無理も無い」
 キノエ	:「でも、急いだ方が良いかも」
 大河		:「じゃあ、そうしましょう」

 と、その言葉が終わらぬうちに。くるりとその空間に男の体が現れ出た。
 
 一		:「お見事!」
 大河		:「お粗末でした」
 圭人		:「生きてるんですか?」
 闇烏		:「まだ息はあるようだな」
 前野		:「!気づかれる!」
 大河		:「なら、こうしましょう」

 またもや言葉が終わらぬうちに。大河と男の体がふいっと消えた。

 一		:「大河さん?!」
 大河		:『大丈夫です、ポケットスペースにつれてっただけですから。
		: ここならそう簡単には気づかれません。っと、誰か応急手当の
		:できる人いますか?」
 一		:「すまん、俺は捻挫の対処法くらいしか」
 キノエ	:「あたしも」

 一同は沈黙する。

 前野		:「仕方ないですね、『氷雨』を使ってください。これは『癒し』
		:の技を持ちます」
 圭人		:「けど、結界は?」
 一		:「それはこっちがやる。前野君、『焔』をこっちにまわしてくれ
		:それと、少し結界の形式が変わるが構わないか?」
 前野		:「変化にもよりますが?」
 クロト	:「『氷雨』の半受動封鎖に対して、一氏は八陣迷図を用意するの
		:ですね。それなら、キノエ、キノトは配置要素としてではなく、
		:符の設置、コントロールに回し、術者の守護は『焔』に一任して
		:よいと思われます」
 一		:「腹ん中見通しってのは、気持ち良いもんじゃねえな。その通り
		:だ。お姉さん」
 闇烏		:「手勢だけで無理する必要は無い」
 健一		:「闇烏もそっちを手伝ってくれ。こっちは」
 圭人		:「結界の切り替わりの間、みんなを守る」
 前野		:「本気で襲われたら、君達でも長くは持たない。わかってるんだ
		:ろうな。
		: 一応断っとくが、本気だぞ」
 
 沈黙。

 一		:「姉さん、カウントダウンは任せた」
 クロト	:「かしこまりました」

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 ってとこ。
 皆さん、どんどん追加修正よろしく。

柳田真坂樹(Masaki Yanagida)
東京大学農学部森林利水及び砂防研究室
修士一年
e-mail:yanagida@gaia.fr.a.u-tokyo.ac.jp
    

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