[KATARIBE 12901] [HA06][EP] 「制服の季節・・・・・・のはずなのに」

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Date: Tue, 11 May 1999 00:35:23 +0900
From: Masaki Yanagida <yanagida@gaia.fr.a.u-tokyo.ac.jp>
Subject: [KATARIBE 12901] [HA06][EP] 「制服の季節・・・・・・のはずなのに」
To: kataribe-ml@trpg.net
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In-Reply-To: <199904210320.MAA06908@www.mahoroba.ne.jp>
X-Mail-Count: 12901

 ども、D16です。
 寝た子を起こしたのは、ケイスケ君。君だからね(にやぁり)


御滝圭介 <furutani@mahoroba.ne.jp> さんは書きました:
>99年04月21日:12時20分03秒
>Sub:re:[HA] 狭間キャラクター人気投票 :
>From:御滝圭介

 ざくざくと切る。
 
> 一さん:1点
>	シリアスと日常が極端に変わるお兄さん。
>	観影さんとのコンビは最強ですね。
>	EPもJEPも楽しませてもらっています。
>	ところでけんいちとにちじょうであったときの
>	はんのうはどうなんでしょうね(あせわらい)
>	ちなみに吹利学園は制服はありますが、
>	着なくてもいいので健一は(圭人も)私服ですよ(爆)


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 ○EP『制服の季節のはずなのに』
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 登場人物
 一十		風水師見習の修験者。少年ふぇち。
 湊川観楠	ベーカリー楠の店長
 八神敦	スチャラカ錬金術師、食欲魔人、紅雀院大学情報政策学部総
		合情報学科
 本宮和久	不幸な後始末人、吹利学院高校卒、紅雀院大学法学部一回生
 兼澤圭人	魔道書持ち、吹利学園中学3年生
 滝川健一	霊力形成士、吹利学院中学三年生



 十		:「はぁぁぁぁぁ」
 
 五月の晴れやかな初夏。萌える青葉も風も爽やかな、季節。
 土曜日の昼下がり、ベーカリーのカウンターで一十は扉をくぐってから通算
24回目の溜息をついた。

 にぎわっていたベーカリーも今は一段落ついて、何人かの常連がそれぞれ思
うままに時を過ごしている。

 十		:「はぁぁぁぁ」

 と、二十五回目の溜息を店の主が聞きとがめた。

 観楠		:「どうしたんです?一さん。溜息ばっかりついて」

 十は振り返ると、殺気だった眼で店長に迫った。
 
 十		:「店長」
 観楠		:「は、はい?」
 十		:「どーして、ここ最近、この店には中高生が少ないんです
		:か?」

 普通に聞いてれば普通の会話だが、この男が言うと、全然意味が違ってくる。
 
 観楠		:「は、はぁ」
 十		:「はぁ、じゃありません店長!このままだとこの店は……
		:立ち行かなくなりますよ!危機です、これは!」
 観楠		:「へ?」
 十		:「考えても見てください!今までベーカリーには連綿とつ
		:ながる、男子高校生の歴史があったんです」
 観楠		:「え、ええと。ああ、岩佐君や慎也君の代や、本宮君達の
		:代って言う風に?」
 十		:「そーです、その連綿たる高校生達の貴重な青春の溜まり
		:場であったこのベーカリー楠が、なぜ昨今こんなに寂れた
		:か!」

 随分とまた失礼な物言いではある。と、

 からからん。

 八神		:「ちわっす、っとぉ。どしたんすか一さん店長に掴み掛っ
		:て」
 十		:「いや。ちょっとここ最近のベーカリーの客足の鈍りにつ
		:いて店長とだな幾つかの検討を……」
 八神		:「って、」
 
 そりゃあんたがパンの耳ばっか食べてるせいだとは、口に出来ない八神だっ
た。
 
 八神		:「そんなに、店不況でしたっけ?店長」
 観楠		:「(苦笑)いや、そんな事無いんだけどね?高校生の客が
		:減ったって一さんがね言ってるの」
 八神		:「なるほどね……、ま、半分病気はしょうがないとして。
		:あ、これとこれ下さい」
 観楠		:「はい、ありがとう」
 十		:「誰が病気だって言うんだよ!」
 八神		:「無視無視、で、実際に減ってるんですか?」
 観楠		:「そーでもないけど、ただ、前みたいに長居する人はいな
		:くなったね」
 八神		:「なら、いーんじゃないですか」
 
 そう言って、一に振る。

 十		:「いくない」
 
 依怙地である。

 八神		:「なんで?」
 
 それは、と言いかけて一は口を噤む。
 と、
 からからん。

 本宮		:「こんにちは、店長お久しぶりです。
		:……一さんどしたんです?」

 そこには握りこぶしではらはらと落涙する、一の姿があった。

 観楠		:「お、お久しぶり。大学のほうはどう?」
 本宮		:「おかげさまでようやく慣れてきました」
 八神		:「この間キャンパスであったよな」
 本宮		:「はい」

 十		:「……もとみー」
 
 地獄の底から響くような声。

 本宮		:「(ざざざっ)に、にのまえさん?」
 十		:「もとみーに、後輩はいないか?後輩にベーカリーを
		:紹介しなかったのか?」
 
 ゆらぁりと立ちあがり、行ける屍のごとくに歩み寄る十。

 十		:「そうであれば、この季節!この爽やかな季節に!心
		:の赴くままに男子高校生の制服を観賞できたものを!」
 一同		:「……」
 十		:「時は、五月!衣替えよりちょっと前、陽光が爽やか
		:になり、高校生は制服をある者は脱ぎ、ある者ははだ
		:け、まるでせせらぎを行く若鮎のごとくに、吹利の街
		:を笑いさざめきながら駈け抜けて行く……。その危う
		:げな姿態をここでずっと見つめつづけていたかったの
		:に!!(落涙)」
 八神		:「……てんちょー、萌えるゴミっていつだっけ」
 観楠		:「あしたの朝、今日の内に片付けておこう。もとみー
		:頼む」
 本宮		:「……片付けておきます」

 と、カウンターからコップを手に取ると落涙を続ける十の襟首を後ろか
らつかみ、コップの中に押しこめる。
 そのまま、コップをさかさまにして封じこめる。

 八神		:「あー、静かになった」
 本宮		:「それにしても……、うちの高校のヤツ来てますけど
		:ね。それに中学も」
 観楠		:「え?そう?」
 本宮		:「ええ。うちって制服あるけど、別に来てこなくって
		:良いんですよ。だから私服で来てるのがいましたよ。
		: たしか、この間も……」

 からからん。

 圭人		:「……だってさー」
 健一		:「ほんとかよ、それ」

 本宮		:「ああ、あの二人。校章つけてるでしょ、うちの中等
		:部ですよ」
 観楠		:「ふーん、でもそれじゃ十君は納得しないんだろうね
		:ぇ(苦笑)」
 八神		:「中学生はまずかろー」

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 ひとまずこここで切ります。
 まだ圭人君と健一君の話し方がわからなかったので、チョイ役。

 このあと続けるとしたら、一が中学生二人に制服着用を義務付けるンだろー
なぁ。迷惑な男だ(爆)
 
 それぞれ口調修正よろしくです。

柳田真坂樹(Masaki Yanagida)
東京大学農学部森林理水及び砂防研究室
研究生
e-mail:yanagida@gaia.fr.a.u-tokyo.ac.jp
    

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