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Date: Thu, 22 Apr 1999 12:35:36 +0900
From: "E.R" <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 12749] HA06:EP(old): 「25日・瑞鶴風景」
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <199904220335.MAA02668@www.mahoroba.ne.jp>
X-Mail-Count: 12749
99年04月22日:12時35分15秒
Sub:HA06:EP(old):「25日・瑞鶴風景」:
From:E.R
こんにちは、E.Rです。
ふる〜いEP、掘り返しておりましたら、まあ、こういうものが(汗)
1997年年末から1998年初頭にかけて、書かれたものです(って書いたら
えらいものものしいなあ(汗))
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EP 「25日・瑞鶴風景」
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12月25日。
瑞鶴、午後6時半。
外に出してある雑誌を片付け出した店長が、顔を上げた。
店長 :「ああ、こんばんは」
フラナ :「こんばんはっ」
店長 :「ええっと……(硝子戸を開けて)花澄、お客さん達来たぞ」
花澄 :「はいはい」
店の奥から、エプロンを着けたまま花澄が出てくる。
花澄 :「いらっしゃい……っと、本宮君は?」
佐古田 :「じゃんっ(仕事)」
千影 :「バイトがあるから少し遅くなるけど、必ず行きますからって」
花澄 :「あ、よかった。じゃ、どうぞ。……お兄ちゃんは?」
店長 :「ここ片付けたら店閉めるから」
花澄 :「はい、じゃ、用意しときますね」
店の奥に入りながら。
千影 :「店長さんって、花澄さんのお兄さんなんですか?」
花澄 :「そう。そのコネで、ここで仕事してるの」
佐古田 :「じゃじゃん(似てない)」
フラナ :「そっかなー、似てるよ」
まあ、そんなものである。
襖を開けると、六畳の真ん中にテーブルが一つ半。
小さいほうのテーブルに座って、リモコンをいじくっていた譲羽が飛び上がった。
譲羽 :「ぢいぢいっ(嬉々)」
花澄 :「こらゆず、テーブルに座らないの。…あ、どうぞ」
座っててね、と言い置いて、花澄はもう一つの部屋のほうに消える。
譲羽 :「ぢいぢい(嬉々)」
千影 :「そーだよね、今日も一緒だもんね(にこ)」
タイチとシュイチの言葉が分かる千影である。
譲羽の言葉も通じるらしい。
フラナ :「花澄さーん、なんか手伝う?」
花澄 :「ううん、後は運ぶだけだから」
言いながら、お盆を抱えて花澄が戻ってくる。
花澄 :「皆、嫌いなものって……無いよね?」
フラナ :「無いよ」
千影 :「無いです(でも、大好物は外じゃ食べられないけど)」
花澄 :「じゃ、よかった(にこにこ)何かいろいろ作ってみたけど、
:食べてみてね」
かたかたとお皿が並ぶ。一応クリスマス用のお料理、なのだろうが。
佐古田 :「……?(ゆず、これお菓子?)」
譲羽 :「ぢいぢい(ううん。お魚)」
佐古田 :「?」
花澄 :「あ、それ?クリスマスのムース。魚と貝で作ってあるの」
真っ白なムースに、確かに似ている。
花澄 :「この前本で見つけたの。一度作ってみたかったのよね(にこ)」
……お客様に向けて、初めての料理を作るあたりが度胸もんである。
花澄 :「で……未成年に聞いたらいけないのかもしれないけど」
言いながら、引っ張り出したもの。
花澄 :「ワイン……二人は飲めるよね。千影ちゃんはどうする?」
千影 :「いただきまーす☆」
案外いける口かもしれない(笑)
丁度入ってきた店長が、呆れたような顔になる。
店長 :「お前な、未成年に嬉しそうに勧めるなよ」
花澄 :「……買って用意してたのは店長のほうなのに(ぼそっ)」
店長 :「…とにかく。ま、乾杯用だ」
花澄 :「本宮君がまだだけど……来たら、また乾杯すればいいかな?」
店長 :「取っとけよ」
花澄 :「大丈夫、確保してあるから(にこにこ)」
大きさも形も不揃いのグラスに、ワインを注いで。
店長 :「じゃ、うちの常連さんに乾杯…今年は有難うございました(笑)」
一方、本宮は…
観楠 :「本宮君、もうあがっていいよ」
本宮 :「え、まだ途中ですけど?」
観楠 :「後はやっておくよ、今日は花澄さんとこでパーティーでしょ」
本宮 :「もう少しですから、掃除終らせてから行きますよ。ここから近
:いですし」
観楠 :「相変わらずだね」
そして、てきぱきと店内の掃除をすませ、ベーカリーを後にする。
ピンポーン
本宮 :「こんにちはー」
花澄 :「いらっしゃい、本宮君。もうはじめちゃってるけど」
本宮 :「いいですよ」
花澄 :「寒かったでしょう、ちゃんとお料理は残してるから」
本宮 :「どうも」
あがった先には、すでにまわってる奴二人(笑)
フラナ :「わーい、もとみーだぁ」
千影 :「あ、本宮くんだ(くすくす)」
本宮 :「おーい、もうできあがってるのか…(汗)」
花澄 :「二人とも、一杯しか飲んでないんだけどねぇ」
譲羽 :「ぢぃ(フラナお兄ちゃん、千影お姉ちゃん…変)」
佐古田 :「じゃんじゃん(気にしない気にしない)」
店長 :「それじゃ本宮君、改めて乾杯…とすると、二人が危険か」
千影 :「大丈夫、ですう(ころころ)」
花澄 :「……止めた方がいいわ。佐古田君は大丈夫ね?」
佐古田、無言で頷く。
店長 :「じゃ、本宮君、どうぞ」
本宮 :「有難うございます」
花澄 :「足りなかったら言ってね。日本酒もあるし」
……未成年に勧めるなってば(汗)
フラナ :「日本酒?花澄さん、欲しいー」
花澄 :「の、前に。まず、何か食べて(ずいっ)」
店長 :「すきっ腹に飲ませたのがまずかったかな…にしても弱い(きっぱり)」
花澄 :「うちと一緒にしたら駄目よ」
その間に、無言でグラスを空ける佐古田。
店長 :「佐古田君だっけ。強いな」
佐古田 :「……(無言でこっくり)」
店長 :「どっちがいい?日本酒かワインか」
佐古田 :「じゃんっ(日本酒)」
譲羽 :「ぢ(にほんしゅ、だって)」
花澄 :「はいはい…あ、酒の肴、少し足すわね」
通訳付きの会話…になるのだろうか。
店長 :「本宮君は大丈夫か?勧めて」
本宮 :「はあ」
花澄 :「駄目よ、本宮君。店長強いんだから」
店長 :「……お前と同等」
花澄 :「(無視)無理しない程度で止めてね。いつも相手無しで飲む人だから
:相手がいると限度が無いのよ……千影ちゃん、大丈夫?」
千影 :「大丈夫、ですぅ……あ、これおいしー」
花澄 :「あ、それ?山芋と蟹缶、混ぜて揚げたの」
千影 :「そーですかあ、じゃ、お酒もほしいですぅ」
花澄 :「……(汗)もう少し、何か食べてからね」
千影 :「う゛〜、大丈夫なのにぃ…チョットだけ、ダメ?(うるうる)」
酒が入ってるせいでか目を潤ませながら花澄にお願い☆する千影。
どこでそんなこと覚えたのかは知らないが、そんなに飲みたいのか?(爆)
花澄 :「(か、かわいい)…じゃあ、ちょっとだけですよ」
千影 :「わーい☆じゃあ日本酒がいいですぅ(にこにこ)」
花澄 :「じゃ、ちょっと待って…(お猪口無いかな)……って、店長!」
空っぽのワイングラスに、とくとくと日本酒が注がれている。
千影 :「わーい、店長さんありがとうっ(にこっ)」
花澄 :「店長っ!(小声で)どうしてそんなに注ぐのよ!」
店長 :「まあ、酔いつぶれても送り手候補はそこそこいるし」
花澄 :「そこそこって……佐古田君と本宮君、二人じゃない」
店長 :「お前も……あ、止めといた方がいいか」
花澄 :「……どういう意味?(上目使いっ)」
などと言ってる間に。
くいーっとグラス一杯の日本酒を飲み干す千影(笑)。
本宮 :「む、無道さん(汗)」
フラナ :「わーちかちゃん凄いなー(ぱちぱち)」
店長 :「……鍛えれば相当いけるかもな(大真面目)」
花澄 :「お兄ちゃんっ!……千影ちゃん?」
グラスを持って、にこおっと笑う千影。
顔にはあまり出ないらしく、ほんのりと目元だけが桜色に染まっている。
性質が悪いことに…可愛い(爆)。
千影 :「花澄さあん、これ、すっごくおいしいですう……も一杯」
花澄 :「駄目っ!」
千影 :「えー、おいしいですのにい」
一升瓶に手を伸ばす千影と、死守する花澄。
……妙な風景である。
花澄 :「駄目!」
千影 :「……ふみゅう……(;_;)」
譲羽 :「……ぢい(千影お姉ちゃん、可哀相……)」
店長 :「飲ませてやればいいだろうに(無責任)」
佐古田 :「じゃんっ(賛成っ)」
花澄 :「だ、だって……(な、泣かないでよ……)」
女好きは女に弱い。(っておい)
と。
SE :ひょいっ
花澄 :「……え?」
抱えていた瓶を、千影が抜き取る。
ほっそりした体に似合わない力であった。
千影 :「いただきますう(にこにこっ)」
花澄 :「駄目ってば!って……え?」
何故か、スカートの裾を譲羽がしっか、と握っている。
譲羽 :「ぢいぢいっ(千影お姉ちゃんにあげるのっ!)」
花澄 :「そうじゃないの、あれってね、あれ以上飲むと……あ(汗)」
SE :くいーっ
一同、暫し沈黙。
千影 :「ありがとうございますう☆……わー……」
SE :こてん☆
譲羽 :「……ぢ?(千影お姉ちゃん、寝ちゃったの?)」
花澄 :「……だから言ったのに……」
本宮 :「無道さん(汗)大丈夫?」
千影 :「ふにゃあ…(ごろごろ)」
完全にネコになってる千影(笑)
佐古田 :「じゃじゃん(駄目だなこりゃ)」
フラナ :「僕もにほんしゅ飲むぅ〜」
本宮 :「だーめ、ほら、ジュース」
フラナ :「けちぃ〜ちかちゃんは飲ませてくれたのに〜(ごろごろ)」
本宮 :「こーらっ、じゃれるな」
酔ってじゃれつくフラナをなだめる本宮。
店長 :「なんだか、親子してるなぁ…」
花澄 :「本当(汗)本宮君馴れてる」
千影 :「わーい、あたしも〜(ごろごろ)」
本宮 :「あの…無道さん(汗)」
酔っ払いネコ二匹である。
本宮 :「ほら、何か食べて。こら、じゃれない」
譲羽 :「ぢぃ(本宮のお兄ちゃん、お母さんみたい)」
花澄 :「さすが…本宮君ね」
店長 :「ゆっくり飲めるな」
佐古田 :「…(無言で瓶を差し出す)」
店長 :「ああ、すまんな」
静かに飲む佐古田&店長。かたや大騒ぎの本宮&酔っ払い。
それでも、本宮の手にはしっかりと日本酒のグラスが握られている(笑)
さてしばし。
花澄 :「本宮君、ご苦労様(苦笑)」
酔っ払いネコが酔いつぶれネコに変わっている。毛布を二人に掛けてから、
花澄は店長の手元にあった一升瓶を分捕った。
店長 :「……虎が生き残ってたか」
花澄 :「まだ、殆ど飲んでないもの(けろっ)」
グラス二杯の日本酒が、「殆ど」になるかどうかは不明である。
花澄 :「後はゆっくり食べてね。私もお付き合いさせて頂きますから」
本宮 :「あ、はい」
店長 :「もうそろそろ、それ尽きるぞ」
花澄 :「ん?…あ、本当だ。良かったら本宮君、空けてくれません?」
本宮 :「有難うございます」
ワインの瓶、1本。
一升瓶、1本以上。
六名中四名が未成年、と考えると、この結果は……(笑)
譲羽 :「……ぢ」
佐古田の膝の上にちょこんと座った木霊の少女が、空き瓶と眠り込んだ二名の
顔とを、神妙な面持ちで見比べている。
譲羽 :「……ぢ?(お兄ちゃんたち、大丈夫?)」
花澄 :「今起こしても起きそうも無いし。一時間くらいしたら
:起こしてみようね」
譲羽 :「ぢい(こっくり)」
そして小一時間ほど経って。
パーティもそろそろお開きにしようかという頃。
譲羽 :「ぢいぢい(お兄ちゃんたち起きないね)」
佐古田 :「じゃん(そうだね)」
などと話していると。
フラナ :「(もぞもぞ)…おはよぅ」
本宮 :「やっと起きたか」
フラナ :「(キョロキョロ)ちかちゃんは?」
本宮 :「無道さんはそこで寝てるよ」
まだぐっすり寝てるやつ(笑)
花澄 :「かわいそうだけど、そろそろ起こしましょうか?」
本宮 :「そうですね、じゃあ…(ゆさゆさ)無道さん起きよ」
千影 :「…みゅぅ…?…もとみやくんだぁ」
本宮 :「そろそろパーティお開きにしようと思ってるんだけど…
:体、大丈夫?」
千影 :「ふみゅう(ねこ状態)だいじょぶだよぉ……」
花澄 :「……全然大丈夫じゃないわね。フラナ君は」
フラナ :「起きたよっ(にぱっ)」
花澄 :「帰れる?」
フラナ :「うん!」
花澄 :「千影ちゃんは……どうしよう、うちに泊めてもいいけど
:どちらにしろここから動かないといけないし…千影ちゃん?」
千影 :「はぁい?」
ぼんやりと目を開いて、にっこりと極上の笑みを見せる。
それはそれは可愛らしい微笑みであった。
……はっきり言って、目の毒である(笑)
花澄 :「……駄目だわ。こういう顔してる時って起きてないのよね(諦)」
店長 :「お前、送っていくか?」
花澄 :「それはいいけど、道がわからないの」
店長 :「誰か知ってる人と一緒に」
花澄 :「知ってる人……本宮君は?……本宮君?」
本宮 :「え……は、はい(汗)」
どうやら長々と見惚れていたらしい。
花澄 :「千影ちゃんのうち、どこかわかります?」
本宮 :「えっと、わかります」
花澄 :「じゃ、一緒に……ちーかげちゃん」
よいしょ、と、手を引っ張って起こす。
千影 :「ふみゅう……眠いですう(;_;)」
花澄 :「お家まで頑張って(汗)」
千影 :「ねむい……花澄さぁん、おんぶー(泣)」
花澄 :「おんぶって……ちょっとそれは(汗)」
千影 :「おんぶー(泣)」
流石に千影をおぶってゆくのは、花澄には無理である。
譲羽 :「ぢい(千影ちゃん、可哀相……)」
佐古田 :「じゃんっ(大丈夫)」
譲羽 :「ぢ?(大丈夫?)」
聞き返した譲羽の頭を撫でると、佐古田はおもむろにギターを持ち上げた。
佐古田 :「(びしいっ #ギターで本宮を指し示している)」
視線が真っ直ぐに集中する。
花澄 :「(ぽむ)そうね、本宮君ならおぶって行けるし、大丈夫よね
:……じゃ、千影ちゃんの荷物と……あ、ちょっと待っててね」
本宮 :「え”……ってちょっと、花澄さんっ」
聞く耳、全く持たず。
店長 :「フラナ君ではちょっと無理だし、佐古田君はギター持ってるし、
:まあ、妥当なところだな(うんうん)」
本宮 :「店長さんっ……」
店長 :「本宮君なら、大丈夫だろ」
譲羽 :「ぢい(こっくり)」
横で、全く分けの分かっていない奴がしたり顔で頷いている。
店長 :「と言うわけで……信用、壊さないようにな(鬼笑)」
本宮 :「…………店長さん(汗)」
きっぱり鬼である。
などと言ってる間に、ぱたぱたと花澄が戻ってくる。
花澄 :「はい、皆に一つずつ」
フラナ :「みゅ?」
はい、と言われて手を出されれば、つい手を出してしまうもので。
掌に乗っかったものを見て、佐古田が首を傾げる。
花澄 :「これくらいしか作れなくって……高校生の男の子には
:申し訳ないけど」
手のひらの上に行儀良く乗っかっているのは、小さな羊である。
フラナ :「わあいっ、花澄さんありがとっ」
花澄 :「どういたしまして(笑)」
くてんとなっている千影のポケットに羊を入れて。
花澄 :「じゃ、すみませんけど本宮君……お願い、できます?」
本宮 :「………はい(諦)」
よいしょ、と背負って。
本宮 :(……軽い)
花澄 :「宜しくお願いします(深々)」
靴を履いて、店の中を通り、そこだけシャッターを開けてある硝子戸を
引き開けて。
フラナ :「あ、雪だー」
譲羽 :「ぢいっ(嬉々)」
店長 :「結構降ってるな」
街灯の光が雪に包まれて、ぼんやりと丸く見える。
照り返しのせいか、何となく街並みが明るい。
花澄 :「気をつけて」
本宮 :「はい。今日は有難うございました」
佐古田 :「じゃんっ(有難うございました)」
フラナ :「ごちそうさまでしたっ」
譲羽 :「ぢいっ(またねっ)」
ぺこん、と挨拶。
そして、ゆっくりと歩き出す。
最後にフラナが一度振り返って手を振った。
振り返した手をこすり合わせながら、店長が店の中に入る。
硝子戸の向うに、雪がしんしんと降る。
店長 :「……じゃ、お前も帰るか?」
花澄 :「とりあえず、洗い物だけは済ませて帰る。あ、お兄ちゃん
:まだ一升瓶空いてないわよ(笑)」
譲羽 :「ぢいぢいっ(じゃ、ゆず、ここで雪見てていい?)」
花澄 :「ええ……って、いいよね、店長?」
店長 :「……何が?」
だんだんと、雪が降る。
だんだんと、新しい年が近づいてくる………
*************************************************
てなもんで。
をを、気持ち良いくらい季節もなんもはずしているぞ(汗)
ではではっ