[KATARIBE 12818] [HA07][EP] 「何て読む?」

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Date: Wed, 28 Apr 1999 15:42:34 +0900
From: "E.R" <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 12818] [HA07][EP] 「何て読む?」 
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <199904280642.PAA27013@www.mahoroba.ne.jp>
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99年04月28日:15時42分29秒
Sub:[HA07][EP]「何て読む?」:
From:E.R
こんにちは、E.Rです。

昨日、一行で流れていました、07、西生駒高校一年生話。
巧君が、怯えてます(爆)

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EP「何て読む?」
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 某日、放課後。図書室。
 佐柄夢希が図書当番。
 無言で、カウンターの席に座っている。
 ……それだけで、何故か私語が絶えるあたり……

 と。

 巧     :「……あの」
 
 恐る恐る、といった態で、本が差し出される。

 夢希    :「返却?(じろっ)」 
 巧     :「…………あ………はぃ…………………へんきゃくです……………」

 引きつった小声を辿ると……何の事は無い、隣の席の男子生徒である。
 
 夢希       :「…(もたもたしてる奴だな)」

 それでもまあ、今、急ぐわけでもない。返却日を破っているわけでもない。
 それだけ確認して、夢希は本とカードを取りあげる。

 巧     :「あと……これ…………借ります……」
 夢希    :「はい」

 鉛筆を持った時、どこかせっかちな足音が近づいてくるのに気付く。
 見ると、右手に三冊、左手にやはり三冊の本を持った常連が立っている。

 兪児    :「返却(右手の本を差し出す)と、貸し出し(左手の本を示す)」
 夢希    :「そこ」

 置いといて、の部分は既に省略されている。
 頷いて、兪児は返却の本を置き、カード受けからカードを引っ張り出す。
 並みの図書委員よりは、返却、貸し出しの仕事は速い。

 と。

 兪児    :「?」
 巧     :(びくうっ)

 ふい、と頭をもたげて、兪児が巧のほうを見やる。

 兪児    :(…っと………この前の?)
 巧     :(な、なんかにらまれてる……………どうしたんだろ…………)

 兪児にすれば、ごく普通に見ている積りなのだが……いかんせん目付きが悪い。
 というより……鋭い。

 巧     :(…ぼく、またなんか変な事しちゃったかな………)
 兪児    :(……今日は喘息、大丈夫みたいだな)

 故に、意思の疎通が、見事なまでに無かったりする。
 半分以上凍り付いた格好になっている巧をじろっともう一度見やって。

 兪児    :「?」
 夢希    :「……?(兪児を見やって)」

 名札に目をやり、今度は少し目を細める。

 兪児    :(何て読むんだろ)

 名札には『癸野』と書いてある。

 兪児    :(……葵、のくさかんむりとって……何だっけな、年号……でもない、
       :歴史の時間見たことのある……五行?)

 繰り返すと……本人非常に真面目に不思議がっているだけなのだが、
 やはりいかんせん、目付きが悪い。

 巧     :(え、ど……どうしたんだろ……)

 おろおろと視線を兪児から自分の名札へと移す。その様子に、流石に兪児のほうも
礼を失していることには気付いたらしい。
 一つ頭を振って。

 兪児    :「……何て読むの」
 巧     :「え?」
 兪児    :「その字」
 巧     :「あ、あの……きの……と……(語尾が消えて行く)」
 兪児    :「?(眉をしかめる)」
 巧     :「あ、き、きの、ですっ(汗)」
 兪児    :「きの……成程(あれって、き、と読むのか)」

 納得して兪児はまたカードに目を落し、書き込みを開始する。
 まだ半分凍結状態が続いている巧に、夢希がずい、と本を付き付ける。

 巧     :「はい?(汗)」
 夢希    :「手続き終わり」
 巧     :「あ、あ……すみません……」

 本を受け取ると、巧は逃げるように去って行く。
 構わずに兪児は、書き込みを続ける。
 夢希は返却本を集めて、カートに乗せる。

 兪児    :「……はい」
 夢希    :「二週間」
 兪児    :「了解」
  
*********************************************

 てなところで、落す。

 一応、「学期の初め」よりは後、と思ってます。
 本当の本当に、兪児には悪意はありません(汗)
 ……ないんですっ(握り拳で力説)

 兪児のほうは「あああのとき喘息起こしてた奴」と、記憶してますが、
巧君の意識にどの程度兪児の記憶が残っているかわからなかったので、
書いてません(苦笑)
 発作が楽になった、というのと、そこに女子生徒が転がってて、こちらを睨んでいる、
ということの間に、さあ相関が見出せるかどうか(苦笑)
 
 一行にて、「夢希さんと巧君は、席がお隣同士」ということでしたので……

 しかし。
 昨日兪児の兪、の字を調べたところ。
「穏やか」とか「ゆったりとした」てな意味があるそうな(滝汗)

 であであ。




    

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