[KATARIBE 12692] [HA06]EP: 『ことこと』

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Date: Tue, 20 Apr 1999 11:58:47 +0900
From: 久志  <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 12692] [HA06]EP: 『ことこと』 
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <199904200258.LAA09223@www.mahoroba.ne.jp>
X-Mail-Count: 12692

99年04月20日:11時58分40秒
Sub:[HA06]EP:『ことこと』:
From:久志
 ども(^^)久志です。
なんだか過去EPを見ててふいにほのぼの話を書きたくなりました。
てきとーにはじめてみます(^^;)

『ことこと』
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 昼すぎ、大分暖かくなった空気、空は晴れていても夏の日差しと
は違うどこか輪郭のぼんやりとした青い空。
 松蔭堂、穴の空いた障子から部屋を覗き込む金色の目。

「ぢぃっ」

 ひょっこりと現れたのは木霊の少女、おかっぱの髪を揺らしてと
てとてあたりを走り回る。茶の間にはどこかへ出かけたのか大家も
隠居の姿も見当たらない。騒がしさなら譲羽にも負けていない闇ぬ
いの姿も見当たらない。

「ぢぃぢぃっ!」

 しんとした部屋に譲羽の声だけが響く。普段の賑やかさに慣れて
いる分、余計に静けさが身にしみる。

「ぢぃ…」

 ころん
 ふて寝。近くにあった差布団の上に転がる。

 ことっ

 ふいに、瀬戸物が何かにぶつかった時にするような、かすかな硬
い音が聞こえた。

「ぢぃ?」

 こと

「ぢぃぢぃ?」

 ことこと

 ひょいと起き上がり、首を巡らせて音のした方向を見る。しかし
目に留まるようなものはほとんどない

「……ぢぃ?」
 ……ことっ

 と、金色の目がちゃぶ台に伏せておいてある、一つの茶碗に留ま
った。さっきの音の様子からして、出所はこの茶碗意外に考えられ
ない。

 じっ、と見つめる。この茶碗に目を留めてからあの音は一度も鳴
っていない。伏せられた茶碗は譲羽も見覚えのある、大家さんの使
っているものだ。

 じっと見詰める目。
 茶碗はしんと動かない。

 …

 ……

 長い沈黙。

 ことことっ
 先に動いたのは茶碗のほうだった。かたかたと震えるように音を
立てたかと思うと、あっという間に滑るようにちゃぶ台から移動し
音もなく畳へと飛び移った。

「ぢぃっ!」
 待てっ!と言ったか言わなかったか。一目散に逃げ出す茶碗を慌
てて追いかけた。
-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
 続く(っておい)
なんかまた得体のしれないものをだしてしまった(^^;)

 ことことって何だ(^^;)←考えてない人


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  『いい狩人は、決して獲物を深追いしない。
まず獲物の頭になって考えて、逃げ場を探し、自分で自分を狩り立て、
追いつめるものである』

  砂井久志(ひさやん)  fwhs3290@mb.infoweb.or.jp
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