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Date: Fri, 23 Apr 1999 16:19:49 +0900
From: Masaki Yanagida <yanagida@gaia.fr.a.u-tokyo.ac.jp>
Subject: [KATARIBE 12769] [HA06][EP] 「マンションは階段」
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <9904230719.AA00641@avalanche.gaia.fr.a.u-tokyo.ac.jp>
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ども、D16です。いーさんの真似して、過去に埋もれた奴を少しづつ。
ＥＰ：「マンションは階段」
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登場人物
一十(にのまえ・みつる)
風水師にして修験者。松陰堂の居候。
キノエ
元祟り神の式神で雷使い。キノトの姉
キノト
元祟り神の式神で風使い。キノエの弟。
小松訪雪(こまつ・ほうせつ)
骨董屋松陰堂の若主人。
柳紘一郎(やぎ・こういちろう)
大学生。直紀の弟。
すー 紘一郎になついている人型になれる妖鳥。
柳直紀(やぎ・なおき)
十と良い仲なOL。
清水の舞台
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訪雪 ：「おぅーい、一君。いるかい？」
キノエ ：「ミツルなら出かけてるよ」
キノト ：「直紀さんトコの畳、変えるの手伝いに（笑）」
訪雪 ：「こっちも力仕事手伝ってもらおうと思っとったんだがなぁ
：ま、帰ってからでもいいか」
そのころ十はマンションの前に来ていた。
十 ：「ここの一番上だったな、たしか」
５階建てのマンションの入り口。
ちいさいエントランスで女子高生とすれ違う
女子高生Ａ ：「もー、またエレベーター点検中なんだもん」
女子高生Ｂ ：「５階まで歩きはきついよね」
ちらりとエレベータを見る。ドアに挟むように定期点検中の文字
十 ：「あ、あれに乗るくらいなら階段の方がまだましだよな」
階段の方に足を進めつつ、心からそうつぶやく。
以前ここに来たとき、張り出したような階段に後込みし
エレベーターに乗ったはいいものの…
何故か外に面している部分が総ガラス張り
上に行くに従って徐々に小さくなる人・人・人
部屋に着いたときには既に顔面蒼白で、直紀から異様に心配されたことは
記憶に新しい。
カツン
鉄製の階段が音を立てる。
階段の隙間から地面が見える。
十 ：「（……下を見なければいいんだ。大丈夫だ！落ち着け、十！！）」
カツンカツンとひたすら前を見つつ、ぶつぶつと
「大丈夫だ、落ち着け」を繰り返す。
ちょうど３階まで来たところで、下から声が聞こえた。
紘一郎 ：「あれ？一さん」
すー ：「あー、一さんだ。おーいっ！！」
十 ：「ああ、紘一郎く……（硬直）」
ひょいっと声のした方を向く。たかが３階とは言え、なんの気なしに見てしまった為
心の準備が出来ていない。
すー ：「（小首傾げ）聞こえなかったのかなぁ？おーい、一さんってばー」
十 ：「……（硬直）」
紘一郎 ：「変だな。おい、すーちゃん。ちょっと見てくれないか」
すー ：「はぁいはーい。（ぱたたーー）」
紘一郎のポケットから、ぱたたっと薄黄緑の小鳥が飛び立つ。
十の目の前に来ると、すうっと女性の姿になる。
すー ：「にーのまえさんってばー！さっきから呼んでるのにぃ」
十 ：「（未だ硬直中）」
紘一郎 ：「（下から）おーい、すーちゃん。どうだったー」
すー ：「あのねー紘ちゃん。下見たまんま固まってるみたいなんだけど」
紘一郎 ：「んー何だってーー！よく聞こえん」
すー ：「だからー、固まってるのー！こーんな感じで（ぐいっ）」
がしっと十の頭を鷲掴みにし、ぐいっと外側に引っ張る。
身長がある分、柵から身を乗り出した格好になっている。
十 ：「ぎっっ……ぎぇえええええええええええぇえぇぇぇぇぇ
：えぇぇぇええええええっっっ！！（脱兎）」
すー ：「ひゃっ（汗）」
声に驚いて掴んでいた手を離す。隙を見逃さずくるっと方向転換
もの凄い勢いで、階段を上り荒々しく直紀の部屋のチャイム連打！
ぴぽ、ぴぽーん！
ぴぽぴぽぴぽ、ぴぽぴぴぽーん！！
直紀 ：「ちょ…そんなにチャイム連打しないでよっ！
：どこのどいつよ、一体っ！！」
バンっと勢いよく、ドアが開くと同時に
ごぃん！！
と、鈍い音がする。ドアノブに残る衝撃。
直紀 ：「わ、一さんだったの？ご、ごめん！だいじょーぶ？（ぺちぺち）」
十 ：「きょ…今日は厄日なのか？（ばたっ）」
直紀 ：「ごめんーーー！一さん、起きてよぅー（ぺちぺち）」
紘一郎 ：「おい、すー！今、もの凄い声がしたぞ」
すー ：「紘ちゃーん、にのまえさんが怖いよぅーーー
：いきなり奇声あげて上に行っちゃったようー（ぱたたー）」
えぐえぐ言いながら戻ってくる。
紘一郎 ：「なにをやってるか（ぼぐっ）」
すー ：「うぁう、紘ちゃん手加減知らず（ばたっ）」
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解説
キャラクターのマイナス面の特徴を、軽妙に描いたEP。
しれっと、すーちゃんが変化したりする当たりが狭間……なのかなぁ？
柳田真坂樹(Masaki Yanagida)
東京大学農学部森林理水及び砂防研究室
研究生
e-mail:yanagida@gaia.fr.a.u-tokyo.ac.jp